軽度の肥満が一番長生き!
GLP-1作動薬の効果は
高度肥満者で示されているにすぎない。
肥満に厳しい世の中
世の中は肥満に厳しく
やせに寛容。
肥満と死亡の関係について言えば、
日本人353,422 人 (男性162,092、女性 191,330)
の長期観察研究の分析の結果で、
BMI※で23から25のあたりで
死亡率が最も低い1)。
※BMI:ボディ・マス・インデックス
体重kg÷身長m÷身長m
適正BMIは18.5ー25
一番、病気になるリスクの少ないBMIは22
一番、長生きできるBMIは23ですが、
「18.5ー25 」
の範囲に入っている人は
病気のリスクもがんのリスクが
一番低いことが
国立がん研究センターのデータで明らかに。
男性でも、女性でも
ちょっと太めのほうが
健康なのがわかってもらえると思います。
それにもかかわらず、
ちょっと腹が出ている程度
の肥満をメタボと呼び、
軽度の肥満も
むしろ不健康と捉えている
マスコミ情報、医師の指導が大部分です。
やせ薬として話題の薬、
GLP-1作動薬の臨床試験が立て続けに
報告されました2,3)。
1つは、
BMI平均が30の肥満者を対象に、
36週間、GLP-1作動薬を使用し、
約9ヶ月、36週の時点で
「継続群」と「中止群」に
ランダム、無作為に2群に分け、
継続もしくは中止を
約1年、52週間継続。
以後、36週から88週までの体重変化を評価。
【結果】
「継続群」の体重変化が5.5%減少に対し、
「中止群」では14%増加。
薬の継続は体重維持に有効だった。
しかしながら体重減少が
健康につながっているかは不明。
2つ目は
心筋梗塞、脳卒中を予防できるか
という結果で評価3)。
BMI平均が33の病的肥満者を対象に、
GLP-1作動薬投与群とプラセボ:偽薬群を比較し、
心・脳血管の病気での死亡で評価。
【結果】
ハザード比0.80と、病気を予防する有効性を示した。
GLP-1作動薬は体重を減らし、
それを維持するだけでなく心筋梗塞、脳卒中も
予防するという結果だった。
しかし、これらの研究の対象者はBMI 33、
一例を挙げれば160㎝、85㎏という病的肥満者。
前提条件が無視されて脚光を浴びるのは
ベジタブルファースト
と同じ。
「野菜を食べてから15分経ってから
ごはんを食べ始めると血糖の上昇が穏やか」
が
「野菜を先に食べてごはんを食べれば
糖尿病になりにくい」
と流布される。
研究からわかっている真実は
「BMI 25という軽度の肥満者は長生き」。
また、「BMI 30という高度肥満者に
GLP-1作動薬を使うと効果が出ている
治療薬として信用して使っていい」
と言うことだけ。
【引用文献】
1)日本人におけるBMIと全原因および主な原因による死亡率:7件の大規模コホート研究の統合分析の結果(仮邦題)
Body mass index and mortality from all causes and major causes in Japanese: results of a pooled analysis of 7 large-scale cohort studies.
2)肥満成人の体重減少維持のためのチルゼパチドによる継続治療: SURMOUNT-4 ランダム化臨床試験(仮邦題)
Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity: The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trial.
3)糖尿病を伴わない肥満におけるセマグルチドと心血管への影響(仮邦題)
Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Obesity without Diabetes.
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過去の記事を参照ください。