【3836】アバント(東証一部) NT
現在値 1,640円/100株 P/E 32.3 P/B 7.02 6月配当 株主優待なし
連結経営・会計システムのパッケージソフト開発、ライセンス販売など。
配当金は6月末の年1回12円であり、配当利回りは約0.73%となります。
アバントは株主優待制度を導入しておりません(記念優待の実施実績はあり)。
業績を確認します。2022年6月期より企業会計基準第29号の新収益認識を適用しています。
■2018年6月期 売上高 121億円、営業利益 16.3億円 EPS 28.3円
■2019年6月期 売上高 140億円、営業利益 19.6億円 EPS 35.1円
■2020年6月期 売上高 156億円、営業利益 22.7億円 EPS 40.9円
■2021年6月期 売上高 162億円、営業利益 27.9億円 EPS 50.2円
■2022年6月期 売上高 178億円、営業利益 28.6億円 EPS 50.6円 ce新収益
□2021年12月2Q 売上高 85.8億円、営業利益 13.6億円 EPS 22.3円 四e
2021年6月期の売上高は前期比3.5%増の162億円、営業利益は同22.7%増の27.9億円となり、期初計画を上回って2桁増益維持しました。「DivaSystem」を中心とする連結会計事業は、期初・上期の受注が低調であったものの、クラウド構成比の増加で増益を確保したほか、運用コンサルのビジネス・インテリジェンス(BI)事業についても新型肺炎禍におけるDXニーズが堅調に推移しました。また、決算業務の外部対応であるアウトソーシング(OS)事業も、これら2事業に牽引される格好で2割の増収増益を確保しています。なお、期末人員数については前期末比52人増の1,107人となり、採用数の鈍化による増益率の拡大という側面がありそうです。
進行期である2022年6月期の見通しについては、売上高が9.8%増の178億円、営業利益は2.3%増の28.6億円と増収増益を見込んでいます。期初時点の受注残高は32.4%増の47.6億円を確保しており、主力3事業のいずれについても2桁増と高水準の受注を抱えています。連結会計事業については、提案型営業で管理会計部門顧客の開拓により続伸を見込むほか、BI事業も新規導入やデータプラットフォーム構築案件の伸長、連れてOS事業も堅調な推移を予想しています。他方、利益面については、在宅勤務浸透による賃料減や水光費減が寄与するものの、人員増によるコスト増を見込んで予算上は低増益を見込んでいます。
今期は2023年6月期を最終年度とする5年中計の4年度目となっており、売上高を121億円から180~220億円へ、営業利益を16億円から31~38億円へ、其々引き上げる計画です。また、業績外指標として、売上高成長率と営業利益率の合計値であるGPP40%をKPIとしており、売上(利益)が伸びない場合でも利益率(売上)を確保するほか、ストック型売上比率を、従来の33%から70%まで高めていく計画です。前半3ヵ年を終え、業績定量面では概ねレンジ下限の達成が射程に入ってきている印象ですが、KPIのGPPは直近で20.7%、ストック売上比率も同36.0%と大きくビハインドしている状況です。
そのため、連結会計事業ではクラウド化によるプロダクトの変更や、従来型顧客である財務会計部門よりも、受注領域の拡張性が高く、別途予算のつく可能性がある経営企画部門やCFOを顧客とする管理会計分野を深耕する方針としています。具体的には本年1月に財務情報分析のBIツールを手掛ける英国メタプラクシスとの資本・業務提携を発表し、優先株取得により同社の2位株主となっています(将来的には持分法化の予定)。本提携により、同社製品の本邦における独占販売権を獲得しており、既存の連結会計顧客のアップセルとストック売上比率の向上を目論みます。他方、BI事業を手掛けるSIerのジール社のストック売上は相変わらず低いものの、OS事業については他2事業の成長により順調な積み上がりが期待出来そうです。
株主還元については、緩やかな増配基調【2.75→4→6→7.5→9→11円】となっており、進行期も1円増配となる年12円を見込んでいます。配当ポリシーはDOE基準(実績5.2%)となっており、東証全上場企業の上位10%である8%を目指すこととしていますが、無借金で63%の自己資本比率を鑑みると還元不足は明らかであり、DOE東証上位基準はある種の“エクスキューズ”と考えています。なお、10年長計では2027年6月期に配当10倍(分割考慮後40円)を目標としているものの、依然として可視性が大変低い状況であり、還元ポリシーの見直しが求められます。
*参考記事① 2020-11-16 1,640円 OP
【3836】アバント/ストック比率伸び鈍いが、DX分野で改めて期待。
*参考記事② 2019-09-29 1,013円*分割修正済 OP
スシロー営業支援等の業容拡大で、飛躍的成長が続く・アバント(3836)。
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