雨上がり、艶やかな緑が香る曹洞宗大本山永平寺での1泊2日の参籠修行に参加しました。

 
 
神戸市中央区から大阪市中央区にただただ毎日満員電車に乗って通勤していると、ときどき息苦しいような気持ちになります。
 
GWに鹿児島で緑のシャワーを浴びたばかりだったけれど、やはり、永平寺の緑は格別です。木々も匂いたち、すみずみまで心の行き届いた自然の調和が美しい。
 
永平寺で修行体験ができるのでは?と思いついたのが2月はじめ。ネットでなんて申し込めません。電話で仮に申し込むと、毛筆で表書きされた封書が届きます。申込用紙を送ると、また御請書と書かれた立派な書面が届きます。
 
すでにここから、丁寧なやりとりをするご修行が始まっていたのだと帰ってきてからわかりました。
 
お部屋は立派な和室の18畳。冷蔵庫やテレビなどはありません。
 

このお部屋からの景色が何よりのものです。
 
夕方に16時にスケジュールと注意事項の説明がありました。特に大事な3つの作法の教えがあります。合掌、叉手(しゃしゅ)、法界定印(ほっかいじょういん)。叉手は、歩くときや立っているときにみぞおちの辺りで手を組む作法。これは、お話を聞いているときなど、しょっちゅう使います。合掌もとにかく永平寺の修行僧の方たち(雲水さん)はとても美しいです。そのやり方を学びました。
 
こちらの方(宿坊研究会)ブログに細かいスケジュールが書かれていますので、URLを貼らせていただきます。
 
 
床やトイレなど、どこもかもがピカピカに磨かれており、自分のだらしなさが情けなくなります。トイレは東司(とうす)といい、入る前、出てきたあとに、祀られた仏様に合掌と礼をします。何もかもが修行だと思い知らされます。
 
美味しいほうじ茶がポットに入れられており、いつでも飲めますが、湯呑みは綺麗に洗って清潔な布巾で拭いて元の位置に戻します。
 
薬石(夕食)の精進料理は雲水さんたちが召し上がるものよりもおかずの数が多いようです。食べる前に「五観の偈」を唱え、作法を教わりました。箸の置き方、置く向き、器の持ち方、最後にお茶で箸を洗うところまで。丁寧に作られた優しいお味の料理を噛みしめていたら適当に食べてきたことを反省させられます。
 
とても優しく悟らせるように語る雲水さん。毎日、毎日、朝から晩まで365日休むことなく修行されている姿は、誰も彼もが透明な光を帯びているようです。ほかのお寺からたくさんの檀家さんたちを連れて来られた僧たちも同じスケジュールで動いていたのですが、立ち居振る舞い、ただ立っている時の佇まい、喋り方などがまったく異なるのです。そう、生臭さのようなものが皆無。仏の世界に近づいていると、素人のわたしにもわかります。
 
坐禅体験、雲水さんたちの修行を描いた映画が食後にありました。

 
 
21時に消灯。よく眠れました。そして、朝3時半に起きて、きちんとお布団をたたみ、準備を整えて4時20分に集合です。法話を聞き、朝のお勤め体験がありました。あいだに、説明を受けながら永平寺を案内してくださいます。
 
坐禅やお勤め体験もそれはそれは、貴重な時間でしたが、修行を重ねて、自らの姿かたちを仏の世界に持っていこうとされているたくさんの雲水さんたちに直接お話しさせていただくこと、そのことに勝る体験はない、というのが偽らざる想いです。
 
たった少しの時間の坐禅で足が痛くなり痺れをきらしてしまった情けなさもありますが、その坐禅を1日10時間連続何日もする特別なご修行の話を聞いて、ただの大学生がここにやってきて、仏教とひとつになってはじめて修行僧になれたと感じるときがあったという法話の意味がわかる気がします。身をもって示していただきました。
 
たった1泊2日の修行体験ですが、あの特別な空気のなかで、体験したことでなにかが変わるわけじゃなく、雲水さんたちの日々のご修行に触れ、完成されていく姿を見ることそのものが、体験の素晴らしさだったのだと思いました。ずっと案内してくださった雲水さんと何百年も同じ教えを守ってこられた今までの雲水さんたちすべてに感謝しかありません。
 
同じ日本のなかで、ずっと修行されている人たちがいる、そのことを思い出すだけで、価値があります。
 
そして、今日はいろいろ観光もしました。
 

平泉寺白山神社。参道の苔と木々の緑の濃淡と織り成す景色が素晴らしかったです。ですが、拝殿などが放置されており、少し荒れた雰囲気が残念でした。
 
永平寺と対照的だったので、なおさらそんなふうに感じたのかもわかりません。
 
 

そこからほど近い『恐竜博物館』へ。今日は家族の日とかで、なんと入場無料!ラッキーでした。地方の博物館は、なんとなく寂れたイメージでしたがとんでもありません。ニューヨークのスミソニアン博物館よりもヴィジュアル的に見やすい感じです。展示内容もですが、見せ方がとてつもなく楽しくて、わくわくします。
 
ただその地で発掘された化石をもとにしただけでなく、古代の地層や石の展示も充実していました。一見の価値ありです。
 
一乗谷にある朝倉氏の遺跡あとへ移動。
朝倉氏と言えば、ゲーム『信長の野望』でおなじみでした。

 
 

こんなに風光明媚な清らかな水が豊富な地にいたんですね!知りませんでした。
 
最後に一条の滝の飛沫がかかりそうな場所でマイナスイオンをたっぷり浴びて帰りました。