私は、『あまちゃん』の本放送の時は、ほとんど見ませんでした。

それは、ドラマのタイトルが「あまちゃん」なのに、

なぜ、海女を辞めてドラマの後半はアイドルになるんだ、

と納得が行かなかったからです。

 最後まで海女としての成長物語のドラマではないのか、と思ったのです。

Wikipediaを見ると、
『あまちゃん』のタイトルの意味は、

「海女ちゃん」と主人公天野アキの人生の
「甘ちゃん」の、

両方の意味があることが書かれていました。


しかし、NHK-BSプレミアムで『あまちゃん』の再放送が始まって、初めから見て、

ドラマの最初から、アイドルの伏せんがあったことが分かりました。

それは、天野アキ(能年玲奈)が、母親の天野春子(小泉今日子)に、

アキが、
「アイドルになりたい」
と言ったら、春子は、

「アイドルなんて、くっだらない」

とカンカンになって怒ります。

それは、春子自身が、アイドルを目指したが、

大女優・鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の歌の口パクの声をやって、

ゴーストシンガーだった過去があったからです。

このように『あまちゃん』は、海女の物語ではなく、

最初からアイドルの物語だったのです。

この『あまちゃん』の
脚本を書いた宮藤官九郎氏の

キチンと組まれたテンポの速いセリフのやりとりや、

ボケと突っ込みや

1980年代の小ネタをちりばめられたセリフなど、

実に緻密な脚本になっているのです。

1985年に放送された大映テレビドラマの小泉今日子主演の『少女に何が起こったか』の中で、

いつも午前0時になると、川村良之刑事(石立鉄男)が、

ピアノの練習をしている野川雪(小泉今日子)の前に現れて、

「おい!薄汚ねぇシンデレラ!」

と言います。

この「おい!薄汚ねぇシンデレラ!」のセリフが『あまちゃん』の中で、

春子(小泉今日子)に向かって言うシーンがあるそうですね。

(『少女に何が起こったか』は、CS放送TBSチャンネル2で、6月に、また、再放送されます。

もう、何度も再放送されています)


だから、この宮藤官九郎氏の書いた脚本が面白いのです。


それに比べて『まれ』は、つまんないと言われています。

『まれ』と『あまちゃん』は、物語の設定や登場人物の設定が似ている、と言われています。

『まれ』と『あまちゃん』に登場する、

まれとアキのダメな父親などがそっくりです。

しかし、『まれ』は、宮藤官九郎氏が書いた『あまちゃん』に比べると、

『あまちゃん』のような、テンポの速いセリフのやりとりは無いし、

ボケと突っ込みも無いし、

誰もがクスっとする小ネタをちりばめる、ということも無いし、

だから『まれ』の視聴率が下がっているのです。

ドラマは脚本が全て、と言われます。

だから、宮藤官九郎氏の書く脚本が面白いのです。




●Yahoo!ニュース
●NHK朝ドラ『まれ』の今後の展開に期待すること

【コラムニスト・木村和久】

週刊SPA!
 [5/21 16:21]

photo by keyaki via flickr

- 木村和久の「オヤ充のススメ」その75 -

NHKに受信料を払っている一人の視聴者として、毎回欠かさず見ているのが、大河ドラマと朝ドラだ。

大河はちょっと可哀相な状態なので、

ひとまず置いておいて、今回は元気いっぱいの朝ドラ『まれ』について語りたい。

『まれ』の朝の放送時間は8時だが、

実はBSプレミアムでも7時半からオンエアしている。

早く見たい方は他人より 30分だけ、早く話が分かりますよ。

というか、実は同じBSプレミアムで7時15分から
『あまちゃん』の再放送も始まっている。

だからBSプレミアムでは 7時15分に『あまちゃん』の再放送を見て、

7時半に『まれ』の最新回を見るという、リレーができるのだ。

そして、この2つの人気ドラマを見ていると、

すこぶる共通点が多いのに驚く。

どちらもちょっと前の現代を描いたコメディタッチのドラマで『あまちゃん』は北三陸、

『まれ』は能登という、過疎化に悩む田舎が舞台である。

その舞台の田舎から、主人公が夢を抱いて首都圏にやってくるのまで一緒だ。

『まれ』の主人公、津村希は能登市役所勤務時代は、

地道にコツコツとやっていたのに、5月以降、元気と情熱の押し売り状態で、

見ていてちょっと暑苦しいかも。

演出なんだけど、例えば能登から横浜にやってくるとき、

背中に箒を背負わせるかね。

魔女の宅急便じゃあるまいし、

その格好に笑うしかないか。

さらに憧れのケーキ屋を発見したが、

店が閉まっていたからって、店前でレシピを書きながら行き倒れて、

朝気づくって、いくら健全な国家・日本でも、あり得んだろう。

気になる視聴率だが、平均20%を死守できずに、奮闘中というところか。

でも大河ドラマの『花燃ゆ』が10%ちょっとゆえ、

朝ドラとしては、充分合格点だと思う。

毎朝『あまちゃん』と『まれ』を見させていただき、

『まれ』に足りないところは何か?

いやむしろ『あまちゃん』の優れているところは、どこかを探ってみたい。

『あまちゃん』の脚本家の宮藤官九郎氏は、私と同じ宮城県出身。

だから東北の田舎に対してのアイディンティを持っている。

田舎のつまらなさ、楽しさ、厳しさ、淋しさを痛いほど分かってて描いているのだ。

そしてふざけながらも社会性のある表現もしている。

東日本大震災もしっかり描いているし、

AKBプロデューサーの秋元康氏のそっくりキャラを登場させ、

軽くいじったりもしている。

各方面全て合意のうえでの悪ふざけが、

見事成立しているのだ。

ツボにはまる細かいギャグを飛ばしながらも、

ドラマとしては、大人の仕事をしている。

立派なもんです。

さて今後の『まれ』だが、やはりケーキに対して、どんだけ奥の深いものを見いだせるか、

なんで能登が舞台なのかが判明したら、もっと感動すると思う。

今後、草笛光子やつぶやきシローなどの、

意外な隠し玉が登場してカンフル剤となって盛り上げてくれると期待したい。

ガッツ石松にバナナを食わせたりは、何気に面白いんだけど、

今度は大技で視聴者を唸らせて欲しいね。

結局のところ、大河ドラマの『花燃ゆ』は、吉田松陰亡き後の展開が見えない辛さであり、

『まれ』は毎回ドタバタで、先の展開が見えないことが楽しいのだ。

同じ展開が見えないにしても、こうも違うのか。

制作者側の苦労も絶えないことでしょう。

いづれのドラマも中盤戦、これからが本番、頑張って下され。

■木村和久(きむらかずひさ)■

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。

ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。

現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦