謹賀新年 | 俳茶居

俳茶居

登り来るものに棘向く冬薔薇 (呑亀〉


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謹賀新年

寒桜(2019年1月9日新宿御苑)

 

 俳人松尾芭蕉は晩年、句作態度を風雅(「虚」)に重きを置く。そして「実」世界である日常を棄て旅に生きる。江戸元禄期の旅とはいかなるものであったのか。少なくとも現代のそれとは違う自由度と危険度を伴っていたと考えられる。「虚に棲み実を詠む」には、旅を続けなければならなかった。それは敬愛する西行の面影を追う旅でもあった。尖った稜線を行くようにどちらに転んでも命を落とす状況に身を置き、自らの藝を成就させていったのだと推察する。時代は違えども、天才たちが辿る人生とその作品は、先鋭的な感性により剃刀の様な尖った刃先の上に置かれていることがわかる。

中国のお茶と向き合い十数年。茶席でお客様へ呈茶していると、淹れ手と客の間のお茶が多くの事を相方に伝えてくれる事に気付く。一方通行ではなく心が通うと思えるのである。茶湯を山に例えるなら、浅く淹れれば白湯の感がのこり、深く淹れすぎると苦い煮汁になる。淹れ手は、白湯から白湯が残る薄い茶湯、そして白湯の味のない茶湯に変わる瞬間を山の稜線と思い、良き頃合いをみて客に届けようと努めているのである。稜線には、茶湯として許容される幅があり、微妙な濃さ(薄さ)を考え呈茶しているのである。

人生の稜線を行く姿、芭蕉ほど鋭角ではなくとも藝に生きる者、皆それ程違いはないと思うこの頃である。

新年にあたり皆様方のご健康、ご安寧、ご活躍を祈念申し上げることとする。

                                                                                             2019年 正月 俳茶居〈呑亀〉

 

門松やおもへば一夜三十年   〈芭蕉〉

孫の掌に黄河流れる大旦    〈呑亀〉

 

蝋梅

 

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