26? | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 ワカメ養殖の指標とするために、岩手県内の漁協が週一回のペースで海の栄養分の調査を行っています

 その時に海水の比重も計測しています

 

 淡水のプールで泳ぐより、海で泳いだときの方が体が浮きやすいでしょ?

 死海だと体が完全に浮く

 塩分濃度が高いからです

 

 それと同じ理屈で、薄いガラスの中に空気が入ったものを海水に入れて、その浮き具合で比重を測ります

 

 県内の調査結果がFAXで来るんですが

 先週のデータでは岩手県南の比重26を超えてました

 

 26超え?ウソッ?

 

 閉鎖循環水槽で生き物を飼育するときに一番注意するデータが比重

 水槽で海水の生き物を飼育する際、私は比重を24.5に調整します

 

 同じ水を循環させていると、水分が蒸発していくため塩分がどんどん濃くなります

 →比重が上がる

 1週間ぐらいすると24.5に調整した海水の比重が25.0ぐらいまで上がるので、真水を足して24.5まで戻す

 というようなサイクルです

 

 塩分を計測する機器もありますけど、塩分はどうしても大ざっぱな数字になってしまうので

 ガラスの比重計で比重を計測して、水温で補正します

 比重が上がってきた(塩分濃度が濃くなってきた)ら真水を足して適正な比重に戻す作業は閉鎖循環方式で海水を使用する際に最も重要な仕事ですね

 これを怠ると生き物を殺すことになる

 

 

 2~3週間ほったらかしにしなければ26なんて比重にはなりません

 もし、26まで比重が上がったら青ざめますね

 青ざめるのが早いか生き物が死ぬのが早いか

 

 いままで閉鎖循環水槽で飼育していて

 26なんて比重になったことはありません

 

 それが海で26なんてちょっと考えられない

 

 基本的に

 黒潮は 水温が高く、塩分濃度が高く、栄養塩がほとんど無い

 親潮は 水温が低く、塩分濃度が低く、栄養塩が豊富

 

 なので

 黒潮が接岸してるんだとすれば比重が26っていうのもあり得るかも知れませんが、それなら水温は高いはずだし、栄養塩はほぼ0に近いはず

 

 ところが、水温は低い

 10℃以下です

 栄養塩(硝酸態窒素)も80ぐらいある

 

 水温と栄養塩からみれば親潮系の水

 なのに

 比重からいけば黒潮系の水

 

 なんで????

 海に何か起こってるのか?

 計測機器もしくは計測方法に問題があるのか?

 問題が無いとしたら、海で何が起きてるんでしょう?