斉藤正行のブログ

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自立支援介護をテーマとした論考の6回目。

 

いよいよ佳境となります。

 

前回の5回目では、夏からの制度動向の動きを確認するとともに、

「自立支援介護」の制度導入の反対意見と課題を整理してお伝えしました。

 

今回から、その反対意見・課題に対する見解や対策について私見を述べていきたいと思います。

 

前回整理してお伝えした反対意見と課題は大きく2つの視点

 

1つは、自立支援介護に対する認識不足や、感情論での意見であり、議論に値しない反対意見

もう1つは、自立支援介護に対する理にかなった指摘であり、対応策を検討していくべき課題

 

まずは議論に値しない反対意見について、詳細を解説していきたいと思います。
 

◆自立支援介護に対する認識不足や、感情論での意見であり、議論に値しない反対意見

 

①竹内理論の悪しき実践事例の一部を捉えただけの反対意見

 
未来投資会議において安倍総理自ら「自立支援に軸足を置いた…介護でもパラダイムシフトを起こします」と宣言されたことからスタートしてきた自立支援介護の制度導入。この未来投資会議における理論の支柱が国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁先生が提唱する「竹内理論」であることはこのブログの論考②でもお伝えしている通りであります。
 

この竹内理論の中身についても同様に論考②を確認頂きたいと思いますが、従前より賛否両論が大変多いことは周知の事実であります。

 

竹内理論の賛否に対する中身を議論することはテーマ外でありますので控えたいと思いますが、否定や反対意見の多くは理論を全て理解した上で唱えている反対ではなく、理論に基づき実践している介護施設、介護事業所の一部で、理論を誤った理解、不十分な理解のまま実践しているケースが見られ、それらの事例を捉えて批評していることが散見されます。そもそもの竹内理論の理解不十分なままの反対意見であり、限定的な事例のみを捉えた反対意見であり、議論する必要のある意見ではありません。

 

②竹内先生に対する個人的な感情に基づく反対意見

 

これは理論そのものの内容よりも、竹内先生個人に対して悪感情を持っている方々が、合わせて竹内理論を否定的に捉え、自立支援介護にも反対しており、感情論であり、全く議論する必要のある意見ではありません。

 

③官邸主導での政策に対する嫌悪感に基づく反対意見

 
1回目の論考において、自立支援介護の制度導入に至る議論のスタートから制度化に向けた動向を整理した際に伝えた通り、自立支援介護は、従来の社会保障制度、介護保険制度の改定の枠組みである社会保障審議会を中心とした議論、つまり厚生労働省と関係団体中心とした議論からの出発ではありません。内閣官房、財務省を中心とする官邸主導でのトップダウンより議論が出発しており、政策の中身ではなく、政策プロセスへの感情的な嫌悪感から反対を唱える方も多く見られています。こちらも同様に感情論であり、議論をしていくべきことではありません。

 

④高齢者の自立を支援すること自体を良しとしないという見解

 

これは、ほとんど僅かな意見でありますが、そもそも「自立支援とは何か」を定義するうんぬんではなく、高齢者の自立を支援していく介護を行うこと自体を良しとしていないケースであります。もちろん表だってそのような主張をすることはありませんが、本音では、「楽して事業を行いたい。」「努力してサービスの質を向上させることには関心がない」といった意見の方は隠れて存在しており、この意見は当然、議論の余地のなく賛成できることはなく、このような考え方で介護に携わっている方には、介護業界から即ご退場頂きたいということは申し述べるまでもありません。

 

以上がまず1つめの視点である議論に値しない反対意見に対する解説であります。

 

続いて最も大切なことは

 

◆自立支援介護に対する理にかなった指摘であり、対応策を検討していくべき課題

 
についてであります。こちらは次回に論考は譲りたいと思いますが、前回同様にポイントのみ下記に列記して今回の末尾とさせて頂きます。

 

①人間が老いて死を迎えることは「自然の摂理」であり未来永劫改善することは出来ない。

・一時的な改善は見られても、最終的には衰えていくことに抗うことは出来ない。

・一時的な改善のみを評価し、重度ケアやターミナルケアなどのステージでのケアを評価しないのは不当である。

・短期的な時間軸での改善のみを評価することは好ましくない。

・社会保障財源への寄与についても短期的な改善のみでは、限定的な効果しか出ないのではないか。

 

②事業者が改善し易い利用者のみを選別するようになるではないか。(クリームスキミング)

・そもそも多くの事業者はインセンティブを付与しなくても高齢者の自立支援に向けた実践を行うものである。

・逆にインセンティブを求めて、改善し易い利用者を選別し、改善し難い利用者を断るような事業者が出てくるのではないか。

 

③要介護度の改善をアウトカム(結果)評価とすることを危惧する。

・要介護認定の認定精度には正確性を欠くケースも多く、そのような精度でインセンティブを付与することは好ましくない。

・要介護認定の指標はADLに基づく項目が多く、自立支援において最も大切なことは高齢者のQOLを高めることであり、ADL向上だけでインセンティブを付与することは好ましくない。

・インセンティブを求めて要介護度の改善を最優先にし、高齢者の意向を無視した、強制的な機能訓練などが行われる可能性がある。

 

④自立支援介護の実現は他職種連携によってはじめて可能となる。

・1介護事業所のみで自立支援が実現できるのではない。

・適切な医療との連携が行われてはじめて自立支援が実現できるのであり、介護事業所のみの成果ではない。

・在宅介護サービスの場合には、複数サービス・複数事業所が共同で介護にあたっているので、改善に対する貢献度を評価することが困難である。

 

次回、第7回目をお待ちください。

 


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自立支援介護をテーマとした論考の5回目。

 

前回の更新から随分時間が経過しました。

 

8月31日が前回の更新ですから3ヵ月超。夏から一気に冬。もう師走ですね!!

 

先ごろ12月6日に開催された高齢住宅フェスタにおいて、「自立支援」をテーマにパネルディスカッションを行いました。ここでは、「自立支援介護」に対して、様々な立場のパネリストで活発な意見交換が行われ、大変有意義な場となりました。

このパネルディスカッションで私の「自立支援介護」に対する現在の考え方を網羅的に整理して資料提供しましたので、このパネルディスカッションが終わるまでは、ブログの更新も控えていましたので、時間が経過していまったことをご容赦ください。

 

この間に自立支援介護を取り巻く環境も大きく変化し、次期改正での制度への落とし込み内容も見えてまいりました。

改めて、8月からの制度改正動向を少し振り返っておきたいと思います。

 

 

◆2017年7月10日~8月21日 平成29年度老人保健健康増進等事業「自立に資する介護に関する調査研究事業」

「介護の分野において、自立支援等に関してどのような知見がどの程度蓄積されているのかを把握すること」を目的とし、厚生労働省が、みずほ情報総研に委託した調査事業です。

十分な募集期間がなかったのでそれほど多くの調査事例が集まったわけではありませんが、初の本格的な「自立支援介護」に関する調査が行われました。

 

◆2017年8月23日 第145回社会保障審議会介護給付費分科会

上記の調査結果も受け、社会保障審議会においては、初めて「自立支援介護」について具体的な検討が行われ、次期改正における制度導入について意見交換が行われました。

 

◆2017年10月12日 第1回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会

給付費分科会では次期改正に向けた検討を行っていますが、厚生労働省主管による「自立支援介護」の中身を中長期で議論・検討していく場がスタート致しました。現時点ですでに3回の検討会が開催されました。この検討会は2021年・24年における制度改正へと繋がっていくこととなります。

 

◆2017年11月2日 国際・アジア健康構想協議会 第1回アジアに紹介すべき「日本的介護」の整理ワーキンググループ

内閣官房が主管となる国際・アジア健康構想協議会におけるワーキンググループ。ここでは「日本的介護」として自立支援介護を体系化していく官邸主導による検討会です。こちらは現状検討内容は非公開となっています。私自身もこのワーキンググループの構成員を務めています。

 

◆2017年11月29日 第153回社会保障審議会介護給付費分科会

自立支援に向けたインセンティブについて、給付費分科会では2回目の議論。ついに次期改正における制度導入案が示されることとなりました。次期改正における事業者インセンティブは要介護認定による改善を指標とすることは相応しいくないとの見解が示されました。その上で、次期改正においては、まず試験的に通所介護事業において、ADLの維持・改善を評価する指標として「Barthel Index」とする案が示されました。

これまでの議論において、ADLの維持・改善のみにフォーカスすることの懸念が多く指摘され、QOLの改善こそが最も重要であると言われてきましたが、今回は、完全にADLに特化した指標で決着したようです。

この制度導入に関する詳細や私の意見については次回以降でまた詳しくお伝えしたいと思います。

 

ここまでが、この夏からの制度動向の流れです。ついに次期改正でのインセンティブ案が示されました。

しかしながら「Barthel Index」というADL評価指標での評価、通所介護事業でのスタートと、当初からお伝ええしている通り、次期改正ではあくまでトライアル的制度導入であり、2021年・24年改定での導入が今後の議論を経ていき本格導入となります。

 

さて、夏からの振り返りが終わったところで、いよいよ本題。前回の④では、「自立支援介護」の制度導入のメリットを整理してお伝えしましたが、

今回は「自立支援介護」の制度導入のデメリット。反対意見、課題についてを整理してお伝えしたいと思います。

 

まず、自立支援介護への反対意見や課題には大きく2つの視点があります。

 

1つは、自立支援介護に対する認識不足や、感情論での意見であり、議論に値しない反対意見

 

もう1つは、自立支援介護に対する理にかなった指摘であり、対応策を検討していくべき課題

 

となります。

これら2つの視点に基づく、反対意見や課題指摘の詳細を整してお伝え致しますと

 

◆自立支援介護に対する認識不足や、感情論での意見であり、議論に値しない反対意見

①竹内理論の悪しき実践事例の一部を捉えただけの反対意見

②竹内先生に対する個人的な感情に基づく反対意見

③官邸主導での政策に対する嫌悪感に基づく反対意見

④高齢者の自立を支援すること自体を良しとしないという見解

 

◆自立支援介護に対する理にかなった指摘であり、対応策を検討していくべき課題

①人間が老いて死を迎えることは「自然の摂理」であり未来永劫改善することは出来ない。

・一時的な改善は見られても、最終的には衰えていくことに抗うことは出来ない。

・一時的な改善のみを評価し、重度ケアやターミナルケアなどのステージでのケアを評価しないのは不当である。

・短期的な時間軸での改善のみを評価することは好ましくない。

・社会保障財源への寄与についても短期的な改善のみでは、限定的な効果しか出ないのではないか。

 

②事業者が改善し易い利用者のみを選別するようになるではないか。(クリームスキミング)

・そもそも多くの事業者はインセンティブを付与しなくても高齢者の自立支援に向けた実践を行うものである。

・逆にインセンティブを求めて、改善し易い利用者を選別し、改善し難い利用者を断るような事業者が出てくるのではないか。

 

③要介護度の改善をアウトカム(結果)評価とすることを危惧する。

・要介護認定の認定精度には正確性を欠くケースも多く、そのような精度でインセンティブを付与することは好ましくない。

・要介護認定の指標はADLに基づく項目が多く、自立支援において最も大切なことは高齢者のQOLを高めることであり、ADL向上だけでインセンティブを付与することは好ましくない。

・インセンティブを求めて要介護度の改善を最優先にし、高齢者の意向を無視した、強制的な機能訓練などが行われる可能性がある。

 

④自立支援介護の実現は他職種連携によってはじめて可能となる。

・1介護事業所のみで自立支援が実現できるのではない。

・適切な医療との連携が行われてはじめて自立支援が実現できるのであり、介護事業所のみの成果ではない。

・在宅介護サービスの場合には、複数サービス・複数事業所が共同で介護にあたっているので、改善に対する貢献度を評価することが困難である。

 

以上が、主だった、自立支援介護の制度導入に対するデメリット・反対意見・課題であります。

 

1つ1つの項目に対する詳細解説や、課題に対する対応策については次回に詳しく述べることとし、今回は、課題点の整理までと致します。

 

 


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前回は、介護業界を取り巻く環境の変化、介護保険制度が制度疲労をおこし行き詰っている現状と、制度の抜本改正が必要であり、「自立支援介護」の制度への導入が、その抜本改正の試金石となることをお伝え致しました。

 

今回は、では、「自立支援介護」の制度への導入によって、何を得ることが出来るのか?導入メリットを確認していきたいと思います。

 

もちろん、どのような制度設計となるのかによって、そのメリットは変わってくることになると思いますが、現時点でわかっている大枠方針に基づき整理してまいります。また、メリットを整理することによって、どのような制度設計とすべきかも見えてくることとなります。

 

私は、大きく3つのメリットが存在すると考えています。

 

1.自立支援を実現するという介護保険制度の理念を、制度設計に組み込むことになること

2.自立支援の実現、要介護度改善、ADLの維持・向上を事業所が目指すことによって全体サービス品質の向上に繋がること

3.要介護度改善に伴うインセンティブを実現することによって、持続可能な介護保険制度の実現を財政面より貢献できること

 

まず1つめ

1.自立支援を実現するという介護保険制度の理念を、制度設計に組み込むことになること

 

これは、2回目に自立支援についての定義を整理した際にも触れましたが、「自立」と「自立支援」、「自立支援介護」の3つの言葉の定義をしっかり理解し分けて議論することが重要であります。

 

そして、詳細は2回目の記事を確認頂きたいと思いますが、介護保険制度の理念たる「自立支援」については誰もが反対することのない考え方であり、その「自立支援」の実現に対して、自治体・事業者にインセンティブを付与する制度の導入は好ましいことです。この制度への落とし込みを「自立支援介護」として定義づけして論考しています。

 

もちろん、自立の概念と、現在、議論が進行している要介護度による評価がイコールではないとの指摘もあり、最もな指摘でもありますが、このあたりの反対論や懸念点、課題については、次回以降でじっくりやります。

 

つづいてメリットの2つめ

2.自立支援の実現、要介護度改善、ADLの維持・向上を事業所が目指すことによって全体サービス品質の向上に繋がること

 
これまでの介護保険制度においては、御承知の通り、要介護度ごとに報酬単価や利用限度が設定されており、要介護度の高くなるにつれ報酬単価も高くなる仕組みとなっております。
これは、重度な状態であるほど介護の手間がかかるため(現実には必ずしもそうではないわけですが)、点数単価が高く設定をされています。
 
介護保険制度の創設当初から、常に指摘され続けてきたことですが、事業者が適正な介護サービスを提供し、利用者の自立を促し、状態改善が図られ、要介護度が改善された場合には、報酬単価が低くくなるわけですから、つまり事業者の売上が減少する仕組みとなっていることに対して、適切なインセンティブが働かなくなると指摘され続けていました。
 
収益のみを重視するならば、質の良くない介護サービスを提供して利用者の状態、要介護度を悪化させた方が儲かる仕組みとなっている。この現状制度には疑問の声も多かったのです。
もちろん、実際には、このような事業者はほとんど少なく、そのような一部の劣悪な事業者は淘汰されるケースが多いのですが、、制度・規制ビジネスでは、劣悪事業者が制度に守られる側面も出てくるのです。

 

この介護保険制度の根底を変革させる制度、自立支援を促し、利用者の状態を改善し、要介護度を改善することに評価する仕組みは大切な考え方であると言えます。

 

業界全体のサービス品質の底上げにつながる制度であると言えます。

 

しかしながら、こちらも、先ほどの議論と同様に、要介護度のみに焦点をあてるのであれば、あくまでADLの向上のみが重要視され、最も大切なQOLの向上がおろそかになる。場合によっては、高齢者の望まない無理なリハビリや機能訓練を強要するような虐待にもつながりかねない。といった指摘や、人間は自然の摂理として老いと死を迎えることを最終的に防ぐことは出来ず、一時的な状態改善のみを評価する仕組みは好ましくない。といった様々な指摘が寄せられています。

こちらも、同様に、これらの指摘には次回以降で1つ1つ丁寧に答えていきたいと思います。

 

そしてメリットの3つめは

3.要介護度改善に伴うインセンティブを実現することによって、持続可能な介護保険制度の実現を財政面より貢献できること

 

日本社会全体にとって最大の課題である財政再建、社会保障改革。今後の社会の在り方に全ての影響を及ぼすテーマであり、社会保障費の適正化(必要なサービスを削減することなく、不要なもの工夫できるものを削減する)は待ったなしの急務のテーマです。

 

2000年からスタートした介護保険制度にともなう介護保険財源は、年々膨らみ続け、ついに年間10兆円を超え、2025年には20兆円を超えると予測されています。

とりわけ、高齢者の増加に伴う自然増での社会保障費の増大は不可避なわけですが、人数的な増大だけではなく、介護度の悪化にも歯止めがかからない現状であります。(これも高齢者の加齢とともに不可避な側面もありますが)

 

そのような状況の中、要介護度改善、または状態悪化の進行を緩やかにすること、介護予防、健康寿命を延ばすことに注力することは最優先すべき社会保障改革への取り組みであり、「自立支援介護」の取り組みは、正にそのど真ん中の施策となるのです。

 

とはいえ、この点についても、また様々な角度から異論もあろうかと思いますので、そちらは次回。

 

これら3つのメリットとともに、「自立支援介護」は、出口が見えず、制度疲労を起こし、従来の概念・発想に捉われない抜本的な変革が求められている介護保険制度、社会保障制度の仕組みを、変革する試金石であり、突破口となる重要な制度であると私は思います。

 

繰り返しになりますが、まだ制度の詳細は議論中であり、また様々な反対論、懸念事項、課題点も多い「自立支援介護」ですが、1つ1つしっかりと議論し対策をたて、制度に、そして実際の現場に落とし込んでいくことが重要であると思います。


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さて「自立支援介護」をテーマとした論考3回目。

 

そろそろ佳境に近づきつつあります!!

 

前回は、「自立支援介護」の定義について整理致しました。

 

前回は最後に、

 

①自治体への評価結果に対する財政的インセンティブ付与

②介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与

 

の2つの観点から制度設計が検討されていると伝えました。

 

いよいよ、この2つの政策が実現すればもたらされるメリット・デメリットについて考えていきたいと思いますが、

 

まずはその前に、少し廻り道のように感じるかもしれませんが、2000年よりスタートした介護保険制度が17年を経過し、劇的な環境変化から制度疲労をおこし行き詰ってている現状について、私が考える問題認識をお伝えしたいと思います。

 

来たるべく超高齢社会を社会全体で支え合い、高齢者の自立支援を実現するために、自己選択(高齢者の選択、介護サービスの選択、人生の選択など)出来る環境を整えることを目的として介護保険制度はスタート致しました。

 

しかしながら、高齢化のスピード(人口動態)は試算されてえいたものの、そのことによる影響度と、何より要介護者の人数推計の見立てが甘かったことが大きな要因であると思いますが、介護保険を取り巻く環境はスタートからすぐに制度の修正を迫られることとなりました。

 

制度スタート当初から3年ごとに報酬とルールの見直しを行うことが前提でありましたが、最初の改定から財源問題は予測を大きく上回る負担となり、マイナス改定が続きました。

 

介護報酬財源の問題は現在も根底にあるもっとも深刻な問題であります。

 

更には、言わずもがなでありますが、介護人材不足の問題も深刻です。

厚労省の試算では、2025年には介護人材が約38万人不足すると言われており、現時点でも介護人材の有効求人倍率は高まり続け、都心部では、普通の採用手法では介護人材を確保することが困難な状況となっております。人口構造上、今後30年間更に人材獲得の困難さが増していく環境となることが予測されます。

 

そして、単なる人数の問題だけではなく、離職率も高まり、人材の質も全体レベルでは低下し続けており、事故やトラブルも拡大し続けています。

 

そのような環境から、介護レベルも低下し、事故やトラブル防止の観点から、介護保険制度は、規制強化に繋がっています。過度な規制の強化は、介護事業所の開設にも強い規制と制約がかかり、介護保険制度の理念たる利用者の自己選択にも影響が生じています。

 

また、3年ごとに見直される制度改正においては、規制強化とともに、都度、細かなルール改定が行われ制度の中身は複雑さを増しています。もはや専門家ですら介護保険制度の全ての中身を理解することが困難な状況となっております。

 
このような環境の中で、介護事業者の置かれている環境は厳しさを増す状況であり、
 
まず、介護報酬財源の抑制から、、介護報酬売上は減少傾向にあります。
他方で、人材不足の問題から、人員確保のために人件費、教育費、管理費、更には人材採用費は上昇し続けています。
更に、規制強化、制度の複雑化により、作成すべき書類は増大しており、事務作業工数は増加、オペレーションコストも増大しております。
介護事業者は、正に3重苦の状況の中で日々創意工夫を行い続けているのです。
 
その他にも介護業界・介護保険制度の問題は山積しておりますが、ひとまず重要な課題を整理致しました。
 
改めて、業界の現状、問題・課題を認識すると、大変厳しい状況であることは間違いありませんが、だからと言って「介護保険制度は欠陥だらけだ、そもそもこのような制度を導入すべきではなかった」とは私は全く思いません。
 
むしろ介護保険制度の理念や枠組みは大変素晴らしいものであり世界に冠たる誇れる制度であるとすら思っています。
 
ただ、誰もが体験したことのないスピードで進行している少子高齢化の波と、制度の運用過程で、3年ごとの改正において、対処療法的に制度を修正してきたことが、つぎはぎだらけの制度となり制度疲労を迎えているのだと思います。
 
今こそ、制度創設の原点に立ち返り、現状に合わせて、制度設計を今一度大きく見直していくべき最後のタイミングであります。

 

そのために、やらなければならない見直すべき大方針であると私が思っていることは

 

・介護報酬の適正化(必要な報酬はつけ、無駄や見直すことが可能な点は削減する)

・サービスレベルを低下させない規制改革・規制緩和(総量規制の緩和・人員基準・設備基準・運営基準の見直し)→事業者のオペレーションコストの削減

・制度のシンプル化(事務工数の削減)→実介護工数の増大とオペレーションコストの削減

・健全なサービス競争原理の働く環境の整備→そのために公表制度の見直し

・イノベーション環境、効率運営、ICT/ロボットの推進出来る環境の整備

 

このような大方針に基づく、制度設計を今一度見直していくことで

介護報酬の財源問題、人員不足の問題、サービス低下の問題への解決に繋がっていくと思っています。

 

より具体的な政策や制度提言の内容は、また今後のブログでテーマごとに論じていきたいと思いますが、

 

本題に戻って「自立支援介護」の導入メリット・デメリットの議論につなげていきたいと思います。

 

上記のような問題解決を、「自立支援介護」の導入で全てを解決することは当然ながら出来ませんが、上記の問題解決の先駆けとなり、制度疲労をおこしている介護保険制度のイノベーションのきっかけとなる制度が「自立支援介護」であると私は考えています。

 

以上のところで本日は終了とし、この現状認識を踏まえて、次回はいよいよ最も重要な論点となるメリット・デメリットを考えていきたいと思います。

 


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前回は、昨今の自立支援介護を取り巻く現状について整理しご報告致しました。

 

いよいよ自立支援介護の中身を議論していきたいと思います。

 

今回は自立支援介護の定義を考えていきたいと思います。

 

まずは、先の給付費分科会の資料にも示されていたことですが、

 

介護保険法において、「自立」の概念については、

・介護等を要する者が、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」こと

・介護保険の保険給付は、「要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう」行わなければならないこと

・保険給付の内容及び水準は、「被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅においいて、その有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」こと

とされています。

 

介護において「自立支援」の考え方を否定する者は誰もおりません。

 

しかしながら、「自立」の概念について、どういった観点に着目するかによって様々な捉え方が考えられる。先の給付費分科会においても例として、

世界保健機関(WHO)の国際生活機能分類(ICF)の概念を参考としてあげており、ICFでは、生活機能と障害を「心身機能・身体構造」と「活動・参加」に分類しており、高齢者リハビリテーションにおいては、このICFの考え方に基づき、「自立」に向けたアプローチとして、生活機能や時間軸のそれぞれの段階に対し、上記の観点から異なるアプローチを行なっています。

 

前回お伝えした通り、自立支援介護は、未来投資会議において導入議論がスタートしており、未来投資会議の場においては、自立支援介護を国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁先生の理論(通称、竹内理論)をベースとしております。

 

竹内理論における自立支援介護とは

自立を、「身体的自立」「精神的自立」「社会的自立」の3つに分類し、更に「障害児」「障害者「高齢者」の3つの分類に対して、それぞれの課題に応じた自立支援が重要であると説いています。

 

高齢者ケアにおいては4つの基本的ケアが存在し、①水分②食事③排便④運動、これらを確実に実行することでADLの問題解決に向かうと考えられています。

 

更には、認知症ケアにおいては4原則が存在し、認知症高齢者のタイプ判定を行い、①タイプ別ケア②共にある③行動の了解④安定した関係、が重要であると考えられています。

 

詳しくは、竹内先生が会長を務める「一般社団法人日本自立支援介護・パワーリハ学会」のホームページを参照ください。

 

この竹内理論が未来投資会議における「自立支援介護」の理論支柱となっております。

 

そして、この「自立支援介護」を介護保険制度の政策に落とし込むに際しては、自立支援を促し状態改善を実現した場合にインセンティブを付与するという考え方になります。

 

現在、自立支援介護の政策は

 

①自治体への評価結果に対する財政的インセンティブ付与

②介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与

 

の2つの観点から制度設計が検討されています。

 

本日は、ひとまずここまでとし、次回からはいよいよ、様々な賛否に対して論考していきたいと思います。

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