いやあ、ビックリ。手法が斬新とか、そういう次元の作品じゃないです。


1982年にレバノンの内戦の最中に起こったパレスチナ人の虐殺を、実際に従軍していたアリ・フォルマン監督の実体験を通して描いた作品なのですが、一応ドキュメンタリーの形をとりながらも、何とアニメ。


監督は戦場、そして虐殺の時の記憶が欠落してしまっていて、戦場で何が起こったのか、そしてなぜその記憶だけが失われてしまったのかを、戦友たちの証言や心理学者のコメントによって解き明かしていこうというのが、この映画の内容。


その驚くべき手法と、彼の体験を通して内戦での実態が徐々に解明されていく様子があいまって、圧倒的なパワーで映画の中に引き込まれていき、画面から目が離せません。


アカデミー外国語映画賞を『おくりびと』と争ったという話も頷ける、衝撃のアニメンタリー(※)です。


(※)アニメンタリー
タツノコプロが1971年に製作した、太平洋戦争を題材にしたアニメ『決断』のタイトルに使われた、アニメとドキュメンタリーを合成した造語。しかし、この『戦場でワルツを』にピッタリな言葉だと思うんですが・・・。