今日は4月最終日。早いもので、今年の3分の1が終わりですね~。

 

 

ここでちょっと振り返ると、今年の抱負に書いた目標はわりと順調に実行できているかなあと思います。

 

 

1.息子も今のところ調子がいいですし、2.著書のペーパーバック化も実現できました。3.読書三昧もけっこうできていますし、4.自分の訳はドキュメンタリーだけですが、見直しつつ note にまとめています。

 

 

読書については、そもそも月に1冊の低い目標でしたが・・・ニコニコ これまでは、翻訳の仕事が忙しいこともあるし映像を観ることが多くて、なかなか本をじっくり読めずにいました。

 

 

が、3~4月は講座の課題もあったしトライアルもあったりで、月に3冊ほど本を読んで、日本語でまとめたり訳したりする作業をけっこうやりました(ノンフィクションばかりですが)。

 

 

先日記事にも書いた清水俊二さんの本は、今2冊目を読んでいます。今度の本は『映画字幕は翻訳ではない』という、一瞬「え?」とたじろぐタイトルのハードカバーです。

 

 

これは清水氏の持論で「字幕翻訳は特殊で他の翻訳とは違う」ということを強調的におっしゃってるようです。確かに、すべて書かれていることを日本語にする文書翻訳と違い、読める字数にわかりやすく落とし込む字幕は普通の翻訳とは別の技術が必要です。(でもまあ、翻訳は翻訳ですけどねあせる

 

 

こちらの本もエッセイ風の文章ですが、あちこちに掲載されたものをご本人が亡くなられた後、お弟子さんたち(代表:戸田奈津子さん、上野たま子さん)がまとめ1992年に出されたものです。

 

 

前回ご紹介した『映画字幕の作り方教えます』に出ていたものも含まれますが、何年にどこに寄稿した文章か明記されているので、理解しやすくていいと思います。1960~80年代に書かれた文章ですが、掲載順ではなくバラバラです。

 

 

面白いのは本の後半。突然横文字になり、簡単な映画の紹介とセリフの解説が書かれています。こちらは1975年7月~1981年12月まで『ロードショー』誌に掲載された記事のようです。

 

 

1975年の『フレンチ・コネクション2』から1981年『天国の門』まで、今や懐かしい名画の数々が取り上げられていて、キラっと光るセリフの解説がなされています。こちらは字幕翻訳者だけでなく、広く映画ファンにもおススメの1冊。

 

 

 

また課題以外で他に読んだのは、多くの小説翻訳で知られる柴田元幸さんの『翻訳教室』です。

 

 

こちらは、東大文学部で行なった授業をほぼそのまま文字に起こしたというもので、学生とのやり取りが生々しくて、本当に授業を受けているような感じがしました。

 

 

ふだん私は翻訳ものの小説を読まないので、スチュアート・ダイベックとかバリー・ユアグローとか知らない作家さんばかりですが、小説を知らなくても楽しめます。

 

 

1ページほどの英文を1~2文ずつに分け、東大生が訳した文に柴田氏がつっこみや解説を施しながら仕上げていくのですが、何しろ最初に提示される訳文のレベルが高い!さすが東大生です。

 

 

文法解釈や単語の意味では、ほぼミスはありません。あとは、英文の細かい解釈や日本語の練られ具合などをみんなで検討していくのですが、自由な質疑応答や学生同士の指摘も活発に行われていて、非常に勉強になります。

 

 

第3章のレイモンド・カーヴァーの短編では、柴田氏と村上春樹氏の訳が両方とも出ていて比較ができるようになっているのですが、同じものを訳しているのに表現が少し違うだけで読んでる印象がちょっと変わって面白いものだと思います。

 

 

また、第4章では村上春樹氏の『かえるくん、東京を救う』を英訳したルービン氏が教室に来て、日本語で英訳を語るという面白い授業をやってくれています。(英訳のタイトルは "Super-Frog Saves Tokyo"← なぜこのタイトルにしたかという説明も伺えます。

 

 

で、次は特別講義。実際に村上春樹さんが教室に現れて (学生たちも大感激!)、小説家になったいきさつとか、翻訳への愛情とか、ご本人の言葉で話されて学生からの質問にも応じるという、まあ学生にとっては大変ぜいたくな授業になりました。

 

 

これを読める読者もまた、ぜいたくな時間を共有させていただけるわけで、非常に楽しく読めました。あんなに小説が売れてる作家さんなのに、一番やりたいのは翻訳のほうだとは知りませんでした。

 

 

また、柴田氏もすごくあっけらかんとしてらっしゃるというか、学生が「先生の訳だとここは強すぎるのでは」と指摘されると「それもそうか。じゃあ、こうしようか」と柔軟に対応されててすごいと思いました。(大ベテランの柴田氏に意見する学生もすごいが)驚き

 

 

とにかくやり取りが丁々発止で面白いし、訳が練りあがっていく様子が見られて勉強になるので、繰り返し読みたい1冊となりました。(でも、小説の翻訳はホントに大変!やりたいとは思いませんあせる

 

 

さて、明日からは課題で英語のノンフィクションを読まねばなりません!(読みながら寝ないように頑張ろう ZZZ...

 

 

みなさまも、平和で楽しい連休後半をお過ごしください♪