ここのところ、ショスタコーヴィチの交響曲第5番ばかり聞いている。おそらく、1986年の「メリー・クリスマス・ショー」という歌番組を思い出したことで、心が高校2年生の状態に戻ってしまったのであろう。

『「メリー・クリスマス・ショー」』高校2年と３年の時に「メリー・クリスマス・ショー」という特番を日テレでやっていた。最も多感だったあのころ、VHSに録画して、なんど観たことか。その特番から誕…

ameblo.jp

とにかく、高2の時は、狂ったようにショスタコーヴィチの交響曲第5番を聴いていた。当時は、ツウぶって「ショスタコの5番」とか「タコ5」とか呼んで友だちと会話していた。思い返すと、とても恥ずかしい。いまは、ちゃんと作品に敬意を表し、なるべく略したりはしない。

当ブログの筆名「mrajinsky」は、もちろんエフゲニー・ムラヴィンスキー（Evgeni Mravinsky）に由来するものであるが、ムラヴィンスキーに対して特に強い感慨を抱いているわけではない。

こう言ったらムラヴィンスキー信者の方にはたいへん失礼なのだけれども、どちらかというと、あまり聞いたことのない指揮者の中に入っている。

しかし、ショスタコーヴィチの交響曲第5番だけは、別である。1984年の音源も聞いたことがあるし、マリス・ヤンソンスが代役で指揮した1986年のレニングラード・フィルの演奏こそが、私のショスタコーヴィチの交響曲第5番の「お食い初め」でもあった。

『ムラヴィンスキーに撃ち抜かれる』《黄金期のロシア・マエストロ・シリーズ》ムラヴィンスキーの真髄⑥ショスタコーヴィチ：交響曲第5番ニ短調「革命」作品47 エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニ…

ameblo.jp

『ショスタコの5番好きはここから』ショスタコーヴィチ：交響曲第5番ニ短調作品47 マリス・ヤンソンス指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団（1986，NHK）この演奏こそが、私の「シ…

ameblo.jp

といいつつ、下記の音源にだけは、触れたことがなかったので、いまさら買ってみた。

ショスタコーヴィチ：

交響曲第5番ニ短調作品47

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮

レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

（1973，NHK）

聴いてみたら、「あら、聴いたことある」…。

たぶんだが、昔、FM放送で再放送されたものをエアチェックしたか何かで、テープを所有していたのだと思う。

冒頭の弦バスの轟きが右チャンネルの最奥から聞こえてくるところとか、第2ヴァイオリンが左チャンネルから出てくるところとか、ラッパが右チャンネル最奥から強奏してくるところとか、ホルン・ソロがヴィブラートをかけているところとか、ピアニシモの小太鼓がアクセントで入ってくるところとか、懐かしい思いでいっぱいになる。

録音芸術は、どこでもドアとタイムマシーンの両面を兼ね備えている、といつも思うが、この録音には、日本とソヴィエトの1970年代の空気がパッケージングされている。NHKの録音技術、東京文化会館の響き、巨匠時代のオーケストラ・サウンド、ソヴィエト（東側）からの（西側への）楽旅、楽器の性能、楽器の奏法、そして観衆。

感想はいらない。それがすべてなのであるが、でも一言、残しておきたい。

卓抜した演奏に理由はないんだ。感動できるかどうかなのだ。先日聴いたゲルギエフの演奏なんて、ぜんぜん霞んでしまう。仕方がない、これは「時代もの」なのだ。

↓過去の記事（ショスタコーヴィチの交響曲第5番）

『ショスタコーヴィチの交響曲5番』ショスタコーヴィチ：交響曲第5番作品47 ベルナルド・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団（1981，DECCA/LONDON）大…

ameblo.jp

ムラヴィンのショスタコーヴィチ