新年になりました。

 

昨年は安全地帯の40周年、田中さんが亡くなり、そして紅白出場…と、このバンドに関するさまざまな感情が交錯する一年でありました。

 

(以下引用)

◇第73回NHK紅白歌合戦(31日・NHKホール)
特別企画で37年ぶりに出場した安全地帯は、1988年に発売したヒット曲「I Love Youからはじめよう」を歌った。結成から半世紀。昨年12月17日には、ドラムを担当していた田中裕二さんが紅白出場決定の吉報を待たずに、65歳で天国に旅立った。紅白では、ボーカルの玉置浩二(64)ら4人のメンバーが、田中さんへの追悼の思いを込め、天国に届けとばかりの歌と演奏を届けた。
(中日スポーツ,2022.12.31)

 

正月休みも、残すところあと一日。昨日のウィーン・フィルのニューイヤーが良かったとか、オーケストラのこともいろいろ書いておきたいことはあるのですが、やはり、2023年の初めは、田中さんに関して記事にします。なお、記事中は敬意を込めて「田中裕二」と記します。偉大なアーティストに「さん付け」は相応しくないですから。

 

で、何を書くかなのですが、田中裕二の神髄については、私ごとき者が語るのも失礼だし、そもそもそんな能力を持ち合わせていないので、過去のDVDを見て、「うわー、こんなドラム・セットを使ってる!」的な、単なるファンの一人としての感想を、徒然なるままに語っていくことにします。

 

《出逢い》ビデオ・クリップより(2002年)

 

安全地帯にはSONYレコードから出たアルバムが2枚ありますが、最初の一枚が『安全地帯Ⅸ』。そのシングル・カット曲が《出逢い》でした。約10年ぶりに再活動を始めた年ですが、田中裕二のドラムセットは、まだPearl(パール)をお使いのようです。たぶん、レコーディングもPearlの機材だったのではないでしょうか。デビュー以来、ずっとPearlでしたので、何の違和感もありませんね。

 

《出逢い》ビデオ・クリップより(2002年)

 

暗くて見づらいですが、シンバルもSABIAN(セイビアン)です。これも平常運転。

 

ところが、次のアルバム『安全地帯Ⅹ/雨のち晴れ』(2003年)では、なんとシンバルがZildJian(ジルジャン)に変わっているんです。

 

《雨のち晴れ》ビデオ・クリップより(2003年)

 

当時、「おおーっ」って思いました。田中裕二に憧れてSABIANばかり使っていた僕としては(笑)

 

なお、セットはPearlのままなんです。

 

《雨のち晴れ》ビデオ・クリップより(2003年)

 

ほらね。でも、再び「おおおおーっ」ですね。このエンブレムは、PearlのZ(ジーニサル・レゾネイター)シリーズといって、すんごい厚いメイプル胴で出来ています。このドラムを演奏している田中裕二を見たことがなかったんで、僕は当時、驚いたんですね。カッコイイな、と。

 

別の曲でも出てきます。

 

《ショコラ》ビデオ・クリップより(2003年)

 

メイキング・ビデオより(2003年)

 

カッコイイなあ、「Z」の三点セット。2003年時点ですでに生産を終えていた名器でした。にわかに僕も同じものを欲しくなってしまったんですが、さすがに家に置けないので、実は「Z」のスネアだけ中古で買ってしまったのは妻には内緒です(笑)

 

ただ、実のところ、このPVからはスネア・ドラムが何なのかが分かりません。深胴(6.5インチ)ではなさそうですが、銘柄が分かりません。でも、いいんです。僕は「Z」のエンブレムを所有しただけで満足なんです(笑)

 

ここまで、興奮して書いてきて、なんなんですが、この「Z」シリーズのドラム、PV用の借り物の可能性が大きいと思います。撮影用にレンタルできたPearlのドラムがたまたま「Z」だったという可能性ですね。シンバルがZildjanだった理由もそういう感じではないかと。

 

一応補足なんですが、なぜに「Pearl」かというと、田中裕二はこの時期まで、まだ「Pearlアーティスト」として、カタログにも明記されていました。いわゆる「エンドーサー」契約だったのか、少なくとも「Pearlアーティスト」であると。

 

過去のカタログを引っ張り出してきて、調べてみました。2004年5月発行のPearlカタログにも名前がありました。

 

 

しかーし、ほんとうにこの「Z」が借り物なのか…。真相は田中さんに実際に会ってお聞きしてみたかったです…。

 

というのも、『安全地帯Ⅹ』のアルバム、ドラムの録り方がとても柔らかくて温かいんです。しかも、ドラミングが超シンプルでほとんどタムタムもフロア・タムも使っていません。《この星はみんなの星》と、《月見草》のサビ前のフィルインと印象的なエンディング…だけだと思う。あとのフィルインはすべてスネア・ドラムのみ。

 

田中裕二のシンプルさ、潔さの極みであります。

 

で、何が言いたいのかといいますと、その数少ないタムとフロア・タムの音が、《雨のち晴れ》《ショコラ》に登場した「Z」シリーズの音に近いのではないか…と。やっぱり、「Z」をレコーディングに使っているのではないか…と。

 

だとしたら、何なのか…。

 

…私が「Z」をいまさら買うかどうかという問題にしかならないのですが(笑)

 

さて、この2003年を以て、安全地帯は、またまた長い長い休止期間に入ります。次の始動は2010年を待たねばなりません。以降についても、まだまだ面白いネタが…。

 

ということで、続きは次回にします。

 

過去の記事から: