この時期美味しいエビとカニのお話です。
■伊勢エビとロブスター
まず伊勢エビは、エビ目・イセエビ下目・イセエビ科に属する
大型の高級エビですね。はさみはなく棘が特徴です。
一方ロブスターは、エビ目・ザリガニ下目・アカザエビ科・
ロブスター属に属する海産性のザリガニの仲間なんですね。
今回ロブスターを伊勢エビと偽装表示するケースが多く
見られましたが、市場価値は伊勢エビの方が断然高いですね。
ただ、ややこしいことに広い意味で、特に料理店などでは
伊勢エビも含め、海産性の大型のエビ類を総称してロブスター
と呼ぶんですね。伊勢エビは英語名でスパイニーロブスター
(棘だらけのロブスター)といいます。何にせよロブスターを
高い方の伊勢エビと偽装することはあっても、伊勢エビを
ロブスターと呼ぶことはないですね。
なお、オマールエビはロブスターのフランス語名です。
さらに私達が通常ザリガニと呼んでいるのは、エビ目・
ザリガニ下目に属する淡水生のザリガニを指す。日本ザリガニ、
アメリカザリガニなど。
■タラバガニとアブラガニ
次にズワイガニと並んで今が食べ頃のタラバガニです。
市場ではカニとして扱いますが、生物分類上はカニでは
ないんですね。
ズワイガニはエビ目・カニ下目・ケセンガニ科に属するカニです。
ところが、タラバガニはエビ目・ヤドカリ下目・タラバガニ科
に属する実はヤドカリの仲間なんですね。脚は5対あるが、
1対は隠れているため鋏を除くと3対しかないように見えます。
カニが横歩きなのに対し、ヤドカリの仲間であるタラバガニは
縦歩きもできるんですね。
ところで、タラバガニの仲間には、ハナサキガニやアブラガニ
がいますが、2004年にアブラガニをタラバガニと偽装して
販売するという事件が起こり、テレビでも報道されて有名に
なりましたね。旬を外し味の落ちたタラバガニとは区別が
付きにくいようです。稀に例外もあるが、見た目では甲羅の
中央部にある棘状突起の数で区別ができるようです。
6本がタラバガニで4本がアブラガニです。
■ズワイガニとタラバガニ
ズワイガニとタラバガニではどちらが好みですか?
タラバガニはズワイガニに比べ脚が太く身入りもよいので、
食べ応え重視の方に向いています。ただし、ズワイガニに比べ
カニらしい味には欠けます。そのため鍋にタラバガニと一緒に
ワタリガニを加えダシをとるという工夫もあるようです。
ズワイガニはタラバガニに比べると身は細いですが、5Lから
7Lなど大き目のサイズをカニしゃぶにすることにより
カニの甘味を十分に堪能することができます。
また、カニ味噌は殻の大きさとは逆にタラバガニにはほとんど無く、
ズワイガニのほうが濃厚に味わうことができます。
(※L=ズワイガニの足の販売サイズ)
さいごにエビ、カニ、ヤドカリは何れもエビ目に属し、
進化の過程で分かれたものと考えられます。
エビの尾が退化し腹にくっついたのがカニ。同じように尾が
退化し貝殻に収まるように小さくねじれたのがヤドカリとなります。
タラバガニはヤドカリっぽくなく、まさにカニのようですね。
さて、次回は何のお魚にしましょうか^^