続・三十路男とバケツと日の出 | Mr.K's Report

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Long for Master of Life.

夜から早朝へ。早朝から朝の空気へと移り変わった頃、だんだんと港には釣り人が増えてきた。

 

人様の釣りブログにお邪魔していると、どうしても今の時期は夜釣りであらずんば釣り人にあらずみたいな錯覚に陥ってしまうが、午前8時過ぎには盛況といってよいほど釣りをしている人がたくさんいた。

私は安心した。「やっぱり普通はこうだよなぁ。毎週毎週夜釣りに行くような人種は釣り人の中でもかなり特殊な釣りバカ度の高い、特殊な方々でしょ。うん」と。

 

ただ、この日榎戸漁港へ釣りに来た釣り人のほとんどが若者で、釣法は9割方テトラ帯の穴釣りかヘチ釣りに限られてはいた。正面のテトラ帯などはパッと見ただけで10人近い釣り人が確認でき、釣りを始める前の私なら何の疑いもなく「おお! 全然知らなかったけど、ここって穴場なんだ! 今はさぞかし釣れる時期なんだろうなぁ!」と思っただろう。しかし、今の私は知っている。決してそうではないことを。

 


私がしている釣り方は、人が来る前に多少テクトロのようなこともしてみたが、基本は相変わらずジェット天秤&ちょい投げ仕掛け(針2本)にガルプやらバグアンツやらをセットしての投釣りだ。いくら時期が悪くても、地道に何日もかけてずっとやっていれば何かしら釣れるだろうと、ちょっとずつ狙うポイントを変えたりしながらキャストを繰り返していた。が、何も反応がなかった。一緒に穴釣りに交じろうという気にはならなかったが、そろそろ何か違う釣法を考えなければならない時期かな、とは考えた。じゃあ何をすればいいかとなると、なかなかいいアイディアが浮かんでこなかったが。ワームの代わりにイソメを使ったぐらいでは、おそらくこの状況を打開出来まい。メバリングも上手くいかなかった。

とはいえ多少の発見もあり、これまでなるべく身体全体を使うようにまっすぐオーバースローでキャストしていたが、腕のしなりと竿のしなりを最大限に活かしてムチのようにキャストすると、より楽に遠くに飛ばせることに気づいた。その場合かえって座ったままキャストした方が調子が良く、ひとつレベルアップしたようなつもりになってだいぶ気を良くしていた。

 


午前9時頃に一組のご夫婦が現れ、その旦那さんの方がでっかいウキをつけた大きな竿を持っていた。そんなウキをテレビとかではなく実際に使うところを見たことがないし、単に穴釣り&ヘチ釣り以外の釣りをするというだけでも興味があったので話しかけようと思った。来てすぐに話しかけたのでは気安すぎるので、少し落ち着いてから行ってみようとしばらくは気にせず釣りをしていた。よし、そろそろ行こうか。と、思っていたら陸から私と同世代(?)ぐらいの男性が小走りでやってきて、どうもその男性は夫婦の息子さんだったらしく、しばらく話し込んだと思ったらそのまま一緒に釣りをしていた。ちょっと今は入っていけないなー、と引き続き釣りをしているうちに、いつの間にか3人はお帰りになっていた。あらら。


そのすぐ後、同じ場所に違うご夫婦と小学生くらいの娘さんの家族が来た。今回は特に話しかけようとは思わなかったが、手詰まり気味だったこともあり、周りの人はどんな釣り方をしているのか、みんなの釣果の方はどうか、などを知ろうと、ウロウロ歩き回っていた。ら、灯台の影からかなり大きいオモリがニュッと出来てきて、ヒュンッと沖の方へ飛んでいった。さっきのご夫婦の旦那さんのようだ。奥様とお子さんは少し離れてヘチ釣りをしていた。あー、これはあれだ。ぶっこみ釣りだ。ほぉー…なるほどねぇ。正式にはこうやるのかぁ…。

結構本格的な雰囲気である。さり気なく近づいてしげしげと拝見させてもらった。それでも、時折こちらが見ていることに気づいた上で、それが特に不快そうな感じではなかったので、声を掛けてみた。

 

「何狙いですか?」

 

旦那さんは感じ良く、「アイナメです」と答えてくれた。

 

「はー、アイナメですか」

 

少しの間、沈黙が訪れる。竿先を見てみたり、遠くにいる奥様とお子さんを眺めて『ほら、あれが私の家族ですよ。なかなか素敵でしょう?』と目線で言ったりするので、私も適当に頷いたりした。

 

「いつもはどちらへ行かれてるんですか?」

 

「いつもは、篠島とかですかね。今日は休みが1日しかなくて(笑)」

 

「あ、そうだったんですか」

 

篠島かー。いいなぁ。私も釣りを始める前に、観光で行ったことがある。知多半島より有力なポイントらしい。といっても根魚中心で、それも爆釣というほどではないらしいが。

 

「イソメですか?」

 

「今日は、イソメ!…まぁ今までここ(榎戸漁港)で釣れた試しがないけどね(笑)」

 

「あはは」

 

ははは…って、釣れたことないんかーい! 本当に、時間が限られてるから仕方なく家から近いところに奥様とお子さんを連れて来た感じだな。こりゃ私もやっぱりもうちょっとポイントを考えなきゃいけないかもなぁ。

 

「じゃあ、お邪魔しましたー」と言って会釈しながら釣り座へ戻る。

 

内容はともかく、めちゃめちゃ感じのいい人でよかったー。何気にこれまで出来ていなかった『自分から釣り人へ話しかける』というミニミッションもクリア。世界がちょっと開けた感じだ。本当に釣りを楽しんでる雰囲気と、家族への愛が伝わってきて羨ましかったなー。自分もあんな父親になりたい。


午前10時半。移動しようかな。何も食べていなかったからお腹も空いてきた。帰りがけに釣り人のバケツをチラリと見ると、ヘチ釣りをしていたズッコケ三人組みたいな高校生(?)のバケツに、小型のギンポのような魚が入っていた。へー。

某バーガーショップでハンバーガーを食べようと行ってみたら、営業開始前で仕方なくコンビニでパンを買って食べたりした。もぐもぐ。

 


そして、りんくうビーチ(小)へ到着。結構リゾート感があって、オフを過ごしているという気分がすごくするので、私はここもすっかり気に入ってる。まともに竿を構えるのは、今回が初めてになる。6台分ほどの駐車スペースには既に5台駐められている。ここも盛況なのか? と思って浜辺の方を見ると、どうやら小さい子供のいる家族連れが複数きていて、砂浜で貝殻を拾ったり、凧揚げをしているようだった。釣り人は一人もいない。ちょっとだけ肩身の狭さを感じるが、うちにも小さい子供がいるので何となく親近感もあり、微笑ましくもあった。

 

手前から二番目の捨石突堤(?)で釣りを始めた。ときどき小さい子とそのお父さんなんかが近くまで来て「釣れるのかなぁ?」なんて話している声が聞こえ、気持ちがふわふわする。

いやー、それにしても、いいね! やっぱり。この釣り場。それこそ一度も魚を釣った経験はないけれど、それでもなんかすごい開放的がありつつ、不思議な箱庭感があって癒やされるわー。他にここよりもっと近くていい釣り場が見つかったとしても、それはそれとしてときどき来たいぐらいだ。

 

 

 

この箱庭感

 

 

貝殻がらがら

 

 

開放感!

 

 

 

しばらくやっていて隣の捨石突堤付近にミオ筋みたいなものが見えるなぁと思っていたら、どうも潮目のようで、そちらの方がいいような気がしたので移動する。

例の腕だけでムチのようにしならせるキャスティングをマスターしようとずっとやっていたのだけど、残念ながらデメリットが2つ見つかった。

ひとつは肘の関節が痛くなってくること。まぁこれは疲れているからかもしれないし、周りの筋肉を鍛錬すれば何とかなりそう。というか、これ自体がその鍛錬になりそうだから良しとする(そう楽観視ばかりもしてられないのが30代なのだが…)。
もうひとつは、やたら仕掛け絡みが多くなったこと。最初は気がつかなかったが、気にしてみると明らかに多い。最後の方など3回連続で一人お祭りしていることもあった。すぅーっと素直にキャストすればそんなことはないのだが、ピシッとムチのように投げると空中で仕掛けがぐちゃぐちゃになるみたいだった。ルアーのようなワンピースものならそれでも大丈夫そうだが、…うーん。両方のいいとこ取りをしたキャスティングを編み出したい。

この日は午後6時に帰ってもいいような感じの交渉をして出てきたので、まだまだ釣りをすることは可能だったが、釣り方が定まらないと集中力も欠けてくる。だんだん疲れて、眠くなってきた。肘の関節も痛み、その上今朝の嫁の寂しそうな表情が目に浮かんできてしまう始末。それでも釣る自信があるならともかく、まったくなかったので、お昼過ぎ頃素直に帰還することにした。


帰りに意地ででっかいハンバーガーを食べる(はいまた太ったー)。その後イシグロでチニング用の仕掛けとヘッドライトなどを購入する。
びっくりさせて喜ばせようと帰宅の連絡をイシグロ(割と家から近い)を出た後にしたら、

 

「こんなに早く帰ってくるならもっと早く連絡してよ」となじられた。

 


釣行日 2.28
場所 榎戸漁港、りんくうビーチ(小)
釣果 ゼロ
アタリ ゼロ