こんばんわ。
最近、将棋の序盤が楽しくなってきた
evolokuyです。
特に相掛かりの序盤の自由度の高さが分かってきました。
今までは定跡形で進めて、終盤勝負というのが私の将棋でした。
しかしながら、昨日支部で指した相掛かりの将棋を振り返ってみて、
自由に駒組みして戦うのも楽しいなぁ、と感じました。
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今日は、
昨日放送された第3回AbemaTVトーナメント予選Dリーグ第二試合の
チーム永瀬vs.Abemaドリームチームの戦いを振り返っていきます。
それぞれのチームメンバーは以下の通りです。
チーム永瀬【バナナ】:永瀬拓矢二冠、藤井聡太七段、増田康宏六段
Abemaドリームチーム:羽生善治九段、鈴木大介九段、三枚堂達也七段
いよいよ藤田晋総監督、羽生善治リーダー率いるAbemaドリームチームの登場!
初戦は第一試合でまさかのマイナススタートとなったチーム永瀬。
崖っぷちに立たされた絶対的優勝候補がどのような戦いを見せるかが注目。
注目のオーダーはネタバレがあった通り、以下のオーダー。
【先鋒戦】増田康宏六段-鈴木大介九段
【中堅戦】永瀬拓矢二冠-三枚堂達也七段
【大将戦】藤井聡太七段-羽生善治九段
大将戦で実現したのが藤井羽生戦というゴールデンカード!
果たしてどのような展開を見せるか。
まず先鋒戦は東の天才増田六段と麻雀最強位の称号を持つ鈴木九段の対戦。
意外なワンサイドゲーム
1局目は増田六段の先手で、後手鈴木九段のノーマル四間飛車に。
対して先手は居飛車穴熊で昔からある定跡系の形に。
ただし、鈴木九段は△4四銀型に組み、少し意外な展開だった。
△5四銀型を予想していた増田六段はやや意表を突かれたか。
先手は角が行ったり来たりする展開。振り飛車もまずまずの流れで中盤戦に。
▲6四歩とくさびを打ち込んでペースを握ったかと思われたが、鈴木九段もうまく応戦。
じりじりとした持久戦らしい中盤戦が続いたが、終盤に入り7筋からの玉頭攻めが
急所に入った。穴熊の王手が掛からない一瞬で切れ味鋭く寄せ切って先勝。
2局目は先手の鈴木九段が初手▲5六歩から先手中飛車に。
後手の増田六段は急戦を見せる△4二銀に▲5四歩と仕掛けて早くも戦いに。
そこから後手は中央で盛り上がる形に。中央の厚み+エルモ囲いという感じに。
先手はその後穴熊に囲い、まずまずの序中盤と思われた。
しかしながら、二歩持ったタイミングで△1五歩~△2五桂がなかなかの端攻め。
その後も△5八歩、△6七歩と巧妙な歩で鈴木九段の読みを乱した。
相手の読み抜けを衝いて、△5九歩成~△6八歩成~△3五角の金銀両取りが
掛かって勝負あり。以下もこれまた増田六段が鋭く寄せ切って2連勝で先鋒戦を制した。
鈴木九段はここ数年、公式戦でもハイペースな指し手で好成績を残していただけに、
2連敗スタートはかなり意外な印象を受けた。次の対局で巻き返せるか。
続く中堅戦は、研究会でも顔を合わせる永瀬二冠と三枚堂七段の対戦。
鋭い“矛”と頑丈な“盾”
1局目は三枚堂七段の先手で角換わり腰掛け銀の最新形に。
後手の永瀬二冠が先攻する展開になり、棋風とは逆の展開となった。
三枚堂七段は金銀を自玉の近くに引き寄せ、対して永瀬二冠がB面攻撃に出る。
△2七角からもたれる展開になったところで三枚堂七段が反撃に出ていく。
2筋からうまくアヤを付けて攻めていき、三枚堂七段ペースで終盤戦に進んだ。
しかしながら、ここから永瀬流の受けで決め手を与えない。
三枚堂七段もうまく攻めを繋ごうとしていくが、最後は攻めが息切れしてしまった。
攻めのターンが回った永瀬二冠はここからが早く、確実に寄せ切って先勝。
2局目は先手の永瀬二冠が矢倉、後手の三枚堂七段が雁木の力戦調の将棋に。
この将棋も永瀬二冠が攻めて、三枚堂七段が陣形をケアしてという展開になった。
先手から一度仕掛けたが戦いにはならず、二次駒組みで先手は矢倉に入城。
玉の堅さが先手の方が堅くやや先手ペースに見える。
△3九角という三枚堂七段の反撃に対して、▲2六角から▲4八銀がうまい受けで
永瀬二冠がリードを広げていき、▲8四銀という手筋も飛び出し、優勢となった。
テンポ良く攻めていって、そのまま押し切るのかと思われた矢先、
チャンスを活かしきれず三枚堂七段に攻めのターンが回った。
ただ、チャンス回ってきたが三枚堂七段もトドメを刺すことができない。
終盤戦は二転三転の戦いとなったが、永瀬二冠が後手玉を追い込むも詰ませず。
最後は△7六竜~△5六飛成の決め手が飛び出し、1勝1敗のタイに。
3局目は三枚堂七段の先手で相掛かりから超がつく力戦調の将棋に。
先手は雁木調の中住まい、後手は右玉に囲って金銀を盛り上げていった。
陣形差からすると後手が作戦勝ちの様相を呈した。
厚みを主張する後手に対して、先手は▲5六歩と玉頭の歩をぶつけて打開を図った。
しかしながら、永瀬二冠は冷静に応対していき、リードを確実に広げていく。
それでも後手玉にうまくアヤをつけていき、ギリギリの終盤戦に。
永瀬玉も危険な状況かと思われたが、先手の攻め駒が少なく、スルスルと上部へ。
寄せを目指すことができそうな場面ではあったが、入玉を目指す確実な勝ち方。
最後は入玉を防げなくなったところで三枚堂七段が投了。永瀬二冠が中堅戦を制した。
大将戦は夢のゴールデンカード、藤井七段と羽生九段が対戦。
天才同士の“詰むや詰まざるや”
1局目は羽生九段の先手で角換わり腰掛け銀で後手の藤井七段が9筋を受けない形に。
先手の4筋の位に対して後手は△4四歩と反発して戦いが始まった。
藤井七段が角を先手先手で据えて、それに羽生九段が対応する流れで進む。
後手は8筋から、先手は3筋から攻めていく攻め合いでのっぴきならない展開に。
△7七角成の強襲に、▲4五桂のタダ捨て。激しい手のやり取りが続く。
羽生九段の▲5五角からの攻めを見せるも藤井七段は無視して攻め合い。
先手が馬を作ってペースを握ったように見えたが、後手も6筋からアヤを付けていく。
最後は藤井七段が△8七飛成と下駄を預けたところで、羽生九段が王手ラッシュ。
豊富な持ち駒で▲2一馬~▲3二桂成の筋から藤井玉を追い込んでいく。
しかし、読みきりだったのか、冷静に対応した藤井七段が攻めを凌いで先勝。
2局目は藤井七段が先手で角換わり腰掛け銀に。これまた最新形の将棋に。
後手は△4二玉・△6三銀型の構えで藤井七段の仕掛けを待つ流れになった。
▲4五桂と仕掛けるかと思いきや、▲4五歩と位を取ってゆっくりした将棋に。
構想力が問われる将棋になり、先手は銀矢倉、後手は右玉に組み替えた。
そこからも渋い手の応酬が続き、なかなか戦いが起こらない。
陣形の組み換えで千日手模様が続いていたが、▲5五歩から一歩を手持ちにした。
その一歩を資源に更に▲2四歩~▲3五歩と藤井七段が局面を打開していく。
羽生九段もギリギリのところで△6五歩から反撃に転じる。
先手ペースに見えるが、お互いに次の一手が難しく、いい勝負か。
羽生九段は△8六歩▲同銀と利かして△6六角から馬を作って息長く指す方針。
対して藤井七段も▲3三歩成~▲3四歩~▲6四歩と巧妙な歩の手筋で流れを掴む。
苦しくなった羽生九段も△8六歩と玉頭にプレッシャーをかけてチャンスを待つ。
金駒を渡すと自玉が危険だが、藤井七段は歩と角の省エネの攻めで下駄を預けた。
羽生九段は△8七歩成から王手ラッシュを仕掛けて、藤井玉に迫っていく。
しかし、1局目同様不詰を読み切っていたか、落ち着いた表情で対応する藤井七段。
羽生九段の攻めから逃げ切り、ゴールデンカードとなった大将戦を2連勝で制した。
この結果、開始前逆境に立たされていたチーム永瀬が見事予選突破を決めた。
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団体戦全体を振り返ると、やはり先鋒戦でその後の流れが決まったように思う。
これまでにも触れた機会があるが、先鋒戦を制したチームが団体戦を制すことが多い。
フィッシャールールに適性があると見られた鈴木九段が2連敗ということで、
Abemaドリームチームにとっては予想外のスタートで更にプレッシャーがかかってしまったか。
逆にチーム永瀬にとっては、早い段階で±0に戻すことができ、
精神的にも楽な展開となり、永瀬二冠・藤井七段が力を出しやすい流れとなったと感じた。
プロではほとんどない団体戦ということで、実力伯仲の中で流れがかなり重要なようだ。
これでチーム永瀬が一足早く予選突破を決めた。
対してAbemaドリームチームは-5ポイントと大きなビハインドを背負った。
次週はチーム広瀬とAbemaドリームチームの戦い。
Abemaドリームチームは6勝以上が予選突破の最低条件となる厳しい戦いだが、
どのような結末が待つのか非常に注目です。
それでは(^^)/~~~