昨日削除しました記事の猫の「その後の

経過を心配している」というお話しを

複数いただきましたので、経過について

記事に致します。

といっても話の内容が判らないという方も

いらっしゃるので概略を記載致します。



「概略」

13才の猫がここ数日間、食欲廃絶、悪臭が

すると来院された。

診ると金属製の自家製の首輪がずれ、

口(口角部)にはまり込み、左右の口角部は

すでに壊死を起こしていた。

首輪により口は閉じれず、飲食もできず

重度の脱水と栄養不良の状態に陥っていた。

飼い主様はこの状態(首輪が口にはまっている)

ことに気づいていなかった。




首輪を外してから自力で水を沢山飲み、

食餌もしっかり食べることができていた。

高齢でありながら、こちらの予想をはるかに上回る

驚異的な回復力で日増しに脱水状態、栄養状態は

改善。口角部の壊死も少しずつ縮小し、

きれいな組織に置き換わっていった。


【食餌もペロリ】











そして・・・




退院の日を迎えた。


とは言っても、まだまだ抗生物質の投与も必要で、

通院にはおいでいただくが、ひとまず退院できる

ところまで改善することができた。


【入院時に比べ、顔が穏やかになった。

前肢の黒かった汚れも落ち、白くなった。】




とてもとても強い生命力の持ち主であったと思う。





この自家製の首輪は、この仔をとても可愛がっていた

家族の方が手作りで作り、つけていたものでした。

今回この首輪が原因でこのようになっていたため

ただちにペンチ等で切断しようと思っておりましたが

実は作成した方が、昨年他界され「この首輪は遺品」」

とお話されたので、切断は最後の手段と考え、何とか

フックを外して、首輪を口から外すことができました。





今回この仔を大切にしていた思いから作られた首輪が

原因となり、この仔を苦しめてしまう結果となってしまいました。

確かに口の状態に気づいてあげられなかった飼い主様の

落ち度はありますが、そこはご事情があってのことでした。

病院に連れていらっしゃるまでに2日間を要しました。

この仔の首輪を外した時のこの仔の安堵の表情とともに

退院の日、この仔を迎えにいらした飼い主様はとても明るく、

朗らかでまるで別人のようでした。



また動物医療の世界に長くいるうちに、多くの読者の方が

ショックを覚えてしまうような画像に対する感覚が鈍くなって

しまっていることを痛感致しました。

以後気をつけたいと思っております。

今後とも当ブログとお付き合いいただけると幸いです。


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