新作映画「チワワちゃん」地雷 | アーチストの歓喜

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例えるなら、地雷があるなかを疾走する映画のようだ
でもチワワちゃんと呼ばれる子が失踪した前後を映しながら
なんとかゴールまでたどり着きそう
それだけでも快挙といえる

では地雷とは何か?
それは、若者青春映画にありがちなベタさ
キレイなだけの女子、むけの映画
MVやPVのような華やかさのみの映像
またはSNSやラインを映像化し、失敗するリスク
そしてミステリーへと回収する平凡さ

もっといえば、大根仁監督作品のような90年代懐古風
など、個人的にはいくつもの罠(地雷)があったと思う
いつ地雷を踏んでもおかしくないと覚悟して見ていた
にもかかわらず、上記のそれらを踏みかけるのに
華麗にスルーする技術は大したもの

結果的に最後まで見ていられたのは、
自主映画「SLUM-POLIS」などで注目され、
「THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミ ット・オブ・スリーピング ビューティ」で商業デビューしたという
新鋭・二宮健監督の手腕だろう

門脇麦、成田凌、寛一郎、玉城ティナ、吉田志織、村上虹郎らが
繰り広げる青春群像劇だが
きらびやかな映像だけでなく、露骨なアップ画像をミックスし
最初はどうかなと思ったが、今思えば
あれは監督の反骨精神だったのかもしれない

それは、若さや美しさだけが全てでない
という儚さにスポットをあてた映画のテーマにもつながるし
『桐島、部活やめるってよ』のような失踪状態でなく
チワワちゃんを捜索する、その過程で色々な人物像が見えてくる
という脚本は監督自身のもので、中々いい線

原作は「ヘルタースケルター」「リバーズ・エッジ」 などの
漫画家・岡崎京子が94年に発表した「チワワちゃん」を
地雷をくぐり抜け、現代のパリピ風に甦らせた作品

★★★