暁に祈れ | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

壮絶の一言。地獄を生き抜いた男の死闘。

2018年12月8日公開
監督:ジャン=ステファーヌ・ソベール
出演:ジョー・コール
ポンチャノック・マブラン 他

【賛否両論チェック】
賛:見ず知らずの土地で放り込まれた劣悪な刑務所での地獄と、そこで生き抜こうともがく様を、主人公と同じ目線で感じられるのが壮絶。
否:かなりむごい描写を交えて、物語が非常に淡々と進むので、盛り上がりに欠ける感があり、人によっては観るのも辛いかも。


ラブシーン・・・かなりあり
グロシーン・・・結構あり
アクションシーン・・・試合のシーンがあり
怖シーン・・・雰囲気はかなり怖いかも


 タイで薬物中毒となり、劣悪な環境の刑務所へ入ることになってしまったイギリス人ボクサーが、ムエタイでのし上がっていく様を描いた実話です。

 物語の舞台はタイ。ボクシングの闇試合のリングに上がる1人のイギリス人ボクサー、ビリー・ムーア(ジョー・コール)の姿がありました。試合には敗れてしまったビリーでしたが、自分の身支度をしてくれた少年が、自チームのセコンドに突き飛ばされたことに激昂し、殴りかかってしまいます。そんな彼の私生活は荒んでおり、ファイトマネーをヘロインにつぎ込んでは、自堕落な生活を送っているのでした。ところがそんな生活も、ある朝突然終わりを迎えます。突如踏み込んできた警察によって、逮捕されてしまったのでした。

 言葉もろくに分からないまま、やがてビリーが放り込まれたのは、チェンマイの悪名高い劣悪な刑務所。イギリス人は滅多にいないため、入所時に看守がヘロインを横流ししてくれますが、中はすし詰め状態で、死体と雑魚寝をするようなありさまでした。そこでもビリーは、少ない飲み水を巡ってケンカを起こしてしまい、懲罰房へ入れられた後に、さらにガラの悪い凶悪犯達が入所している房へと移されることになります。

 そこでビリーを待っていたのは、囚人達の容赦ない洗礼でした。真夜中、ビリーと同じ日に入所した青年が、ビリーの目前で、囚人達に性的暴行を受けてしまいます。翌朝その青年は、部屋の片隅で首を吊っているのが発見されるのでした。他の房では殺人も横行し、ビリーは文字通り地獄のような日々を送ることになります。その後も彼は、他の囚人達からの嫌がらせを受けながらも、なんとか生き延び続けるのでした。

 そんなある日、ビリーは看守から、
「ヘロインをやるから、ムスリム教徒を痛めつけろ。」
と唆され、キッチンで男達を半殺しにしてしまいます。この頃のビリーは、ヘロインに依存してすっかり自暴自棄になっていました。しかし独居房の部屋から見かけたムエタイチームの練習や、闇試合で出逢った少年との面会で、少しずつ彼の心が変わり始めます。やがて彼は、刑務所内にあるムエタイチームの門を叩くのでしたが・・・。

 言葉も分からず味方もいない中で、突如放り込まれた地獄のような刑務所。勿論自業自得とはいえ、その絶望感がひしひしと伝わってくるようで、観ていて思わずゾッとしてしまいます。前半は特に、現地の人々の言葉には字幕が付いていないので、主人公が感じる恐怖を、観る側も身をもって体感することが出来ます。

 そんな彼がムエタイと出逢い、心身を鍛えていくうちに少しずつ希望を見出していく様や、その希望さえも打ち消さんばかりの劣悪な獄中生活の凄惨さ、そして彼がどのようにして現在に至っていくのか、その辺りの主人公の成長と変遷からも、目が離せません。

 思いのほか壮絶なシーンが想像以上に淡々と進むので、盛り上がりに欠けるというか、
「思っていた内容と違う・・・」
と感じてしまう向きもあるかと思います。主人公が生き抜いていく壮絶な地獄を、心してご覧になってみて下さい。


【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>