青の帰り道 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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青春の残酷さと切なさ。赤裸々に紡ぐ群像劇。

2018年12月7日公開
監督:藤井道人
出演:真野恵里菜・清水くるみ・横浜流星・森永悠希 他

【賛否両論チェック】
賛:若者達が直面する苦悩や葛藤が如実に描かれ、その姿が痛々しくて哀しい。主題歌も見事にマッチしていて、魅力を引き立たせている。
否:DVや自殺未遂等、人によっては観せられたくないような描写も多々ある。


ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・少しだけあり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・場面によってはほんの少しだけ怖いかも


 東京と前橋を舞台に、若者達の夢と現実を描いた群像劇です。主演は真野恵里菜さん。

 始まりは、2008年の前橋でした。歌手を夢見るカナ(真野恵里菜)や、父親と同じ医師を志すタツオ(森永悠希)、東京の大学を目指すユウキ(冨田佳輔)や、校舎裏でタバコを吸ってばかりのリョウ(横浜流星)とコウタ(戸塚純貴)、そんなコウタの恋人・マリコ(秋月三佳)や、写真を撮ることが好きなキリ(清水くるみ)。いつも仲の良い7人の高校生達は、迎えたタツオの誕生日、河原に集まってお酒を飲みながら、彼の誕生日を祝います。そんなタツオの趣味はギターで、昔からカナとよくデュオを組んでいたことから、その場でも2人はせがまれるままに、昔作った楽曲を披露するのでした。

 1年後。カナの姿は、東京のライブハウスにありました。一緒に上京してきたキリがサポートをしながら、歌手として活動をしてきたカナ。その日は地元からリョウ達も駆けつけ、彼女のライブを見守るのでした。ライブ終わりに、居酒屋で再会を喜ぶ7人。ユウキは東京の大学に合格し、既に上京しており、受験に失敗したタツオは、前橋で浪人生活を続け、リョウとコウタはとび職人として働き始めていました。そしてなんと、コウタとマリコは結婚を報告。マリコのお腹には、新しい命が宿っているとのことでした。

 そんなある日、カナに転機が訪れます。キリがこっそり送ったデモテープが、芸能事務所の目にとまり、カナは「スターレコード」に所属することになるのでした。こうしてカナは、“カナコ”としてデビュー。ニンジンの着ぐるみを着たCMで、一躍有名になるのでした。そしてキリもまた、カナコのマネージャーとして忙しい日々を送ることになります。しかし同時にカナは、売れるために好きな歌を歌えなくなることに、閉口するようにもなってしまうのでした。

 一方の前橋。子育てに奮闘するコウタは、やがてその努力が認められ正社員になりますが、
「デカいことをする。」
と豪語してばかりのリョウとは、次第に溝が深まっていきます。そんなリョウは、地元の悪い先輩に誘われるがままに、自分が働く工場の銅線を盗む悪事に加担、それにタツオも巻き込んでしまいます。その後タツオは次第にふさぎ込むようになり、引きこもりになってしまうのでしたが・・・。

 高校卒業を機に上京する者と、地元に残る者。その誰もが夢を追い、将来に希望を持っていたはずなのに、気がつけば夢と現実の違いに思い悩み、疲れ切ってしまう。カナを始めとする7人の若者達が直面する、様々な苦悩と葛藤が赤裸々に描かれ、青春というものの持つ残酷さや切なさが、ひしひしと伝わってきます。

 そしてこの作品のもう1つの魅力が、主題歌であり挿入歌としても登場する、amazarashiさんの「たられば」です。自分の半生を振り返り、ないものねだりの想像をしてしまうその歌詞が、人生にもがくカナやタツオ達の姿と巧みに重なって、何ともいえない味わい深さを際立たせているようです。

 DVや自殺未遂といった重たい描写も出てくるので、軽い気持ちでは観られませんが、生きていくことの辛さや、それ故の仲間の温かさを感じさせてくれるような、そんな作品かも知れません。


【ワンチャン・ポイント】
※清水くるみさん・・・本作では、主人公・カナの親友・キリ役。最近の映画では、土屋太鳳さん主演の「orange -オレンジ-」や、臼田あさ美さん主演の「南瓜とマヨネーズ」等に出演されているほか、3人の若者の運命が交錯する様を描いた「jam」にも、町田啓太さん演じる青年の恋人役で出演していらっしゃいます。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>