散り椿 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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時代劇特有の予定調和感。命を賭して守る、約束と絆。

2018年9月28日公開
監督:木村大作
出演:岡田准一・西島秀俊・黒木華 他

【賛否両論チェック】
賛:亡き妻の想いを受けて帰郷した主人公と、義姉弟達や戦友との絆や、妻の真の想いを通じて、人間が生きていくことの儚さや尊さを思い知らされるよう。岡田准一さんの殺陣も必見。
否:悪く言うと、ただただ予定調和の中で話が進んでいくだけの印象。登場人物の関係性も入り組んでいて分かりにくいほか、映像もフィルム仕様でやや色が薄く見える。


ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・結構あり
アクションシーン・・・あり
怖シーン・・・基本的にはなし


 時代劇です。かつて藩を追われた剣豪が、亡き妻の願いを果たしに、故郷へと戻ってきます。主演は岡田准一さん。

 物語の舞台は、享保15年の江戸時代。主人公の瓜生(うりゅう)新兵衛(岡田准一)は8年前、仕えていた扇野藩内部の不正を訴え出たものの、認められず、妻の篠(麻生久美子)と共に故郷を追われ、今は京へと身を寄せていました。寒い冬のある日、重い病に伏せる篠のために、湯豆腐を買って家路に着いていた新兵衛を、数名の刺客が襲います。しかし、かつて扇野藩の平山道場で四天王と呼ばれた新兵衛は、逆に刺客達を打ち倒してしまうのでした。その夜、篠は新兵衛に頼み事をします。それは、
「自分が死んだら、代わりに故郷の榊原家に咲いている椿の散る様を見てほしい。」
というもの。それからしばらくして、篠は帰らぬ人となってしまうのでした。

 ところ変わって、扇野藩内の峠。扇野藩士で篠の弟でもある坂下藤吾(池松壮亮)は、同僚の宇野十蔵(新井浩文)と共に、山の見回りをしていました。その途中、2人は茶屋に立ち寄りますが、そこへ暴走した馬が走ってきます。道の真ん中では茶屋の幼い娘が遊んでいましたが、危険を察した藤吾が瞬時に抱きかかえて避けたため、無事。その後、馬に飛び乗って暴走を止めたのは、人知れず戻ってきていた新兵衛その人だったのでした。新兵衛はそそくさとその場を立ち去りますが、十蔵がすぐに城代家老・石田玄蕃(奥田瑛二)へと告げ口をしたため、新兵衛の帰郷の噂はすぐに広まるところとなってしまいます。

 新兵衛はその足で平山道場を訪れ、現在の道場主・平山十五郎(柳楽優弥)と手合わせをします。その後新兵衛は十五郎から、かつて新兵衛が収賄を疑い、その直後に何者かに殺害された藩士の刀傷が、四天王しか使えない技「かげろう斬り」だったことを聞かされます。四天王と言われていたのは、新兵衛の他に、現・側用人の榊原采女(西島秀俊)と現・馬廻組頭の篠原三右衛門(緒形直人)、そして元勘定方の坂下源之進(駿河太郎)の3人がいましたが、源之進は事件の責を一身に背負い、切腹していました。逆に十五郎は、新兵衛に
「何故戻られたのか?」
と問いただしますが、聞かれた新兵衛は、
「死ぬ時と場所を探しに。」
と、話をはぐらかすのでした。その後新兵衛は、篠の実家である坂下家を訪れます。当初、藤吾は新兵衛を警戒しますが、そんな藤吾をいさめ、新兵衛を温かく招き入れたのは、篠の妹で源之進の妻でもあった里美(黒木華)でした。

 新兵衛の帰郷を聞き、最も眉をひそめていたのは、城代家老の石田玄蕃。折しも若殿・千賀谷政家(渡辺大)の江戸からの帰国を翌年に控え、これまで数々の清濁を併せ呑んできた石田にとって、政家の耳に入ってはよろしくない事柄が多々あるのでした。一方、側用人の榊原采女にとっては、石田の不正を正す絶好の機会とあって、石田は密かに、
「采女が新兵衛を呼び戻したのでは?」
と疑っていました。しかし実は、これも篠の最期の頼みの1つでした。新兵衛は彼女の、
「采女を助けてほしい。」
という願いを叶えるべく、故郷へと舞い戻って来たのでした・・・。

 まずフィルム仕様の映像なので、通常の映画よりもやや色合いが薄く見えます。古めかしい感じがあるので、もうその辺りから好き嫌いは分かれて来そうな感じでしょうか。

 亡き妻との約束を果たすため、陰謀渦巻く故郷へと戻ってきた主人公。そこで紡がれていく義理の姉弟達との新しい絆に、生きていくことの尊さが垣間見えるようです。個人的には新兵衛の、
「大切なものに出逢えれば、それだけで幸せだと思っている。」
という言葉が印象に残りました。

 そしてそんな新兵衛達や、かつての戦友をも飲み込んでいく陰謀の中で、最後に気づかされる亡き妻の本当の想いには、思わずグッと来ます。ラストは、大切なものを奪われた人間の怒りや哀しみが体現されているようで、圧倒されてしまいます。

 良くも悪くも話はただただ淡々と進んで、予定調和の中であっさりと終わり、「ザ・定番の時代劇」という感も否めませんので、基本的には観る人を選ぶ作品といえそうですが、岡田准一さんの迫力満点の殺陣は、一見の価値ありです。気になった方は是非。


【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>