億男 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

お金とは、そして人間とは。身につまされる異色のヒューマンドラマ。

 

2018年10月19日公開
監督:大友啓史
出演:佐藤健・高橋一生・黒木華 他

 

【賛否両論チェック】
賛:消えた大金と親友を探し奔走する主人公の姿を通して、「お金」というものの本質を問うていく内容が深い。人間関係をも変えてしまうお金の怖さや、それ故の本当の意味での友情等、味わい深い人間ドラマが観られるのも魅力。

否:ストーリーそのものはかなり現実離れしているので、リアリティはない。クセのある登場人物達も、好き嫌いが分かれるところか。

 

ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし

 


 川村元気さん原作小説の映画化です。3億円を手にした直後、お金と親友が消えてしまった主人公の葛藤を描きます。主演は佐藤健さん。

 

 とある広々としたマンションの一室で、大勢の人を招いたパーティーが開かれていました。その輪の中心にいたのは、マンションの所有者でパーティーを主催した実業家の古河九十九(高橋一生)と、その大学時代の友人・大倉一男(佐藤健)。2人は札束をバラまいてひとしきり楽しみますが、やがて一男は酔い潰れ、床に突っ伏して寝てしまいます。すると九十九は早足で2階に上がると、金庫から大量の札束をカバンに詰め込み、姿をくらましてしまうのでした。

 

 次に一男が目を覚ますと、既にパーティーはお開きとなっていて、誰もいないフロアに昨夜のゴミだけが散乱しているのでした。事ここに至って、一男は昨夜まであったはずの大金がなくなっていることに気がつきます。そして九十九の姿もなくなってしまっているのでした。慌てた一男は、昨夜強引にアドレスの交換をさせられた美女・あきら(池田エライザ)と連絡を取りますが、どうやら彼女は呼ばれてパーティーに来ただけらしく、九十九の連絡先や居場所に心当たりはないとのこと。それでも必死に食い下がる一男に、あきらは百瀬(北村一輝)という男を紹介します。百瀬は、九十九がかつて起業して立ち上げた売買サイト「バイカム」の創設時のメンバーで、今は自身の会社を経営しながら、競馬場のVIPルームで競馬を楽しむというギャンブル好きな男でした。そんな百瀬は2人を迎え入れながらも、一男に事の次第を話させるのでした。

 

 一男は現在、安アパートで一人暮らしをしながら、昼間は図書館の司書として働き、夜はパン工場で働くという激務をこなしていました。その理由は、兄の保証人になったがために抱えることになってしまった、3000万円の借金。妻の万佐子(黒木華)と愛娘のまどかとは、既に別居状態が続いているのでした。そんなある休みの日、久しぶりにまどかと過ごせる貴重な1日を、一緒に近所の商店街をブラブラして過ごしていた一男は、通りがかりのお婆さんから福引券をもらいます。景品にはまどかが欲しがっていた自転車もあり、一男はすがる想いでくじを引きますが、結果は宝くじ券。ところが、一男が本当に驚いたのはここから。テレビで抽選結果を観ていた一男は、もらった宝くじの番号が3億円の当選番号と全く同じだと気づくのでした。

 

 これで借金を返し、再び万佐子やまどかとやり直せると喜ぶ一男でしたが、一方で彼は突然手に入った大金をどうしていいか分からず、途方に暮れてしまいます。そんな彼が頼ったのが、かつての大学時代の落語研究会の同期で、親友でもあった九十九だったのでした・・・。

 

 親友と大金が一夜にして消え、必死でその行方を探す主人公・一男。その過程で彼が出逢う、ひと癖もふた癖もある登場人物達との関わりを通して、一男のお金に対する考え方が変わっていく姿に、観ている側もお金について、改めて考えさせられてしまいます。個人的には、藤原竜也さん演じるマネーセミナーの教祖・千住の
「人類はお金を崇める宗教を信じさせられている。」
という言葉や、沢尻エリカさん演じる大金を隠す主婦・十和子の
「人に値段ってあるんだな。」
というセリフが印象的でした。

 

 そしてそんな一男自身ですら、手にした大金で家族を呼び戻そうとしていたり、一男と九十九が大学時代に訪れたモロッコでの一件等、大切な人々との関係性の中でも、お金が切っても切れないものであることを痛感させられるようです。

 

 親しかった人々との関係や、己の人生をも激変させてしまう。そんな「お金」というものの存在意義について、否が応でも考えさせられるような、そんな作品に仕上がっています。

 


【ワンチャン・ポイント】
※カフェのシーン・・・劇中、佐藤健さん演じる一男が娘のまどかと会っていたカフェの内部は、恐らく「SUNNY 強い気持ち・強い愛」で、篠原涼子さん演じるヒロインが小池栄子さん達と会っていたカフェと同じところかと。

 

オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>