累 かさね | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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人間が持つ底無しの欲望。「偽物が本物を越える瞬間」とは。

2018年9月7日公開
監督:佐藤祐市
出演:土屋太鳳・芳根京子・横山裕 他

【賛否両論チェック】
賛:次第に露になっていく人間の欲望や愛憎を、演者さん達が見事な怪演で体現している。劇中劇や主題歌とのマッチも見事。
否:設定や展開は結構強引で、かなり無理もある。


ラブシーン・・・ほんの少しだけあり
グロシーン・・・ほんの少しだけあり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも


 コミックの実写映画化です。顔を入れ替えることが出来る不思議な口紅を使い、女優として頭角を現していく2人の女性の愛憎劇を描きます。主演は土屋太鳳さんと芳根京子さん。

 きっかけは往年の大女優・淵透世(ふちすけよ)(檀れい)の13回忌でした。淵累(ふちかさね)(芳根京子)は、故人の一人娘であるにも関わらず、法要は叔母の峰世(みねよ)(筒井真理子)に任せきりで、端の方でジッとしているだけ。遺産目当てで累を引き取っていた峰世は、いつものように累につらく当たり、いたたまれなくなった累は席を外してしまいます。そんな累に、1人の男が声をかけてきます。男は元舞台演出家で、現在はマネージャーをしている羽生田釿互(はぶたきんご)(浅野忠信)。羽生田は累に、現在マネジメントをしている若手女優が出ているという舞台「虎の花嫁」のチケットを渡していくのでした。

 それから数日後のある夜、累は羽生田に連れられ、「虎の花嫁」を観に来ていました。主演で出ていたのは、羽生田が担当している女優・丹沢ニナ(土屋太鳳)。公演後、羽生田は累とニナを引き合わせます。彼によると、現在ニナはスランプに陥っており、しばらくの間累に代わりを務めてほしいとのこと。しかし大きなマスクをしている累はオドオドするばかりで、とても代役が務まるようには思えません。元々プライドが高いニナも、高飛車な態度を崩さず、累のマスクをはぎとってしまいます。すると累の左ほおにあったのは、大きな傷。ニナは大げさに驚くと、累が弾みで落とした口紅を拾い、無理矢理累の口元に塗りたくります。ところが累は、
「教えてあげる・・・劣等感って奴を。」
と言い放ったかと思うと、突然ニナにキス。すると次の瞬間、2人の顔が入れ替わってしまうのでした。実は口紅の存在は羽生田も知っており、それを使って累をニナの代役に仕立て上げようとしていました。当初は固辞していた累も、母親と同じ女優の道への憧れを持っていたため、最終的にはニナの代役を務めることになるのでした。

 その後ニナの顔を借りて累が受けたのは、新進気鋭の若手演出家・烏合零太(横山裕)の舞台「かもめ」のオーディション。そこで累は、人並み外れた天性の演技力を見せて烏合の目に留まり、見事ヒロインのニーナ役を勝ち取るのでした。それからも累はニナに代わり、稽古に明け暮れる毎日を送るのでしたが、そんな中で累は、次第に烏合へと心惹かれていきます。ところが烏合には、元々ニナも恋心を抱いていたため、愛憎と嫉妬に駆られた2人の間には、次第に微妙な距離感が生じてしまうのでした・・・。

 お互いの目的のために、顔を入れ替え始めたニナと累。しかし累の才能がニナとして開花し始めた時、次第に2人が持つ愛憎と欲望が露になってくる様に、人間が持つ本性の浅ましさが如実に表れていくようです。

 そしてやはり何といっても、土屋太鳳さんと芳根京子さんの怪演が見事です。顔が入れ替わった後の仕草や言葉使い、ふとした表情に至るまで、何も説明されなくても、観ていて
「あ、今は入れ替わってるんだな。」
と、すぐに感じ取ることが出来ます。

 ラストは劇中で演じられる「サロメ」と面影が巧みに重なる部分があり、その辺にも演出の妙が感じられます。また、Aimerさんの主題歌「Brack Bird」も、作品の世界観に見事にマッチしていて、思わず聴き入ってしまいます。

 よくよく考えるとツッコみどころも多そうですが、2人のヒロインが織り成す妖しげなミステリーを、是非ご覧になってみて下さい。


【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>