家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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~「優しい言葉は他人を傷つけるから、あんまり好きじゃないんです。」~
 
2018年6月8日公開
監督:李闘士男
出演:安田顕・榮倉奈々・大谷亮平 他
 
【賛否両論チェック】
賛:笑いのオブラートに包みながら、お互いを分かっているはずなのに案外分かっていない「夫婦」というものの在るべき姿や、様々な葛藤を乗り越えて紡がれていく本当の家族愛に、思いのほか感動させられてしまう。全てを語りはしない日本的な奥ゆかしさが、作品全体を通して感じられるのも印象的。
否:主人公達の少し不思議な人間性には、どうしても観ていて得意不得意が出てきそうなところではある。観る側の想像に委ねられる部分もあるので、その辺りも好みが分かれるか。
 
ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・ほんの少しだけあり
 
 
 Yahoo!知恵袋から派生して、まさかの映画化です。主演は安田顕さんと榮倉奈々さん。
 
 主人公は普通のサラリーマンの加賀美じゅん(安田顕)。離婚経験があるバツイチの彼は、現在の妻・ちえ(榮倉奈々)と結婚するに当たり、2人で1つの約束事を決めていました。それは、「3年後にお互いの意志を確認し、その後も結婚生活を続けていくかを決める」というもの。そしていよいよ、もうすぐ3回目の結婚記念日を迎えようとしていたある夜のこと、いつものようにじゅんが帰宅すると、なんとちえがリビングで口から血を流して倒れているのでした。慌てたじゅんはすぐに救急車を呼ぼうとしますが、間違えて「117」の時報に電話をかけてしまいます。おまけに次の瞬間、どう見ても死んでいたはずのちえに突然足を捕まれ、じゅんは思わず絶叫してしまうのでした。そんなじゅんの様子を見て、満足げなちえ。実は彼女は、何故か死んだふりをしていたのでした。その後一緒に夕飯を食べながら理由を聞いたじゅんでしたが、何となくはぐらかされてしまいます。しかしその日の出来事は、始まりに過ぎませんでした。
 
 その後もちえは、次から次へと様々なバリエーションを計画しては、帰宅したじゅんを死んだふりで出迎え続けます。さすがのじゅんも次第に呆れて慣れっこになってしまいますが、時には翌朝捨てた“死体グッズ”を大家に見つけられ、大騒ぎになってしまうことも。たまりかねたじゅんは同僚の佐野(大谷亮平)に相談し、彼の提案で夫婦同士4人で食事をすることにします。そこでちえは、初めて会った佐野の妻・由美子(野々すみ花)に結婚した理由を聞かれ、
「はんぶんこ。」
と答えるのでした。
 
 じゅんとちえの馴れ初めは、ちえの実家のある静岡でした。その日じゅんは、出張先だった静岡でバスを逃してしまい、たまたま居合わせた寿司屋の娘・ちえに笑われてしまいます。その後、彼女の父・進一(螢雪次朗)が切り盛りする寿司屋に顔を出したことがきっかけで、2人の交際が始まったのでした。そして中距離恋愛中だったある時、2人は自由が丘でデートをし、ちえが前々から食べたがっていたケーキを買いますが、ふとじゅんが目を離した隙に、ちえはアイス屋さんの自転車を追いかけて行ってしまいます。自由が丘中を必死に探し回り、ようやくちえを見つけたじゅん。するとちえは、買ったアイスをじゅんと“はんぶんこ”するのでした。佐野夫妻との食事を終えた帰り道で、そんな自由が丘デートのことを思い出していたじゅんに、ちえは
「探せば私は必ず見つかります。」
と告げ、
「月が綺麗ですね。」
と夜空を見上げるのでした。
 
 その後ちえはじゅんの勧めで、近所の小さなクリーニング屋で働いてみることになりますが、しかしそれからも死んだふりは続き、いよいよネタが尽きてくると、今度は幽霊になったり未来人になったりし始め、じゅんはとうとう閉口してしまうのでした・・・。
 
 タイトルは割とスゴいですが(笑)、その実は非常に心温まる夫婦愛を描いています。
 
 3年目の結婚記念日を前に、突然死んだふりを始めた不思議な妻・ちえと、そんな妻に戸惑いながらもその気持ちを推し量り、寄り添おうとする心優しい夫・じゅん。一見滑稽にも思える2人の姿を通して、分かっていそうで案外分かっていない、本来1番近い存在であるはずの夫婦の在り方を、オブラートに包みながら訴えかけてくるようです。
 
 そして、ちえの父親やじゅんの同僚夫婦との関わり合いを経て、ちえが死んだふりをしてきた理由が徐々に明らかになっていくに連れ、本当の家族愛というものの尊さにも、思わず静かに感動させられてしまいます。
「月が綺麗ですね。」
は、やっぱり名言だと思います。
 
 安田顕さんと榮倉奈々さんだからこそ出来た、観終わった後に心がほっこりするような、そんな作品です。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※李闘士男監督・・・本作の監督さん。最近ではなんといっても「デトロイト・メタル・シティ」の監督として有名なお方ですが、他にも幕末にタイムスリップした教師と高校生達を描いた「幕末高校生」や、バリ島で実際に起業した日本人を基に描いた「神様はバリにいる」等も監督していらっしゃいますね。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>