パンク侍、斬られて候 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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意味不明だけど痛快。破天荒すぎる新感覚時代劇!!
 
2018年6月29日公開
監督:石井岳龍
出演:綾野剛・北川景子・東出昌大 他
 
【賛否両論チェック】
賛:達観した世界観の中で、スクリーン狭しと駆け回る主人公達の活躍や、豪華なキャスト陣の小気味よい掛け合いが楽しい。
否:展開は割と意味不明なので、正統派好きな方が観ると、絶対に退屈してしまうはず。若干のグロシーンもあり。
 
ラブシーン・・・下ネタが少しあり
グロシーン・・・少しあり
アクションシーン・・・あり
怖シーン・・・基本的にはなし
 
 
 宮藤官九郎さん脚本で、江戸時代の小さな藩を舞台に、世紀の大合戦が描かれます。主演は綾野剛さん。
 
 時は江戸時代。山あいにある黒和(くろあえ)藩へと街道で、物乞いらしき親子が休んでいました。やがて父に促され、盲目の娘が立ち上がりかけた次の瞬間、通りかかった1人の浪人が、突然父親を斬り殺してしまうのでした。そのまま何事もなかったかのように立ち去ろうとする浪人に対し、近くの茶屋にいた黒和藩藩士・長岡主馬(しゅめ)(近藤公園)が呼び止めます。浪人の正体は、自らを“超人的剣客”と言ってはばからない掛十之進(綾野剛)。どうやらその言葉に偽りはないようで、斬りかかろうとした長岡は一瞬で刀を折られ、恐怖で小便を漏らしてしまうのでした。掛いわく、この物乞い達は
「土地に災いをもたらす“腹ふり党”の一味。」
とのことでしたが、ふと父親の亡き骸に目をやった掛は、腹ふり党にあるはずの渦巻き状の入れ墨がないことに気がつきます。人違いだとは言える訳もなく、掛は白々しくその場を後にしますが、そんな彼の後ろ姿を、盲目の娘が睨みつけているのでした。
 
 この黒和藩は、筆頭家老の内藤帯刀(たてわき)(豊川悦司)と次席家老の大浦主膳(國村隼)との二派に分かれており、両者は激しい権力闘争を繰り広げていました。その当主はというと、冗談が全く通じない堅物の黒和直仁(東出昌大)。ある日内藤は、直仁の御前において、近隣の藩で猛威を振るっているという腹ふり党の脅威を訴え、専門家として掛を起用する旨を提案します。そんな内藤の提案をせせら笑う大浦でしたが、掛はというと、大浦に対して横柄な態度をとり始め、しまいには尻を出して無礼な振る舞いをするのでした。当然大浦は烈火のごとく激怒し、掛に対して刀を抜きますが、実はこれは内藤の策略。遡ること数日前、掛は内藤に
「腹ふり党を掃討する策略がある。」
と言って近づいたのですが、老獪な内藤は、掛の言葉がただのハッタリであることを一瞬にして見抜いてしまいます。その上で内藤は掛に対し、手打ちにしない代わりに、殿の御前で大浦を小馬鹿にするよう、指示を出していたのでした。果たして、その思惑通りに激昂した大浦をなだめ、内藤は直仁の信頼を勝ち取ることに成功します。
 
 一方、面白くないのは大浦。彼は家臣の幕暮(まくぼ)孫兵衛(染谷将太)に命じ、暗殺のエキスパートである真鍋五千郎(村上淳)に、掛の暗殺を依頼させます。真鍋は早速、山道を1人で歩いていた掛に戦いを挑み、2人は互角の勝負を繰り広げますが、やがてお互い何かに気がついた様子。それもそのはず、実は2人は竹馬の友で、同じ超人的剣客養成所「そこの穴」で育った仲だったのでした。かくして暗殺は失敗。しかもゆとり世代の孫兵衛は、ついつい直仁の御前で暗殺依頼をバラしてしまい、大浦はたちまち失脚してしまうことに。大浦は何故か長岡と共に、屁高(へだか)村で猿回しを行う「さるまわ奉行」にさせられてしまうのでした。
 
 同じ頃内藤は、近隣の村へと放った諜報員・江下レの魂次(えげれのこんじ)(渋川清彦)から、
「腹ふり党はとっくに滅んでいる。」
との報告を受けます。そわそわとし始める掛を内藤は落ち着かせると、偽の腹ふり党をでっち上げるように指示。かくして掛と魂次達は、腹ふり党のかつてのナンバー2だった男・茶山半郎(浅野忠信)が住む隠れ家へと向かうのでしたが・・・。
 
 良くも悪くも、ブッ飛んでいる世界観の時代劇です。なので、時代考証なんてものはお構いなし。時代劇で「win-win」なんて単語を初めて聞きました(笑)。
 
 そして破天荒なのは世界観だけではなく、ストーリーもまさにハチャメチャ。最初こそ筋道立って進んでいきますが、後半はもはやカオスで、その辺りについてこられるかどうかで、好き嫌いはハッキリ分かれそうです。
 
 そんな中で光るのは、豪華なキャストの皆さんによる、コメディ色豊かなやり取りの数々。特に綾野剛さん演じる主人公・掛十之進の適当すぎるキャラクターには、思わず笑ってしまうこと請け合いです。
 
 言ってみれば、観る人を圧倒的に選ぶ作品でもありますが、気になった方は是非。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※若葉竜也さん・・・本作では、念動力の使い手・オサム役。最近の映画では、菅田将暉さん主演のコメディ「明烏 あけがらす」や、三島由紀夫原作の「美しい星」、そして福士蒼汰さん主演で実写映画化された「曇天に笑う」等にも出演していらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<ストレス発散したい>