友罪(ゆうざい) | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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「家族」とは何か。極限の立場から問う群像劇。
 
2018年5月25日公開
監督:瀬々敬久
出演:生田斗真・瑛太・佐藤浩市・夏帆 他
 
【賛否両論チェック】
賛:家族や愛について、「罪」という切り口で問いかけてくる内容が印象深い。
否:様々な人間模様が雑多に入り混じっているので、鑑賞後にモヤモヤ感が残りそう。人によっては、観ていて不快感を覚える描写もある。
 
ラブシーン・・・乱暴するシーンがあり
グロシーン・・・汚物や傷口のシーン等があり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも
 
 
 小説の映画化です。夢を諦めた元記者が、世間を騒がせた「元少年A」と出逢うミステリーです。主演は生田斗真さんと瑛太さん。
 
 川口市内のとある工場に住み込みで働き始めた、2人の青年。早速同僚達の前で挨拶をすることになりますが、元雑誌記者の益田純一(生田斗真)とは対照的に、もう1人の鈴木秀人(瑛太)は一切喋ろうとせず、作業員達の間では怪訝そうな空気が漂います。特に寮で一緒になった清水(奥野瑛太)や内海(飯田芳)といった先輩達は、あからさまに鈴木を敬遠するのでした。
 
 時を同じくして、埼玉県内の人気(ひとけ)のないトンネル内で、幼い少年が殺害されているのが見つかります。雑誌の記者で益田の元同僚・元恋人でもある杉本清美(山本美月)は、タクシーで事件現場へと到着。一方、そのタクシーを運転していたドライバーの山内修司(佐藤浩市)はというと、かつて息子が交通事故で3人の児童を殺めてしまった、いわば犯罪加害者の家族でした。彼は今も折を見ては遺族へ謝罪に回っていましたが、もう事件のことを忘れたがっている遺族からは、
「あんた何にも分かってないよ!!」
と罵られ、受け入れられずにいました。
 
 益田と鈴木は工場で働き続けていましたが、鈴木は相変わらず誰とも関わろうとせず、同じ寮の益田達をも避けてばかりで、夜もわざわざ近くの橋で時間をつぶしては、益田達が寝るのを待ってから帰宅する有り様でした。そんなある日のこと、近くに住む電話オペレーターの藤沢美代子(夏帆)は、自転車に乗った不審者に付きまとわれ、たまたま通りかかった橋にいた鈴木の陰に隠れます。また別の日には、自転車置き場で待ち伏せをしていた元恋人の達也(忍成修吾)に絡まれ、この時は同じように逃げた先にいた鈴木が、達也にボコボコに殴られることになってしまうのでした。そんな出逢いがきっかけとなり、鈴木と美代子は次第に親しくなっていきます。一方の益田は、清水と内海に無理強いされる形で、得体の知れない鈴木の部屋を調べることに。彼の荷物からはナイフの他に、巧みなデッサンが描かれたスケッチブックが出てきますが、その中には意味ありげな裸婦像も描かれているのでした。
 
 ところ変わって、少年院で非行少年達の指導に当たっている、白石弥生(富田靖子)。ある日彼女は上司から、17年前に2人の児童を殺害し、弥生が更生させた少年・青柳健太郎が、現在行方知れずになっているとの連絡を受けます。青柳の起こした事件は、当時その猟奇性から「五芒星事件(日立連続児童殺害事件)」と呼ばれ、彼もまた「少年A」として騒がれた人物でした。同じ頃、益田が工場での作業中に機械に指を切断されてしまうという事故が発生。益田に作業を任せてしまった清水が、責任を感じて彼に付き添い、益田は山内が運転するタクシーで、近くの病院へと向かいます。そしてこちらも同じ頃、清美は上司から、今回起きた児童殺害事件と元少年Aとの関連を調べてみるよう指示されるのでしたが・・・。
 
 「元少年A」という本筋のストーリーはありますが、どちらかというと群像劇に近いような印象を受けます。かつて親友を亡くし葛藤し続ける益田や、家族を解散させることで息子の罪と向き合うしかなかった山内、過去につけ狙われ拠り所を求める美代子や、少年少女達を救おうとするがあまりに我が子との繋がりが見えなくなってしまう弥生。そして何よりも、決して許されない罪を犯した青柳健太郎の心の真実。
 
 そうした彼らの慟哭から浮かび上がってくる、
「『家族』とは何か?『友情』とは何か?『愛』とは何か?」
といった普遍的な問いかけが、観ている側の喉元に突きつけられるような、独特の重苦しさがあります。
 
 一方で、そんな様々な人間模様が一緒くたになっているがゆえに、観終わった後に心に残るものが少ないような気もしてしまいます。女性に乱暴するシーンや、そもそもの事件の猟奇性等、思わず眉をひそめてしまうような描写が多いのも気になるところです。
 
 良くも悪くも重たい内容なので、思わず自分の生き方を考えさせられる作品といえそうです。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>