悪と仮面のルール | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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最後の最後で救われる。不気味すぎる“悪”の本質。
 
2018年1月13日公開
監督:中村哲平
出演:玉木宏・新木優子・吉沢亮 他
 
【賛否両論チェック】
賛:計画された通りに“悪”へと染まっていく主人公の姿を通して、善悪や生きる意義、そして人間としての幸福論等、奥深いテーマを掘り下げていく様が印象的。
否:セリフの言い回しや展開がどこか小説的で、あまり現実味がないか。グロシーンもあり。
 
ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・かなりグロいシーンがあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・雰囲気はかなり怖いかも
 
 
 ミステリー小説の映画化です。想いを寄せる女性を見守り続ける主人公が、悪に染まっていく様を描きます。主演は玉木宏さん。
 
 日本有数の財閥・久喜家に生まれた主人公・文宏。彼は11歳のある夜、ひどく酔った父・捷三(村井國夫)から、
「お前は“悪”にするために、意図的に作った子供だ。」
と、衝撃の事実を告げられます。話を続ける捷三は、文宏と同年代の少女・香織を連れてこさせると、
「そのために、お前が14歳の時に地獄を見せる。その時に彼女が必要だ。」
として、香織を養女として引き取ることを告げるのでした。こうして、ひとつ屋根の下で暮らし始めた文宏と香織。その後2人が恋に落ちるまでに、それほど時間はかかりませんでした。
 
 十数年後の現在。成長した文宏は、整形手術によって顔を完全に変え、「新谷浩一」という故人の身分を手に入れていました(玉木宏)。やがて新谷(文宏)は、かつて久喜家の仕事を請け負っていた探偵・榊原(光石研)に接触すると、身分を偽ったまま巨額の報酬で仕事を依頼します。その内容とは、成長して独立した現在の香織の生活の様子を、事細かに報告させるという変わったものでした。時は遡り、中学時代の文宏。彼は香織と愛し合っていましたが、そうなることを計画していた捷三は、自分を殺させて文宏を完全な悪に染めるべく、香織に手出しをするようになっていきます。日に日にエスカレートする捷三の振る舞いに対し、文宏は捷三の思惑通り、次第に憎悪をたぎらせるようになっていくのでした。
 
 一方で現在。すぐに香織の様子を探ることに成功した榊原から、浩一は早速報告を受けていました。それによると、成長した香織(新木優子)は現在、ホステスとして働いていましたが、そんな彼女の周辺に、矢島という薬物中毒の詐欺師が久喜家からの遺産を狙い、客を装って近づいているとのこと。それを知った浩一は、ある夜矢島に接触を図ると、上物の薬物に似せた毒薬を渡し、矢島を殺害してしまうのでした・・・。
 
 内容的にはサスペンスではありますが、どちらかというと人間の闇の部分を深く探っていくような、どこか哲学的で難解な部類の作品です。“悪”として意図的に作られ、“父を殺す”という経験から、次第にその狙い通りに悪の道へと染まっていく主人公の姿が、不気味でもあり切なくもあります。
 
 その一方で、登場人物達の言動に理解しがたい部分が多かったり、セリフがかなり小説チックだったり、かなりグロいシーンがあったりと、観る人によって好き嫌いは大きく分かれそうでもあります。
 
 敢えて挙げるとするならば、ラストのシーンは非常に心に響く場面だと感じました。気になった方にはオススメです。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※中村達也さん・・・本作では、主人公の狂気にまみれた兄・幹彦役。かなりコワモテな方で、最近の映画ではあの「HiGH&LOW」シリーズでの、九龍グループの一角・家村会の家村役で出演されています。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>D