花戦さ | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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花の戦さの真髄。命を懸けて訴えた、“それぞれの良さ”。

 

2017年6月3日公開
監督:篠原哲雄
出演:野村萬斎・市川猿之助・佐藤浩市 他

 

【賛否両論チェック】
賛:殺伐とした時代にあって、〝花”をもって人々の心に訴えかけていった主人公・専好の人となりが、微笑ましくも感動を誘う。
否:展開はかなり淡々としているので、観ていて眠くなってしまいそう。

 

ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・少しあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・基本的にはなし

 

 

 実在した花僧・池坊専好(いけのぼうせんこう)を描いた作品です。主演は野村萬斎さん。

 

 時は戦国時代。応仁の乱以降、京都は荒廃していましたが、その傍らに佇む頂法寺・六角堂には、〝花僧”と呼ばれる花を生ける僧侶達がいました。その中の1人・池坊専好(野村萬斎)はある時、師匠の専栄や兄弟子・専伯(山内圭哉)に代わって、弟弟子の専武(和田正人)と共に岐阜城へ出向き、織田信長に生け花を献上することになります。あいにく生け花以外のことには興味がない専好は、じきに天下人になろうかという織田信長の名前さえも知らず、専武を呆れさせますが、同時に信長が〝昇り龍”のような人物だと聞き、その様子を松で表現することにします。その制作過程に、たまたま通りかかった千利休(佐藤浩市)は、その斬新さに驚かされるのでした。かくして完成した専好の生け花を見た信長は言葉を失い、家臣達に
「どう見る?」
と尋ねます。家臣達は揃って酷評しますが、信長は
「見事なり池坊!!」
と賛美するのでした。

 

 それから数年後。京都の町はようやく復興し、活気を取り戻しつつありました。その頃には、専好は専栄の後を継ぎ、六角堂の花僧達を束ねる立場になっていました。そんなある日のこと、いつものように河原に打ち捨てられている遺体の供養をしていた専好は、行き倒れている1人の少女(森川葵)を助けます。専好は六角堂で手厚く彼女を看病させますが、少女は誰にも一向に心を開こうとしません。そこで専好は少女の部屋に、摘んできた蓮の花を置くことにします。やがて蓮の花が開く美しさに心惹かれた少女は、襖に見事な花を絵を描き始めます。こうして少しずつ心を開き始めた少女を、専好は〝れん”と名づけるのでした。

 

 ある日のこと、専好の旧友・吉右衛門(高橋克実)が、自身の店の前に飾っていた専好の花を見た男性が、専好を訪ねてきます。その人物こそ、かつて岐阜城で会っていた、あの千利休でした。しかし人の名前や顔を覚えるのが苦手な専好は、利休のことを全く覚えていない様子。それでも利休の茶室へと招かれた専好は、次第に利休と打ち解け、2人はお互いを理解し合う仲になっていくのでした。一方その頃には、天下は豊臣秀吉(市川猿之助)の時代となっていました。黄金の茶室を作り、庶民をもてなそうと計画する秀吉でしたが、あいにく庶民の人気は利休へ向いており、専好もまた利休の茶の湯に花を添えます。こうして次第に利休への憤りを募らせるようになった秀吉はある時、些細な事件をきっかけに、利休を切腹へと追いやってしまうのでしたが・・・。

 

 戦国時代という殺伐とした時代にあって、“生け花”で平安を願った僧侶達。その中でも異彩を放っていた主人公・専好の姿が、四季折々の様々な花の彩と共に描かれていくのが印象的です。個人的には、口をきこうとしない少女・れんに、専好が蓮の花を使って心を開いたシーンがステキでした。

 

 そしてそんな専好が、暴君と化した秀吉に対し、生け花を通して訴えかける“人間それぞれが持つ良さ”というテーマも、また感動を誘います。ラストの専好の鬼気迫る迫力には、思わず圧倒されてしまいます。

 

 想像に違わず、時代劇の中ではかなり静かで淡々と進む物語なので、下手をすると眠くなってしまうかも知れませんが、権力に花で立ち向かった勇気ある花僧の生き様を、是非ご覧になってみて下さい。

 

 

【ワンチャン・ポイント】
※森川葵さん・・・本作では、主人公・専好に助けられる少女・れん役。最近の映画では、中条あやみさんと共演された「劇場版 零 ~ゼロ~」や、ディーン・フジオカさん主演の時代劇「NINJA THE MONSTER」、マルチアングルホラーの「ドロメ 女子篇」「ドロメ 男子篇」や、神木隆之介さん主演の「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、そして内村光良さん監督・脚本・主演の「金メダル男」等々、話題作に出演されています。

 

オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>

 

 

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