美しい星 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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恐ろしいほどに哲学的。難解なストーリーに裏打ちされた、地球の在り方とは。
 
2017年5月26日公開
監督:吉田大八
出演:リリー・フランキー
亀梨和也
橋本愛 他
 
【賛否両論チェック】
賛:突如覚醒した〝星人達”が、地球人が築き上げた現在の地球に対し、それぞれの立場からその姿を憂いていく様子が、非常に文学的・哲学的なセリフ回しの連続で描かれていく様に、深く考えさせられる。
否:ストーリーや会話の内容はかなり哲学的で、なおかつ非常に難解なので、興味がないと眠くなってしまいそう。終わり方も賛否があるか。
 
ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし
 
 
 三島由紀夫原作小説の実写映画化です。突如宇宙人に覚醒した一家が巻き起こす、風変わりな人間ドラマです。主演はリリー・フランキーさん。
 
 主人公は“天気予報が当たらない”ことで有名な気象予報士の大杉重一郎(リリー・フランキー)。その夜も、自身の誕生日に家族で食事に出かけますが、息子でフリーターの一雄(亀梨和也)は遅刻し、娘の大学生・暁子(橋本愛)は関心がなさげ、妻の伊余子は(中嶋朋子)は
「今度は海外の本場のレストランに行きたい・・・」
と言い出す始末で、重一郎は不満げな様子を隠せません。そんな彼自身も、同僚で不倫相手の中井玲奈(友利恵)からの電話に席を外し、店の廊下では彼に気づいた若い女性達から、
「写真撮って下さい!!」
と声をかけられ、デレデレしている有り様なのでした。
 
 そんなある日、重一郎は玲奈との逢瀬の帰り道、車を運転中に、突然目の前に現れた強力な光に、思わず気を失ってしまいます。警官に発見されて次に彼が目を覚ますと、車はどこか分からない田んぼの真ん中に突っ込んでいました。助手席には玲奈の姿はなく、気を失ってからたっぷり半日は経過しており、重一郎は慌てて出勤すると、番組に穴を開けたことを謝罪して回ります。どうやらその日の天気予報は玲奈が担当したようで、重一郎は彼女を捕まえると、昨晩のことを問い詰めますが、どうやら玲奈も何も覚えていない様子なのでした。しかし数日後、重一郎はUFO好きな番組のAD・長谷部から、
「それって宇宙人の円盤にさらわれて、色々調べられたんじゃないですか?」
と言われ、なんとなくそんな気になります。そしてその日の本番直前、番組に登場した火星のニュースの映像を見た重一郎は、何故か涙が止まらなくなってしまうのでした。
 
 息子の一雄は、メッセンジャーのアルバイトで自転車を走らせていたところ、1台の車とぷつかりそうになり、怒って後を追いかけます。やっと地下駐車場で追いついたその車から降りてきたのは、参議院議員の鷹森紀一郎(春田純一)と、その秘書・黒木(佐々木蔵之介)。この一件がきっかけとなり、一雄は鷹森の下で働くようになるのでした。一方、意中の女性にはプラネタリウムで呆気なくフラれてしまった一雄でしたが、その後独りで天体を眺めていた一雄は、水星が自分の視界一杯に迫ってくるような錯覚に襲われるのでした。
 
 娘の暁子はというと、大学ではミスコンにスカウトされるような美貌を持ちながら、その〝美しさ”にさえも嫌悪感を抱くような、屈折した想いを抱えて生きていました。そんなある日の帰り道、偶然出逢ったストリートミュージシャン・竹宮薫(若葉竜也)から買わされたCD「金星」
を、自宅に帰って聴いてみた暁子。彼女はやがて、インターネットで竹宮が金沢のライブハウスで歌うと知り、新幹線に飛び乗っているのでした・・・。
 
 ひょんなことから、家族全員が〝火星人”〝水星人”“金星人”に覚醒し、それぞれのアプローチから地球の未来を憂う・・・というと、なんだかコメディみたいな内容に聞こえてしまいそうですが(笑)、ストーリーは〝超”がつくほど真面目で、なおかつ文学的・哲学的であって、非常に難解です。
 
 何も知らない地球人が、自分達の価値観が絶対だと思い上がって築いてきた、現在の地球。その地球に対し、いわば客観的にその姿を見守ってきた〝彼ら”が覚醒した時、それぞれの星の価値観と照らし合わせて、地球の未来をどう憂いて、どう導いていこうとするのか。非常に難しいテーマを難しいまま語るので、油断すると眠くなりそうです(笑)。
 
 終わり方も・・・なんというか賛否がありそうですが、一筋縄ではいかない哲学的なお話を、是非ご覧になってみて下さい。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>D
 
 
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