惑う After the Rain | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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家族とは。それぞれの“惑い”と、本当の“絆”。
 
2017年1月21日公開
監督:林弘樹
出演:佐藤仁美・中西美帆・小市慢太郎・宮崎美子 他
 
【賛否両論チェック】
賛:長女の結婚を起点として、家族1人1人の“惑い”を長い時間軸で描きながら、本当の絆を築き上げていく様子が、静かな中にも印象深く描かれていく。
否:ストーリーは淡々としていて少し長めなので、気をつけないと眠くなりそう。内容もやや説教臭いか。
 
ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし
 
 
 長女の結婚式を翌日に控えた1組の家族の半生を通して、家族の持つ〝絆”を描いた作品です。主演は佐藤仁美さん。
 
 始まりは昭和27年。三島にある私塾「石川塾」の講師であった石川誠志郎(小市慢太郎)は、自身の半生を振り返っているのでした。かつて7人兄弟の末っ子として生まれた彼は、文学に興味がありましたが、自宅では本を読んでいる度に、乱暴な父親にひどく殴られていました。そんな彼でしたが、やがて石川塾に通うようになってから、その生き方は変わり始めます。当時の講師・石川栄志郎(是永克也)に見初められた誠志郎は、栄志郎の養子となり、栄志郎の死後は、縁あって石川塾を継ぐことになったのでした。石川塾は、栄志郎の兄が営んでいた老舗料亭「楽寿亭」の離れに間借りしていましたが、ある日のこと、誠志郎は楽寿亭をクビになった仲居のイト(宮崎美子)を見かけ、彼女をお手伝いとして雇い入れます。こうして二人三脚で塾を切り盛りしながら、今日に至るのでした。そんな過去に想いを馳せながら、誠志郎は自身の今後の生き方について、迷っているのでした。
 
 時は流れ、昭和55年の現在。長女のいずみ(佐藤仁美)は結婚式を翌日に控えていましたが、イトはその日も変わることなく、家事に明け暮れていました。その後いずみは、勤め先の信用金庫で最後の勤務を終え、同僚達からねぎらいの言葉をかけられます。誠志郎は早くに亡くなっており、いずみは女手一つで自分達を育ててくれるイトを支え、時には大黒柱の代わりもしながら、今日まで暮らしてきたのでした。そんないずみはその夜、仏壇に向かって微笑むイトから、誠志郎の本当の想いを聞かされます。誠志郎は
「この家から娘達を嫁がせたい。」
と切に願っており、イト自身もそんな誠志郎の願いに報いるべく、彼の死後も必死に家を守ってきたのでした。そうした両親の気持ちを聞かされ、いずみは涙を流しながら、イトに感謝の言葉を伝えるのでした。
 
 一方、現在は雑誌の編集部で働いている、次女のかえで(中西美帆)。プロジェクトの中心となって仕事を進める彼女でしたが、早々に後を任せて仕事場を後にすると、保育園へと息子を迎えに急ぎます。かえでもまた、いずみの結婚式に出席するため、翌朝1番の汽車で三島へと向かうところでした。いずみとは対照的に、一見自由奔放な生き方をしてきた次女・かえで。しかしそんな彼女もまたシングルマザーとして、時に陰口を囁かれながらも、一生懸命に頑張ってきた過去を背負っているのでした・・・。
 
 時間軸はかなり行ったり来たりしますが、それほど分かりにくい感じはありません。長女の結婚式を翌日に控えた1組の母娘と、今は亡き父親の半生を通して、“家族になる”という最も身近で、だからこそ難しいテーマが描かれていきます。
 
 そこにあるのは、結婚を迎え、母と共に守ってきた家を離れる長女・いずみの“惑い”は勿論のこと、葛藤しながらも家を必死で守り、今のいずみ達の礎を築いた誠志郎やイトの“惑い”、そしてシングルマザーとして苦悩し続け、それでも一児の母として生きる道を選んだ次女・かえでの“惑い”と、家族それぞれの儚くも尊い想いです。個人的には、イトが誠志郎に聞かれて考えた、
「家族は〝鍋”。考えるものではなく、味わうもの。時間をかけて煮込むことで、味わいが出る。 」
という言葉がステキでした。
 
 ちょっと淡々としすぎていて、内容も説教臭い感もありますが、それでも誰しもが1番大切な“家族”について再認識させられる、そんな作品です。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※中西美帆さん・・・本作では、次女・かえで役でご出演。最近の映画では「ソロモンの偽証」での保健の先生役や、「喰女 -クイメ-」での市川海老蔵さん演じる主人公と浮気する若手女優役が有名なところですが、他にも「セカンドバージン」「永遠の0」「神様のカルテ2」にも出演していらっしゃいます。最新作では、屋久島の職員が有名な楽団と間違えて、カルチャースクールのオーケストラを呼んでしまう「東京ウィンドオーケストラ」で主演もなさっていますので、そちらにも要注目です。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>
 
 
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