ロスト・エモーション | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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切なすぎるラスト。〝感情”が持つ大切な意味とは。
 
2017年3月4日公開
監督:ドレイク・ドレマス
出演:ニコラス・ホルト
クリステン・スチュワート 他
 
【賛否両論チェック】
賛:〝感情”がない近未来の世界で、〝愛”という感情に目覚めた主人公達の葛藤を通して、人間性に対して〝感情”が持つ重要性を描いていくのが印象的。あまりにも切ないラストにも注目。
否:展開は非常に淡々と静かに進むので、思わず眠くなってしまいそう。
 
ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・死亡シーン等があり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし
 
 
 人間の感情が抑制された近未来の世界で、感情を持ってしまった1組の男女の切ない運命を描きます。主演はニコラス・ホルトとクリステン・スチュワート。
 
 物語の舞台は、世界大戦によって地上の99.6%が破壊され、人口が激減した近未来の地球。人類は生存のために、遺伝子操作によって感情を持たなくなった人間達の共同体〝イコールズ”を形成し、近代的な生活を維持していました。彼らの世界では感情が芽生えると、〝SOS(感情抑制不能症)”として治療され、その段階がステージ4まで進むと施設へと送られ、安楽死させられてしまいます。しかしそこには争いも貧困もなく、人々は管理された社会の下で、悠々自適な生活を送っているのでした。
 
 主人公・サイラス(ニコラス・ホルト)は、デジタル雑誌の編集部で挿絵を担当していました。ある日のこと、いつものように出勤し、黙々と作業を進めていたサイラスでしたが、ふと彼らのいた建物の屋上から、1人の男が飛び降り自殺をしてしまいます。しかし彼らは感情を持たないため、男の遺体を目の当たりにしても取り乱す者はおらず、皆窓から事件現場を眺めるばかりでした。そんな中、サイラスは傍らにいた同僚で執筆担当のニア(クリステン・スチュワート)が、拳を固く握りしめ、何やら呟いて去っていくのを目撃します。その日を境にサイラスは夜な夜な、自身が屋上から飛び降りようとする悪夢を見るようになるのでした。
 
 すぐに病院へと向かったサイラスは、待合室で保健安全局に勤める男・ジョナスと出逢います。実はジョナスもSOSを患っているとのこと。やがて診察を受けたサイラスは、ステージ1のSOSと診断されるのでした。その後、薬を処方されるようになったサイラスでしたが、同時に自身の中に、ニアへの不思議な感情が芽生えていることに気づき始めます。そんなサイラスは、最初こそニアから敬遠されますが、実は彼女もSOSだと知ります。やがて2人が深い仲になってしまうまでに、そう時間はかかりませんでした・・・。
 
 やはりこの作品の特筆すべきは、その意味深な世界観です。人類が争いをなくすために〝感情”を失うという選択肢を選び、同時に〝愛”を始めとする大切な感情もなくしてしまった世界。そんな世界で〝誰かを愛する”という感情に目覚めてしまった時、果たしてそれが本当に排除されるべきことなのか、主人公達の深い葛藤に、〝感情”が持つ大切な意味合いについて、思わず考えさせられてしまいます。そして何といっても、すれ違いがすれ違いを生む圧巻のラストも、切なすぎて思わず胸が締め付けられるようです。
 
 ただ設定やストーリーはやや無理がある感もあり、かつご都合主義的でもあります。また、展開もかなり静かで淡々と進むので、興味を持って観ていても、気をつけないと眠くなってしまうかも知れません。
 
 とはいえ、人間の大切な〝感情”というテーマについて踏み込んだ、ある意味異色ともいえるSF映画ですので、是非ご覧になってみて下さい。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※ニコラス・ホルト・・・本作の主演・サイラス役のお方。最近では「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」でのニュークス役が有名ですが、他にも「ジャックと天空の巨人」「マッド・ガンズ」「アウトバーン」での主演や、「X-MEN」シリーズでのビースト役、シャーリーズ・セロン主演のミステリー「ダーク・プレイス」等にも出演していらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>
 
 
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