愚行録 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

確かに訪れる3度の衝撃。人間の愚かさを詰め込んだミステリー。
 
2017年2月18日公開
監督:石川慶
出演:妻夫木聡・満島ひかり・小出恵介 他
 
【賛否両論チェック】
賛:様々な登場人物の様々な言動によって、人間の醜い部分が多角的にむき出しにされていくようで、思わず考えさせられる。ミステリーとしても秀逸で、次第に明らかになる真実にも驚かされる。
否:ミステリーだが雰囲気や展開はかなり静かなので、油断していると眠くなりそう。後味もかなり悪い。
 
ラブシーン・・・少しあり
グロシーン・・・遺体のシーンがあり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも
 
 
 週刊誌の記者が、未解決の一家殺害事件の関係者に取材を重ねるうちに、人間の浅ましい一面を垣間見ていくサスペンスです。主演は妻夫木聡さん。
 
 週刊誌の記者の主人公・田中武志(妻夫木聡)は、弁護士の橘(濱田マリ)と共に、警察署で妹の光子(満島ひかり)と面会します。光子は幼い娘を育児放棄して意識不明の重体にさせたとして、逮捕・勾留されているところでした。橘によって今は多くを語ることを禁止されている光子でしたが、久しぶりの兄との再会を喜ぶ光子に、田中は複雑な心境を隠せません。面会後に田中は橘から、光子のどこか他人事な様子を根拠に、精神鑑定をするよう提案されるのでした。
 
 数日後、田中は編集長に、間もなく1年を迎える“田向家一家惨殺事件”を再取材する意向を伝えます。上司(高橋洋)は、
「今さら誰も興味を持たない。」
と反対しますが、光子の事件を知っている編集長は、
「今は何か集中出来ることをやらせた方がいい。」
と判断し、取材を許可するのでした。田中は早速、事件現場となった住宅を訪れ、偶然出会った近隣住民から、事件のその後の様子を聞き出します。
 
 事件は、エリートサラリーマンだった田向浩樹(小出恵介)と、その妻の友希恵(松本若菜)、そして幼い娘の一家3人が刺殺体となって発見されたというもの。その後田中は、田向の職場の同僚・渡辺(眞島秀和)や、友希恵の大学時代の同級生・宮村淳子(臼田あさ美)、そして大学当時に宮村から友希恵に乗り替えた尾形(中村倫也)と、被害者夫妻の過去を知る人物達へ取材を重ねます。そこから見えてきたのは、田向と友希恵の被害者としての人柄とはまた違う一面でした・・・。
 
 「仕掛けられた3度の衝撃。あなたの日常が壊される。」
というのがキャッチコピーですが、それに違わないミステリー特有の驚愕の真相が明らかになり、静かな中にもハラハラさせられます。
 
 1年前に起きた一家惨殺事件を追う記者。彼が接触する関係者達は、皆他人のあざとい一面を暴露し、結果として他人を貶めていきます。そんな証言の連鎖の果てに、人間の愚かさやおぞましさといった醜悪な部分が露になっていくようです。
 
 またストーリーの本筋以外にも、バスの中でお年寄りに席を譲らないことを注意された主人公が、わざと足が不自由なフリをしたり、飲み屋で渡された相手の名刺の上に、無意識のうちにジョッキを置いたりと、日常にありふれた人間の浅はかさが随所に切り取られ、考えさせられる部分があります。
 
 雰囲気はかなり淡々と進むので、やや退屈してしまうかも知れませんが、人間の本性をまざまざと見せつけられる、そんな作品です。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※高橋洋さん・・・本作では、妻夫木聡さん演じる主人公・田中武志の上司役。最近の映画では、佐藤二朗さん主演の「豆シバ一郎」シリーズでの主人公の親友役や、ワクチンを巡る陰謀を描いた「風邪(ふうじゃ)」での研究員役、見習いピエロの女性と人工透析患者の青年との恋模様を描いた実話「泣き虫ピエロの結婚式」での主治医役を始め、他にも「小川町セレナーデ」や「岸辺の旅」等にも出演していらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>
 
 
<「映画の通信簿2016」近日発売!!>