傷だらけの悪魔 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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人間の本性を露にする。陰湿なイジメの辿り着いた果てとは。
 
2017年2月4日公開
監督:山岸聖太
出演:足立梨花・江野沢愛美・加弥乃 他
 
【賛否両論チェック】
賛:因果応報のごとく、転校先でイジメに遭うことになった主人公が、屈することなくあらゆる手を講じて立ち向かおうとする姿勢に、雄々しくも切なさが感じられる。イジメの当事者のみならず、傍観する者達への糾弾にも圧倒される。
否:陰湿なイジメのシーンがかなり続くので、人によってはヘドが出そう。
 
ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・あり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも
 
 
 かつてのイジメっ子が、転校先でイジめていた本人と再会し、今度はイジめられる立場へと転落していきます。主演は足立梨花さん。
 
 東京から母親と共に、栃木県の田舎町へと引っ越してきた高校生・葛西舞(足立梨花)。染めていた髪を黒めに戻し、上手くクラスの雰囲気に溶け込む心構えで、地元の南高校へと登校した舞は、最初に職員室で担任の大瀬戸(宮地真緒)から、案内係に指名されていたクラスメート・小田切詩乃(江野沢愛美)を紹介されますが、舞の顔を見た詩乃は一瞬凍りつきます。そんな詩乃の変化に気づかないまま、舞は詩乃に校内を案内され、1年C組の教室へ。すぐにクラス1のグループのリーダー格・藤塚優里亜(加弥乃)と仲良くなりかけますが、次の瞬間、詩乃が過呼吸を起こし始めます。息も絶え絶えになりながら詩乃が告げたのは、
「私・・・中学の時・・・葛西さん達にイジめられてた!!」
というものでした。
 
 教室を飛び出した詩乃を追って出てきた舞は、ケロッとした様子の詩乃に出くわします。実は教室での過呼吸は、詩乃による演技。詩乃の旧姓が“玖村”だと知った舞は、ようやくかつて自分達がイジめていた詩乃だと思い出すのでした。当時自分では直接手を下さず、取り巻き達に詩乃をイジめさせていた舞。動揺する舞に対して詩乃は、
「あんたの味方、もういないから。」
と、不敵な笑みを浮かべるのでした。
 
 その言葉通り、翌日から舞は藤塚達のイジメのターゲットに。藤塚の親友・名取静(岡田結実)は、舞を見るなり頭から水を浴びせ、机には落書きやゴミの山が置かれ、教科書も破り捨てられます。最初は負けじと藤塚の教科書を破り返した舞でしたが、次第にエスカレートするイジメに、徐々に心が折れてしまうのでした・・・。
 
 陰湿なイジメをしていた本人が、転校先ではイジメのターゲットになってしまうという内容は、言ってしまえば因果応報な展開ではありますが、そこに終始せず、姑息な手段でイジメから抜け出そうと奔走する主人公のあがく様も、また浅ましさを感じさせます。
 
 そして本作で言及されるのは、イジメで1番悪質ともいえる“傍観者”の罪です。陰でこっそり助けてくれることはしても、表立って声を挙げることはせず、中には楽しみながら、自分は安全な場所から眺めているだけの多数の者達。そんなサイレント・マジョリティーに対し、主人公が糾弾するシーンは圧巻です。
 
 嫌悪感を抱きそうなイジメのシーンが続くので、嫌いな人は本当にヘドが出るかと思いますが、人間の本質を掘り下げる作品といえそうです。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※花影香音さん・・・本作では、主人公達のクラスメート・花房宏子役。最近の映画では、小島梨里杏さん主演の「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」での参加者役や、蒼井優さん・高畑充希さん主演の「アズミ・ハルコは行方不明」での女子高生グループのリーダー役等で出演していらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>
 
 
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