奴隷の島、消えた人々 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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残るのは哀しいやりきれなさ。恐ろしい事件の真実とは。
 
2017年1月17日公開
監督:イ・ジスン
出演:パク・ヒョジュ
ペ・ソンウ 他
 
【賛否両論チェック】
賛:劇中にモキュメンタリーを巧みに用いて、離島で起きた恐ろしい事件の一部始終を映し出しているのが印象的。
否:モキュメンタリータッチの部分はかなり映像がブレるので、何が起きたのか分からないシーンも多い。終わり方もやや唐突か。

 
ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・殺害シーンあり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は結構怖いかも
 
 
 知的障がい者が離島の塩田で奴隷として働かされていたという、韓国で実際に起きた事件を基にしたサスペンスです。
 
 女性記者のイ・ヘリは、カメラマンのソクフンと共に、知的障がい者の青年のチョン・ウンスクの家を訪れていました。母親には取材を断られてしまいますが、ヘリは母親が外出したのを見計らって、無断で敷地内へ入り、部屋に閉じこもったままのウンスクを発見します。ところがウンスクは、何かに怯えた様子で、
「塩田はもう嫌だ・・・」
と繰り返すばかりで、またすぐにパニックになってしまうのでした。その後ヘリとソクフンは、ウンスクを最初に保護した医者の下へと向かいます。医者によると、ウンスクは発泡スチロールで作られたイカダでさまよっているところを発見されたそうで、殴られた跡が多数あったとのこと。そして医者は、噂話だと前置きをした上で、
「離島の塩田で、彼のような知的障がい者が奴隷のように働かされている。」
という話をするのでした。
 
 いてもたってもいられなくなったヘリは、新婚の妻が待つ家に帰れないことを嘆くソクフンを諭すと、問題の塩田探しを始めます。やがて衛星写真を基に辿り着いたのは、漁船でしか行かれないような小さな離島でした。そこでヘリは、
「塩田での塩作りの工程を取材している。」
と称して、地元住民から聞き込みを進めます。その過程で2人は、親切な老婆に泊めてもらうことになりますが、老婆は
「ここでは人様のことを嗅ぎ回ってはいけない。」
と、意味深な忠告をするのでした。
 
 翌日ヘリとソクフンは、島で1番の塩田を所有する社長の家へと向かいます。確かにそこでは、多くの知的障がい者が働いているようでしたが、出てきた社長親子はカメラに嫌悪感を示し、2人は門前払いを食らってしまうのでした。それでも諦められないヘリは、塩田周辺で取材を続け、隙を見ては労働者達へのインタビューを試みていきます。ところがある時、イ・スンホという労働者を取材している最中に、社長がやって来てしまい、スンホはどこかへと連れていかれてしまうのでした。その日の夜、ヘリとソクフンが老婆の家にいたところへ、スンホがやってきます。彼には明らかに殴られた跡が多数ありましたが、スンホは
「自分で高いところから落ちた。ここに残りたい・・・」
と、到底本心から出たとは思えない言葉を口にするのでしたが・・・。
 
 物語そのものはフィクションですが、その背景にある事件は実話とあって、そう考えると非常に恐ろしさを感じさせるものです。
 
 前半はそんな塩田の真実を暴こうとする女性記者とカメラマンの緊迫した取材の様子が、モキュメンタリータッチで描かれ、後半は一気にサスペンス色が強くなっていきます。やがて辿り着いた真実には、フィクションとはいえ背筋が凍ります。
 
 終わり方は少し唐突というか、救われない感はありますが、貧困問題も改めて浮き彫りにするような、そんな緊迫感溢れる作品に仕上がっています。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>
 
 
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