アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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迫られる決断。現代の戦争が映し出す、それぞれの葛藤。
 
2016年12月23日公開
監督:ギャビン・フッド
出演:ヘレン・ミレン
アーロン・ポール
アラン・リックマン 他
 
【賛否両論チェック】
賛:リアルタイムで送られてくる対テロ作戦の映像を前に、それぞれの立場から決断を迫られる軍人や政治家達の葛藤が描き出され、現代の戦争のリアルを突きつけられるよう。サスペンス感満載の緊迫した雰囲気の中でも、命を守ろうと奔走する人々の、重厚な人間ドラマとしても楽しめる。
否:「ドローン・オブ・ウォー」のような、ドローン攻撃そのものに対する是非を問う内容ではないので、イメージしていたものと違うと感じる人もいるかも。
 
ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・殺害シーンあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも
 
 
 ドローンを使って、安全な母国からテロとの戦いを進める、現代の戦争の実態を描いた作品です。主演はヘレン・ミレン。
 
 主人公のキャサリン・パウエル(ヘレン・ミレン)は、ロンドンに駐在するイギリス軍諜報機関の大佐。ある日の早朝、彼女の下へ、
「“アル・シャバブ”に情報屋が殺された。」
という知らせが舞い込みます。アル・シャバブは、キャサリンがその幹部を追い続けている過激なテロ組織。折しもその日、アル・シャバブに関与しているアメリカ人で、重要国際指名手配犯のアル・ハディと、その妻のイギリス人で同じく重要国際指名手配犯のダンフォードが、ケニアのナイロビで新しくメンバーに加わった若者達と会うとの情報が入っており、キャサリンは彼らの確保のため、早速作戦室へと向かうのでした。
 
 ところ変わって、アル・シャバブのアジトと見られるナイロビの一軒家。今回はイギリス軍の他に、アメリカ軍とケニア軍も交えた合同作戦が展開されます。アメリカの無人偵察機が上空から監視し、玄関付近にはケニア軍の諜報部隊が放った鳥形の小型カメラがスタンバイ。映像は逐一ハワイのアメリカ軍基地へと送られて解析され、キャサリンの指示の下、現地のケニア軍特殊部隊が駆けつける手はずになっていました。しかしアル・ハディが到着してしばらくすると、アル・シャバブのメンバーは車で移動を開始。最後に素早く乗り込んだ人物がダンフォードなのか特定出来なかったため、キャサリンはそのまま追跡を指示しますが、車列はアル・シャバブの支配区域へ入ったため、車での追尾は断念し、無人偵察機が空から車列を追いかけるのでした。
 
 その後、別のアジトへと到着したテロリスト達。ケニア軍の諜報員の1人が、危険を冒しながら行商を装い、最前線で超小型の虫型カメラを操縦して、内部の様子を撮影することに成功します。中にいたのは、やはりアル・ハディやダンフォードでしたが、どうやら彼らは自爆テロを起こす準備をしている様子。キャサリンは現状では確保は出来ず、ミサイル攻撃による殺害を優先するべきと判断し、状況を見守っている国防相のベンソン中将(アラン・リックマン)に許可を求めますが、上層部でも意見は分かれます。するとさらに悪いことに、何も知らない地元の少女・アリアが、アジトの脇でパンを売り始めてしまいます。1人の少女を犠牲にしてでも、これから起こるであろう自爆テロを防ぐのか、それともリスクを冒してでも少女の命を救うのか。キャサリンは究極の選択を迫られるのでしたが・・・。
 
 本作同様に、ドローンによる攻撃を扱ったイーサン・ホーク主演の「ドローン・オブ・ウォー」では、〝ドローンによって、安全な母国から攻撃をする行為”そのものに焦点が当てられていたのに対し、本作ではどちらかというと、その先に有る攻撃によって生じる様々な被害や影響に焦点が当てられ、各国の軍人や政治家を巻き込んだ議論へと発展していく様が印象に残ります。片や政治家は、起こりうる世論等からの政治的な利害を真っ先に考えて強硬論を渋り、片や軍人は目の前にある脅威を防ぐべく、1分1秒を争う決断を迫ろうとする。両者のそのせめぎ合いに、現代の戦争のリアルさが浮き彫りになっているようです。
 
 同時に、そんな中でも人間としての本来の理性を垣間見せるドローンのパイロットや、罪のない少女をなんとか助けようとする現地の諜報員の奮闘等、観ていて感慨深い部分も多くあります。
 
 サスペンスとしても観られますし、重厚な人間ドラマとしても考えさせられる、そんな作品といえそうです。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※アーロン・ポール・・・本作では、ドローンを操縦するパイロットのスティーヴ・ワッツ役。最近の映画では「ニード・フォー・スピード」での主演や、「パパが遺した物語」でのアマンダ・セイフライドの相手役、そしてクライム・サスペンスの「トリプル9 裏切りのコード」での犯行グループの問題児役等で出演されています。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>
 
 
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