アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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歴史が動いた瞬間。淡々とした中に秘められた、確固たる信念。
 
2017年1月7日公開
監督:ラース・クラウメ
出演:ブルクハルト・クラウスナー
ロナルト・ツェアフェルト 他
 
【賛否両論チェック】
賛:四面楚歌で困難な状況にあっても、自分が信じる正義を貫こうとした主人公を通して、その意義や厳しさを改めて感じさせられる。
否:描写はかなり地味で、主人公を取り巻く人間模様を中心に話が淡々と進むため、思わず眠くなってしまいそう。
 
ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし
 
 
 第2次世界大戦後、ナチスの戦犯の身柄確保に尽力した検事長、フリッツ・バウアーを描いた作品です。
 
 1950年代後半のドイツ・フランクフルト。検事長のフリッツ・バウアー(ブルクハルト・クラウスナー)の運転手は、自宅の浴室で溺れている彼を発見します。病院に搬送されたバウアーは、幸い命に別状はありませんでしたが、直前に飲酒と睡眠薬の摂取をしていたことから、
「自殺未遂だったのでは・・・?」
と、あらぬ噂が広まってしまいます。それでも1週間後に職場復帰したバウアーは早速、終戦後から続けているナチスの戦犯の捜査に戻るのでした。
 
 しかし終戦から12年を過ぎても、いまだ確たる成果は挙げられておらず、政治や検察、司法の場にもナチスの残党がはびこっており、バウアーの机からも、ナチス戦犯の捜査資料が度々紛失するありさまでした。ある日の夜、帰宅したバウアーは、玄関の下に脅迫状が挟まっているのに気がつきます。心配になった彼は、コペンハーゲンにいる妹夫婦に連絡。その電話でバウアーは、妹夫婦から招待を受け、コペンハーゲンへと向かうことにするのでした。
 
 ところがその出発直前、オフィスへと立ち寄ったバウアーは、届いていた1通の手紙に顔色を変えます。それはアルゼンチン・ブエノスアイレスに住む亡命者からの手紙で、
「(重要戦犯の)アドルフ・アイヒマンがブエノスアイレスにいて、自分の娘とアイヒマンの息子が親しい仲になっている。」
という告発でした。バウアーはすぐにコペンハーゲン行きを中止し、州首相と対応を検討します。しかし、国外でアイヒマンを拘束する手段がないため、バウアーはやむなく、情報をイスラエルの諜報機関であるモサドに流し、拘束を任せることにします。それは同時に、“機密情報を漏洩させる”という国家反逆罪でもありましたが、バウアーはその強い正義感から捜査を続行するのでした・・・。
 
 戦後の混乱期において、心ない市民からは目の敵にされ、身内からも失脚を虎視眈々と狙われる四面楚歌の状況下にあっても、臆することなく自らが信じる正義のために戦い続けた主人公の姿が、淡々としたストーリーの中で輝きを放っているようです。同時に、正しいと思う行いをすることがいかに難しいか、その厳しさも痛感させられるようで、思わず考えさせられてしまう内容でもあります。
 
 ただ展開そのものは、非常に静かな雰囲気で進んでいくので、思わず眠くなってしまうかも知れません(笑)。
 
 何はともあれ、戦後のドイツの方向性を決めたといっても過言ではない、非常に興味深い人物にまつわる内容ですので、是非チェックしてみて下さい。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※ロナルト・ツェアフェルト・・・本作では、バウアーの右腕として働くことになる検事のカール・アンガーマン役。最近の映画では、アフガニスタンに駐留するドイツ軍兵士の葛藤を描いた「クロッシング・ウォー 決断の瞬間(とき)」で、主人公のドイツ軍大尉役を演じていらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>D
 
 
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