この世界の片隅に | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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重たいけれど、どこかユーモラス。悲しい時代の温かな物語。
 
2016年11月12日公開
監督:片渕須直
出演(声):のん・細谷佳正・尾身美詞 他
 
【賛否両論チェック】
賛:戦時中にあっても、努めて明るく生きようとする主人公やその家族が、温かい雰囲気の中で描かれるのが印象深い。同時に、そんな家族にも暗い影を落とす戦争の悲惨さも、ひしひしと伝わってくる。
否:物語はかなり淡々と進むので、思わず眠くなってしまいそう。方言がよく聞き取れないセリフも多い。
 
ラブシーン・・・ほんの少しだけあり
グロシーン・・・重い傷を負うシーン等があり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも
 
 
 戦時中の広島で生きる少女の姿を描いたアニメーションです。主演の声はのんさん。
 
 物語の始まりは、昭和初期の広島・江波。まだ幼かった主人公の浦野すず(声:のん)は、兄と妹を持つ3兄弟の真ん中として暮らしていました。幼い頃から物思いにふける癖があり、のほほんとしている性格の彼女はある日、兄に代わって届け物に出かけた広島で、ボーッとしていて道に迷ってしまいます。そこへ、親切に背中のカゴに乗せてくれる行商の大男が現れますが、先にカゴに乗っていた少年は、
「あいつ、人さらいやぞ。」
と、すずに耳打ち。結局2人は隙を見て逃げ出し、すずは無事に江波へと帰ることが出来たのでした。
 
 その後すずは、祖父母の海苔の養殖を手伝いながら、学校へと通うように。この頃からすずは、絵の才能を発揮するようになります。そんなある日の写生の授業のこと。早々に描き上げたすずは、海辺で絵を描かずに佇んでいる同級生・水原哲(声:小野大輔)を見かけます。
「親が呑んだくれているから、家に帰りたくない。」
という哲をよそに、すずは彼に代わって海の絵を描いてあげるのでした。
 
 やがてすずが19歳になった頃、突如縁談話が持ち上がります。最初は乗り気ではなかったすずでしたが、相手はなんと人さらいのカゴで一緒になった少年・北條周作(声:細谷佳正)でした。縁談がまとまり、周作の家族が住む呉へと嫁いだすず。折しも時代は、太平洋戦争が始まった頃。次第に生活が苦しくなる中、すずはその持ち前の明るさで、周囲を笑顔にするのでしたが・・・。
 
 戦時中の1人の少女の生き様を描いた作品なので、背景は非常に重くて悲しいものです。それでも、どこか温かくてほっこりするのが、またこの作品の魅力でもあります。丘で軍艦の絵を描いていたすずが、憲兵にスパイと間違われ、憲兵が帰った途端に家族全員で笑い出すシーンなんかが、印象的ですね。
 
 しかし同時に、そんな温かい家庭をも容赦なく引き裂いてしまう戦争の悲しさや、虚しさが淡々と語られているのも、また見逃してはいけないところです。
 
 温かいけれど切なくて、切ないけれど温かい。そんな不思議なアニメーションに仕上がっています。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※のんさん・・・本作では、主人公・すずの声をご担当。言わずと知れた旧芸名・能年玲奈さんです。「ホットロード」や「海月姫」を始め、「カラスの親指」や「グッモーエビアン!」等にも出演していらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>
 
 
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