アズミ・ハルコは行方不明 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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男尊女卑への強烈なアンチテーゼ。賛否必至の難解ストーリー。

 

2016年12月3日公開
監督:松居大悟
出演:蒼井優・高畑充希・太賀 他

 

【賛否両論チェック】
賛:世の中に根強く残る女性蔑視の風潮や、それに対して過激な対抗手段をとる者達など、様々な角度から女性の生きざまを描き出す様子が秀逸。
否:お話としては意味深な部分が多すぎて、理解に苦しむ。逆に男性を虐げすぎている印象も拭えず、観る人によってはヘドが出るかも。

 

ラブシーン・・・かなりあり
グロシーン・・・暴力シーン等あり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・シーンによっては少しだけ怖いかも

 

 

 1人の女性が失踪するまでと、その周囲のざわめきを描いた作品です。主演は蒼井優さんと高畑充希さん。

 

 物語の主人公は、小さな町の小さな会社に勤める女性・安曇春子(蒼井優)。いつも会社の社長と専務が、お局の今井(菊池亜希子)の陰口を言っているのを聞きながら、退屈な毎日を送っている彼女。家には認知症の祖母がおり、その介護に疲れ果てた母は発狂寸前。そんな春子はある日、トイレットペーパーを買いに行かされたドラッグストアで、隣りの家に住む幼馴染み・曽我(石崎ひゅーい)と再会します。その後、何度か曽我の家に招かれていくうちに、2人は次第に深い仲になっていくのでした。

 

 一方、アクセサリーショップで働く愛菜(高畑充希)は、出席した成人式の集まりで、かつての恋人・ユキオ(太賀)と再会し、また昔のように交際を始めます。そんな2人はある日、地元のレンタルビデオ店で、小学校時代の同級生・学(葉山奨之)と出逢います。ユキオと学はすぐにつるむようになりますが、何かと束縛が激しい愛菜のことを、ユキオは面倒くさがっている様子。その後ユキオと学は何かデカいことをしようと、スプレーで町中に落書きを始めますが、なかなか思い通りには行かずにいるのでした。

 

 折しも町では、夜道を1人歩きしている男性ばかりを狙った、女子高生の集団による暴行事件が多発していました。ある夜春子は、暴行されケガをしている曽我を発見し、彼の家に連れ帰って介抱します。その後も春子は、犯人と思われる女子高生の集団に遭遇しますが、リーダーの少女(花影香音)は、
「あなたは襲わない。」
と告げると、ひたすら男性だけに襲いかかるのでした。一方、落書きの題材を探していたユキオと学は、交番に貼られていた行方不明女性の写真を基に、落書き用の型を作成。愛菜も加わり、町中に女性の顔をスプレーして回ります。その女性こそが、行方不明になった安曇春子だったのですが・・・。

 

 どちらかといえば群像劇に近い印象です。平気で女性蔑視の言動を繰り返す職場の上司達に嫌気が差しながらも、代わり映えのない毎日を生きていた春子。“面倒くさい女”と言われながらも、恋愛依存を断ち切れない愛菜。そして、社会において虐げられてきた女性達の鬱憤を晴らすかのように、理由なき暴力を繰り返す少女達。そのそれぞれの葛藤や怒りが折り重なって、1つの物語が作り上げられている気がします。

 

 ただ逆に言うと、それだけ混沌とした世界観ゆえに、ストーリーとしてはよく分からない部分も多く、純粋な物語としては観にくいのもまた事実。男尊女卑へのアンチテーゼが行きすぎて、今度は“男性を貶めすぎ”という批判もありそうです。

 

 良くも悪くも、ジェンダーについて思わず考えてしまうような、そんな作品かも知れません。

 

 

【ワンチャン・ポイント】
※太賀さん・・・本作では、高畑充希さん演じる愛菜の恋人・ユキオ役。最近の映画では「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」に出演されているほか、自殺した親友の足跡を辿る青年を描いた「走れ、絶望に追いつかれない速さで」での主演や、「アゲイン 28年目の甲子園」や「あん」、「マンガ肉と僕」や「淵に立つ」といった小ぶりの作品に多く出演していらっしゃいます。

 

※落合モトキさん・・・本作では、蒼井優さん演じる春子の友人であるコンビニ店員・川本役。最近の映画では「東京難民」でのホスト役や、「MONSTERZ」でのオネエ役、「女子ーズ」での桐谷美玲さんの後輩役や、「日々ロック」での人気ビジュアル系バンドのボーカル役、そして「天空の蜂」での刑事役等々、コミカルからシリアスまで幅広い役柄を演じていらっしゃいます。

 

オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>

 

 

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