L -エル- | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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詩的で叙情的な世界観。愛を求めた女性の哀しい半生。

 

2016年11月25日公開
監督:下山天
出演:広瀬アリス・古川雄輝・高橋メアリージュン 他

 

【賛否両論チェック】
賛:愛を知らなかった主人公が、その半生の中で様々な愛と出逢い、葛藤していく様が、美しくも切ない。様々な愛の形が描かれるのも印象的。
否:フルCGで彩られた町並み等、人によっては違和感を覚えてしまうかも。

 

ラブシーン・・・ほんの少しだけあり
グロシーン・・・暴力シーン・殺害シーン等あり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし

 

 

 「Acid Black Cherry」のアルバムの世界観を実写映画化した作品です。愛を求めた1人の女性の、波乱万丈の半生を描きます。主演は広瀬アリスさん。

 

 物語の始まりは、寂れた港町“ラ・ヴィ・アン・ローズ”でした。人里離れた山小屋で1人暮らしている少年・オヴェルは、その日もいつものように、小高い丘の上で絵を描いていました。するとそこへ裕福な家の少女・エルがやってきます。顔にあるアザのせいで、周りからは忌み嫌われていたオヴェルは、アザを気にすることなく天真爛漫に話しかけてくれるエルに、すぐに惹かれていきます。一方のエルもオヴェルの絵をとても気に入り、その後も丘へと足しげく通いつめるようになるのでした。そんなエルに、オヴェルは彼女の笑った肖像画を描いては、プレゼントをし続けます。しかしその直後、エルの両親が船の事故で亡くなり、彼女は叔父叔母の住む家へと引き取られます。叔母(高橋ひとみ)はエルに辛く当たり、彼女は頻繁に部屋に閉じ込められるようになってしまいますが、落ち込むエルのことを、叔父(田中要次)は優しく抱きしめるのでした。

 

 その後も成長したエル(広瀬アリス)は丘へと足を運び続け、オヴェル(古川雄輝)もまたエルの絵を描き続けます。そんなある日、丘から帰ったエルは、オヴェルが今までに描いてくれた絵が、全て破り捨てられているのを目の当たりにします。部屋へと入ってきたのは、叔父。なんと叔父は、エルに女性としての愛情を抱いており、エルに乱暴しようと迫ってきます。必死に振り払い、丘へと逃げ出してきたエルは、オヴェルに絵がなくなってしまったことを侘び、再び肖像画を描いてもらうよう頼みます。しかし何故かオヴェルはその頼みを断ると、そっけない態度をとるのでした。

 

 悲しみに暮れながら家へと戻ったエルに、叔母が思いもかけない話を持ちかけてきます。それは、
「新しい戸籍と、お前の両親が遺した金を渡すから、お前は死んだことにして、この町から出ていってほしい。」
というもの。それは、自分から心が離れてしまった叔父を取り戻そうとする叔母の、必死の願いでした。そんな叔母の心情を悟ったエルは、町を出ていくことを決め、崖から身を投げたように靴を残すと、両親がかつて出かけていた華やかな町・セレビィを目指すのでしたが・・・。

 

 愛を知らないままに育ったエルが、その波乱万丈な人生を通して様々な愛と出逢い、時には裏切られながらも必死に生きていく姿が、Acid Black Cherryの楽曲と共に、非常に切なく描かれます。

 

 同時に、そんな彼女の愛を独占しようとする者や、利用しようとする者、そしていつまでも変わらずに待ち続ける者等、様々な人々の愛の形が対比されるのも、思わず考えさせられてしまいます。
「変わってほしいものはいつまでも変わらないのに、変わってほしくないものはどんどん変わっていく。」
というエルの言葉が染みますね。

 

 フルCGの町並みや楽曲の好み等、好き嫌いは分かれそうな作風ではありますが、シンデレラとどこか重なるような、まるで昔話のような不思議な世界観の作品です。気になった方は是非。

 

 

【ワンチャン・ポイント】
※古畑星夏さん・・・本作では、終盤に登場する少女・リノ役。最近の映画では、「1/11 じゅういちぶんのいち」や「青鬼」、「近キョリ恋愛」等に出演されている若手の女優さんで、2017年には川口春奈さんと山崎賢人さん主演の「一週間フレンズ」や、「人狼ゲーム ラヴァーズ」では主演も務められるそうですよ。

 

オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>

 

 

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