PK | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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“かけ間違い”の真意。笑いに包まれた、宗教の多様性への痛烈な風刺。
 
2016年10月29日公開
監督:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン
アヌシュカ・シャルマ 他
 
【賛否両論チェック】
賛:笑いのオブラートに包みながら、様々な宗教が様々な行いを求めることへの、痛烈な風刺を表現しているのが、斬新で秀逸。長い上映時間を感じさせない展開も魅力。
否:インド映画特有の歌のシーンが多く、上映時間も長め。宗教への皮肉も、好き嫌いは分かれるか。
 
ラブシーン・・・少しあり
グロシーン・・・全裸のシーンがあり
アクションシーン・・・少しあり
怖シーン・・・基本的にはなし
 
 
 インド映画です。星へ帰れなくなってしまった異星人が、“神様”を探して奔走する、コメディタッチの作品です。
 
 始まりは、インドの砂漠地帯でした。着陸した宇宙船から降りてきた、異星人とおぼしき1人の青年(アーミル・カーン)。彼は遠くに見えた地球人の男性に近づきますが、男性から見ると、彼は全裸の不審者でした。地球人の男性は、青年が身につけている物で、唯一金目の物に見えた首飾りを奪うと、持っていたラジカセを投げつけて逃走。近くを走っていた列車に飛び乗り、逃げおおせてしまいます。しかも奪われた首飾りは、実は宇宙船を呼ぶリモコンだったから、さあ大変。青年は見知らぬ星にたった1人、取り残されてしまったのでした。
 
 丁度同じ日、遠く離れたベルギー。テレビ局の仕事をしている女性・ジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、大好きな詩の朗読会があると聞き、自転車を走らせていました。ところが、その朗読をするのが人気な俳優とあって、チケットは完売。仕方なく近くのダフ屋から残りの1枚を買おうとしますが、運悪くもう1人の購入希望者と重なってしまいます。そのもう1人こそが、ジャグーの運命の相手・サルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)でした。2人はすぐに恋に落ち、結婚を意識する仲になりますが、サルファラーズはパキスタン出身のイスラム教徒であったため、インドに暮らすヒンドゥー教徒のジャグーの両親は猛反対。父親が崇拝して止まない教団の導師にも、
「サルファラーズはお前を裏切り、結婚は出来ない。」
と予言されてしまうのでした。憤慨したジャグーは、翌日すぐに結婚式を挙げようとしますが、予言通りサルファラーズは式場には現れず、
「家庭の問題で結婚は出来ない。もう連絡は取らないでほしい。」
という手紙が届けられてしまいます。ショックを受け、その場を後にするジャグー。その後、失意のうちに帰国したジャグーは、地元のテレビ局で働き始めるのでした。
 
 半年が過ぎ、インドのデリーには、ワイドショーのネタ探しに明け暮れるジャグーの姿がありました。しかしなかなか面白いネタは見つからず、“犬のうつ病”というしょうもないネタを取材している彼女でしたが、そんなある日のこと、電車に乗っていたジャグーの目の前に現れたのは、おかしな服装をしたあの異星人の青年。誰が呼んだか、“PK(酔っ払い)”と名前を付けられた彼は、
「神様、行方不明。」
と書かれた人探しのビラを配り続けていました。実は彼はあの後、必死で言葉を理解し、リモコンを探し続けていたものの、出逢う人々は皆、
「神様にお願いしたら?」
と言うので、その言葉を額面通りに真に受け、神様を探していたのでした。そんな見るからに怪しい彼の様子に、ジャグーは興味を惹かれるのでしたが・・・。
 
 純粋な異星人のPKが、“神様”という人物が存在すると思って疑わず、様々な宗教の様々な神様を探し続ける姿が印象的です。色々な宗教を“会社”に例えて理解するのも、面白いですね。
 
 しかし当然ながら、神様は見つからないまま、やがて彼が辿り着く“かけ間違い”という結論は、秀逸です。様々な思想から、信者に様々な行いを求める多様な宗教への、痛烈な皮肉が込められているようです。これには批判もありそうですが、それを笑いのオブラートに包んで体現しているのには、説得力があります。
 
 インド映画特有の歌や踊りのシーンが突然登場したり、上映時間もかなり長かったりするので、好みは分かれるかと思いますが、クスッと笑える中にも痛烈な風刺を織り込んだ、興味深い作品です。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※アーミル・カーン・・・本作の主演で、異星人・PK役のお方。最近の映画では、大学生達のコメディ「きっと、うまくいく」や、サーカスの団長にして凄腕の金庫破りの曲芸師を描いた「チェイス!」等で、主演を務めていらっしゃいます。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>
 
 
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