湯を沸かすほどの熱い愛 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

タイトルの真の意味。家族を優しく包む“母の愛”。
 
2016年10月29日公開
監督:中野量太
出演:宮沢りえ・杉咲花・オダギリジョー・松坂桃李 他
 
【賛否両論チェック】
賛:残された命の時間を使って、バラバラになってしまった家族の心を繋ぎ、また1つにしていく主人公の姿が、切なくも温かい。徐々に明らかになっていく家族の真実や、立ち直っていく家族が主人公を想って行動していく様も、予期せぬ感動を誘う。
否:展開はかなり淡々としているので、惹かれないと眠くなりそう。終わり方にも賛否は必至か。
 
ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・注射や吐血のシーンがあり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・なし
 
 
 余命を宣告された母が、残された時間で家族を立ち直らせるために奮闘する様を描きます。主演は宮沢りえさん。
 
 田舎町で暮らす、幸野双葉(宮沢りえ)と安澄(杉咲花)の親子。双葉の夫・一浩(オダギリジョー)は、1年前に突然失踪してしまい、家業の銭湯は休業状態。それでも明るくてたくましい双葉は、パン屋でパートをしながら、家計を支えているのでした。しかし娘の安澄は、その臆病な性格が災いし、学校ではイジメを受けていました。その日も
「学校に行きたくない・・・」
とごねる安澄を送り出し、自身も職場へと向かった双葉でしたが、放課後に学校から電話がかかってきます。保健室に双葉が迎えに来ると、安澄の制服は絵の具まみれ。明らかにイジメでやられたものでしたが、安澄は
「自分でやった!!」
の一点張り。そんな安澄を連れて帰りながら、双葉は
「明日も学校行こう。」
と、優しく声をかけるのでした。
 
 ところがそんなある日、双葉は仕事中に突然倒れてしまいます。運ばれた病院で告げられたのは、
「ステージ4の末期ガン。全身に遠隔転移が見られ、治療はもう意味をなさない。」
という、信じられないものでした。突然の告知に、銭湯の中で夜まで泣き通した双葉でしたが、やがて安澄からの電話で我に帰り、自分のやるべきことを実行し始めます。まず手始めに、双葉は子連れ探偵の滝本(駿河太郎)に、一浩が隣り町に住んでいることを突き止めてもらうと、そのアパートまで押しかけます。同棲していた女性は既にいなくなっており、一浩は相手の連れ子・鮎子(伊東蒼)と共に、幸野家へと帰ってくることになります。
 
 その後、家族4人で銭湯を再開させることに成功した双葉。しかしそんな折、安澄が体育の授業中に制服を隠されるという事件が発生、安澄は
「もう学校には行きたくない!!」
と、自室に閉じこもってしまいます。
「新しい制服を買ってあげようか?」
と言い出す一浩に対し、双葉は強引に安澄の布団を引っぱがすと、
「逃げちゃダメ!!今自分の力でなんとかしないと!!」
と叱りつけます。結局大ゲンカの末に、勇気を出して登校した安澄は、授業中に啖呵を切って、制服を返してもらうことに成功するのでした。こうして順調にやり残したことを成し遂げていく双葉でしたが、そうしている間にも、病は着実に進行していってしまうのでした・・・。
 
 自身の余命を悟ったからこそ、多少の延命よりも、家族を幸せにすることを選び、奔走する主人公の姿が、たくましくもあり切なくもあります。その優しさは、「ボクの妻と結婚してください。」にも通じるところがありそうです。
 
 そして、物語中盤で明かされる真実と、それを受けてまた1つ成長していく家族の様子や、ラストへと向かっていくまでの、他の映画とはひと味違うほんわかした雰囲気も、どこか印象的で心に残ります。
 
 展開そのものはかなり淡々と進むので、感情移入出来ないと眠くなってしまいそうなのが難点ですが、心がほっこり温まるステキな作品です。是非ご覧になってみて下さい。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※りりィさん・・・本作では、後半に登場する向田都子役。最近の映画では「モテキ」や「エイプリルフールズ」、「東京無国籍少女」や「ぶどうのなみだ」、「GONIN サーガ」や「リップヴァンウィンクルの花嫁」等々、様々な作品に出演されていましたが、11月に急逝されてしまいました。来年公開の「彼らが本気で編むときは、」にも出演していらっしゃいるそうなので、そちらにも要注目です。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>
 
 
<「映画の通信簿2015」発売中!!>