少女 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

まさに“ヨルの綱渡り”。さまよえる孤独な2つの心。
 
2016年10月8日公開
監督:三島有紀子
出演:本田翼・山本美月・真剣佑 他
 
【賛否両論チェック】
賛:周りの人間関係から外れた2人の少女が、目の前にちらつく「死」と向き合いながら、少しずつかすかな希望を手にしていく様子に、人間としての在るべき姿を改めて考えさせられる。
否:特に序盤は淡々としているので、興味がないと眠くなりそう。イジメ等、思わず目を背けたくなるようなシーンもある。
 
ラブシーン・・・少しあり
グロシーン・・・少しあり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも
 
 
 湊かなえさん原作の小説の映画化です。孤独な2人の少女が、「死」と向き合っていく姿を描きます。主演は本田翼さんと山本美月さん。
 
 名門の女子高に通う草野敦子(山本美月)。彼女には、幼い頃から共に剣道に打ち込んできた心友・桜井由紀(本田翼)がいました。今も2人は同じクラスでしたが、由紀の方は手の怪我が原因で剣道を辞め、小説の執筆にのめり込むようになっていました。由紀は授業中も執筆に熱中し、国語教師の小倉(児嶋一哉)からも呆れられる始末。一方の敦子は、同級生達からの陰湿なイジメに苦しめられていました。
 
 ある日のこと、自分のロッカーを開けた敦子は、中に赤字で「死ね」と書かれた大量のナプキンを見つけ、思わず倒れ込んでしまいます。その様子を面白おかしく動画に収める同級生達の笑い声を聞くうちに、敦子は持病の過呼吸を起こしてしまうのでした。次に彼女が目覚めると、そこは保健室のベッドの上で、傍らには由紀の姿が。
「死にたい・・・」
と呟く敦子を、由紀は強い言葉で励ますのでした。
 
 一方で、由紀の身にも事件が起こります。ずっと書き続けてきた小説「ヨルの綱渡り」の原稿を、体育祭の最中に盗まれてしまったのでした。しかも犯人は、なんと小倉。小倉は「ヨルの綱渡り」を自分の作品として発表し、「蒼穹新人賞」を受賞してしまい、それを自慢げに生徒達に見せびらかします。そんな小倉の姿や、認知症を患って由紀の手に怪我をさせた祖母の姿を思い返すうちに、由紀も次第に心を病んでいくのでした・・・。
 
 片や、
「自殺は敗北宣言だ。」
「この世界には、愛も自由も平等も存在しない。」
と周りから距離を置いて生きてきた由紀。片やイジメの対象となり、周りから距離を置かれて生きてきた敦子。2つの孤独な心がもがきながら、同じように孤独な孝雄や、難病で入院中の子供達とのふれあいを通して、少しずつ希望を見出だしていく姿が、印象に残ります。それはまるで、由紀が劇中で書く“ヨルの綱渡り”さながらで、思わず考えさせられます。
 
 一方で、他と違う者を簡単に迫害してしまったり、己の欲のために何のためらいもなく他人の人生を壊してしまったりと、人間の持つ醜い部分が淡々と描かれるので、その辺りは好き嫌いがハッキリ出そうなところでもあります。
 
 軽い気持ちで観られる作品ではありませんが、闇のように深い絶望の中でかすかに光る希望を描く、そんな作品に仕上がっています。
 
 
【ワンチャン・ポイント】
※真剣(まっけん)祐さん・・・本作では、本田翼さん演じる由紀の恋人・牧野役。知る人ぞ知る千葉真一さんの息子さんで、最近の映画では、「劇場版仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー」や、広瀬すずさん主演の「ちはやふる」にも出演されています。
 
オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


<「映画の通信簿2015」発売中!!>