二重生活 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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不思議と惹かれる妖しさ。理由なき“尾行の哲学”。


2016年6月25日公開
監督:岸善幸
出演:門脇麦・長谷川博己・菅田将暉 他


【賛否両論チェック】
賛:“尾行”を通して、他人の本性を覗き見た主人公の葛藤が率直に描かれ、不思議とハラハラさせられる。大学教授のサイドストーリーもまたしかり。
否:描写自体は淡々としているので、興味を惹かれないと眠くなるかも。必然性に疑問の残るラブシーンもかなりあり。


ラブシーン・・・かなりあり
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし



 修士論文がきっかけとなり、“理由なき尾行”にのめり込んでいく主人公の姿を描きます。主演は門脇麦さん。


 主人公は、大学院で哲学を専攻している白石珠(門脇麦)。ゲームクリエーターの恋人・鈴木卓也(菅田将暉)と同棲している彼女は、その日もアパートのベランダから、隣りの家の夫婦が一人娘と楽しそうに遊ぶ様子を、ぼんやりと眺めていました。その後大学院へ登校した珠は、教授の篠原(リリー・フランキー)に、修士論文のテーマについて相談をします。すると篠原は、「目的のない尾行によって、対象者の人生を考察する」という方法を提案するのでした。


 迷った末に、篠原が提案した“尾行”を考察することにした珠は、早速書店で探偵に関する本を探します。そんな彼女の目に、サイン会の立ち会いをしている1人の出版関係者の姿が飛び込んできます。それこそが、他ならぬ隣りの家の石坂(長谷川博己)なのでした。珠は早速石坂の尾行を開始。途中、Suicaの残額不足にヒヤヒヤさせられながらも、なんとかカフェに入った石坂に追いつきます。するとそこへやってきたのは、浮気相手らしき1人の女性。その後も尾行を続けた珠は、2人が白昼のビルの間で情事にふけるのを目撃してしまうのでした。


 その後も珠は、出版社に勤める石坂の行動を尾行し、事細かに記録をつけていきます。しかしそれは同時に、石坂が家族の前で見せる“父親”の顔と、浮気相手の前で見せる“男”の顔、2つを見てしまうという、衝撃的な作業でもありました。そして昼夜を問わずに尾行をする珠は、やがて卓也ともすれ違っていってしまうのでした・・・。


 論文のテーマがきっかけで、“尾行”という禁断の世界に足を踏み入れてしまった主人公が、対象の人間の本性を垣間見てしまう様子が、まるで主人公の視点を追体験しているようで、淡々としているのに思わずハラハラさせられてしまいます。


 そんな主人公のストーリーとは別に、彼女に尾行を勧めた大学教授・篠原の、こちらは切ない“二重生活”にも、“家族”が持つ意味について、改めて考えさせられます。


 「・・・必要?」
と思ってしまうようなラブシーンも結構ありますので、好みは分かれそうですが、妖しくてどこか惹かれる“尾行”の世界を、ご覧になってみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※後半の書店・・・劇中の後半、主人公が“対象者B”を尾行中に立ち寄った書店ですが、名前が「門倉書店」でした。個人的に要注目していただきたいところです(笑)。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>



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