教授のおかしな妄想殺人 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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“タブーを破る”ことの意義と代償。一線を越えた教授の悲喜こもごも。

2016年6月11日公開
監督:ウディ・アレン
出演:ホアキン・フェニックス
エマ・ストーン 他

【賛否両論チェック】
賛:“他人のために殺人を犯す”という禁忌によって、生き甲斐を取り戻していく主人公の姿が、コミカルでもあり痛々しくもある。ありふれてはいるが、どこか光る終わり方も魅力的。
否:展開は結構淡々としているので、特に前半は眠くなりそう。


ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし


 ウディ・アレン監督最新作です。生き甲斐を失っていた大学教授が、ひょんなことから検事の殺害計画を練り始めます。

 田舎街のとある大学に、哲学科の教授、エイブ・ルーカス(ホアキン・フェニックス)がやってくるところから、物語は始まります。来たばかりの彼はどこか卑屈な厭世家で、周りともあまり関わりを持とうとしませんでした。そんな彼に対し、夫への不満が溜まっていた教師のリタ(パーカー・ポージー)は、次第に好意を抱くようになりますが、他の教員や学生達には、エイブは偏屈な変わり者と思われているのでした。

 そんな中、エイブの講義を受けていた学生・ジル(エマ・ストーン)は、講義後にエイブから、
「レポートが個性的で素晴らしい。」
と褒められます。気を良くしたジルは、エイブの著書の分からないところを質問。かくして2人は、すぐに打ち解けるようになっていくのでした。実はジルには、両親も認める恋人のロイ(ジェイミー・ブラックリー)がいましたが、彼女は
「まだ1人の男性に絞ることは出来ない。」
と、エイブとも逢瀬を重ねていきます。とはいえ、元々エイブにその気はなく、ジルはあえなくフラれてしまうのでした。

 それからしばらく経ったある日のこと、ジルとレストランでランチをしていたエイブはふと、隣りの席の家族が、何やら深刻な話をしているのに気がつきます。どうやらその一家の娘が離婚調停中で、子供達の親権を夫に取られそうになっているとのこと。しかも夫は子供達のことなど考えてもいないのに、スパングラーという悪徳検事が裁判官にまで手回しをして、強引に親権を奪おうとしているらしく、話を漏れ聞いたジルも憤慨します。ところがこの時、エイブの頭の中には、全く別の考えが閃いていました。即ち、彼女とは無関係な自分がスパングラーを殺害することで、社会の悪を懲らし、彼女を救おうというものでした。その後エイブは完全犯罪を遂行するべく、スパングラーの素行を調査すると共に、その殺害方法をあれこれ思い巡らします。すると同時に、生き甲斐を見つけた彼の表情は、すぐに生き生きとし始めるのでした・・・。

 最初は生き甲斐もなく、生気を失っていた主人公が、「赤の他人のために悪徳検事を殺害する」という目的を見出だし、次第に生き生きとしていく姿が、滑稽な中にも切なさを感じさせます。同時に、“恋人がいる教え子との恋”という、言ってみれば2つのタブーに足を踏み入れていく様子もまた、非常に考えさせられます。

 展開はかなり淡々と進んでいき、特にメリハリのある描写があるわけでもないので、その辺りの好みは分かれるかとは思います。

 ラストも予定調和ではありますが、どこか憎めないのが、またステキなところ。ウディ・アレンファンにはオススメの作品です。


【ワンチャン・ポイント】
※エマ・ストーン・・・本作では、エイブに心惹かれていくジル役。「アメイジング・スパイダーマン」シリーズでのグウェン役で有名な方で、他にも最近では「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」にも出演されています。ウディ・アレン監督作品には「マジック・イン・ムーンライト」に占い師役で出ていらっしゃいますね。


オススメジャンル&オススメ度・・・<笑いたい>B


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