世界から猫が消えたなら | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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親思う心に勝る親心。切なすぎる設定の中、最期に知る真実の愛。


2016年5月14日公開
監督:永井聡
出演:佐藤健・宮崎あおい・濱田岳 他


【賛否両論チェック】
賛:大切な“もの”を消すことで、大切な“周りの人々との記憶”も消えてしまうという描写を通して、人と人との絆の中で生まれる真実の愛に泣かされる。ものが消える際の演出も幻想的。
否:設定はやや強引か。結構小説チックな会話のシーンも多いので、やや好き嫌いは分かれそう。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・殺された遺体のシーンが一瞬あり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも



 小説の映画化です。余命わずかな主人公が、大切なものを1つ消すことで、1日分の命を永らえていきます。主演は佐藤健さん。


 物語の舞台は、とあるのどかな港町。主人公の青年(佐藤健)は、郵便配達員をしていました。仕事帰り、映画好きの彼は、大学時代の友人・“ツタヤ”ことタツヤ(濱田岳)が働くレンタルビデオ店に立ち寄ると、いつものようにツタヤオススメの映画のDVDを受けとると、自転車を走らせます。ところがその直後、突然のめまいに襲われたかと思うと、自転車ごと引っくり返ってしまった主人公。病院に運ばれた彼は、医師から、
「悪性の脳腫瘍で、余命わずかだ。」
と告げられてしまうのでした。


 深い絶望の中、帰宅した主人公。そんな彼を、突然もう1人の自分が出迎え、主人公は驚きます。
「死神か・・・悪魔?」
と問いかける主人公に、
「それでいいや。」
と答えた“悪魔”は、彼の寿命が明日尽きてしまうことを伝えます。そしてそれを遅らせる唯一の方法として、とある提案をするのでした。それは、
「この世から何か1つを消すことで、1日分の寿命を得られる。」
というもの。それを聞いた主人公は、早速嫌いなパセリを消してもらおうとしますが、悪魔は
「消すものは僕が選ぶ。」
とこれを却下。するとそこへ、郵便局長から電話がかかってきますが、それを見た悪魔は、
「この世界から電話を消しましょう。」
と宣言し、姿を消すのでした。


 そして迎えた翌朝、まだ電話は消えておらず、主人公は半ば狐につままれた様子。それでも、昨夜悪魔に
「最後に誰に電話をかける?」
と急かされて電話をした元恋人(宮崎あおい)と会うために、出かけていきます。久しぶりに会った彼女は何も変わっておらず、2人は昔話に花を咲かせます。2人の出逢いは、大学時代に彼女がかけた間違い電話。誤ってかかってきた彼女からの電話を受けた時、主人公はたまたまツタヤから借りた映画を観ているところでした。すると彼女は、音を聞いただけで何の映画を観ているかを言い当ててしまいます。それがきっかけとなり、2人は学校でも出逢い、やがて恋人同士になっていったのでした。しかしその日の帰り道、再び姿を現した悪魔が、
「そろそろ電話を消してもいい?」
と聞くと、主人公の持っていた携帯電話が、突然消えてなくなってしまいます。周りの人々の手からも、いつの間にか携帯電話がなくなっており、街角の公衆電話や携帯ショップも次々と姿を変えていってしまいます。そして世界から電話が消えてしまったことで、彼女と主人公が出逢った事実や思い出も消えてしまい、彼女の記憶からも主人公が消えてしまうのでした・・・。


 大切なものを1つ消すことで、1日の命を得る。でもそれは同時に、その“もの”を通して築き上げてきた大切な人達との大切な記憶をも、消し去ることになってしまうということに、改めて深く考えさせられます。大事な人だったはずの人々が、主人公のことを忘れていってしまう描写は、とても切なさが残ります。“悪魔”が言う通り、勿論自分の命は1番大事なものではある中で、主人公が思い悩む姿も、また印象的です。


 そんな大切な記憶の中でも、最も大きなウエイトを占めるのが、やはり亡き母との思い出です。自身のことは二の次で、ずっと主人公に愛情を注いでくれた母。そんな母の本当の想いが明かされる時、観ている側も涙が止まりません(笑)。それを知った主人公がどんな決断を下すのかにも、要注目です。


 やや小説チックなやりとりが少し気にはなりますが、電話や映画が消えていくCGは、非常に幻想的でもあります。猫好きの方は勿論、そうでない方も、沢山泣ける感動作に仕上がっていますので、是非劇場でご覧下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※石井杏奈さん・・・本作では、濱田岳さん演じる“ツタヤ”の店の店員・ミカ役。E-girlsのメンバーの方で、最近の映画では、「ソロモンの偽証」でのいじめられっ子役や、「ガールズ・ステップ」での主演等でお馴染みです。新作では他にも、広瀬すずさん・山崎賢人さん主演の「四月は君の嘘」にも出演されるそうですね。


オススメジャンル&オススメ度・・・<泣きたい>



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