マジカル・ガール | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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シュールかつ衝撃的なラスト。好みの分かれる不思議な世界観。


2016年3月12日公開
監督:カルロス・ベルムト
出演:バルバラ・レニー
ルシア・ポシャン 他


【賛否両論チェック】
賛:主人公達が織り成す独特な世界観と、衝撃的な終わり方が印象に残る。様々な伏線の回収も見事。
否:お話そのものはかなりシュールで、後味の悪さも残る。全裸のシーン等もあり。


ラブシーン・・・少しだけあり
グロシーン・・・おう吐物のシーン等があり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも



 スペイン映画です。日本のアニメに憧れる難病の少女や、精神疾患を抱える女性が巻き込まれる、シリアスな事件の顛末を描きます。


 スペインに暮らす1人の男・ルイス。彼には12歳になる一人娘のアリシアがいましたが、アリシアは思い白血病を患っていました。しかもルイスは教師の仕事を解雇され、今は失業中の身。やむなくルイスは、自宅の本を売っては、なんとか生活を維持しているような有り様でした。そんなある日のこと、本を売って帰ってきたルイスは、自室で倒れているアリシアを発見し、慌てて救急車を呼びます。大事には至りませんでしたが、アリシアはしばらく入院することになってしまうのでした。その最中、アリシアの部屋に入ったルイスは、彼女の手帳を発見。そこには、彼女のいくつかの願いが書かれていましたが、日本のアニメが大好きなアリシアの、
「『魔法少女ユキコ』のドレスが欲しい。」
といった彼女らしい願いの後には、
「13歳になりたい。」
という悲しすぎる願いも書かれており、ルイスは思わず涙ぐんでしまうのでした。


 早速彼女の願いを叶えようと、インターネットで魔法少女ユキコのドレスを検索するルイスでしたが、どうやらアリシアが欲しがっているドレスは、デザイナーが人気歌手のために作った一点物らしく、値段はなんと7千ユーロ(90万円)もする代物。それでもルイスは諦めずに家中の本を売ってお金に替えますが、7千ユーロにはとても足りません。昔の知り合いのつてを頼って働き口を探したり、サラ金からの借金も模索するルイスでしたが、いずれも失敗してしまいます。やむにやまれなくなったルイスは、偶然通りかかった宝石店のショーウィンドウに目をとめ、ついついガラスを割ろうとしてしまいますが、次の瞬間、頭上からまさかのおう吐物が降ってくるのでした。


 ところ変わって、精神疾患を抱える女性・バルバラ。精神科医でもある夫・アルフレドの支えもあり、なんとか生活を保っている彼女は、ある日赤ん坊のいる知人宅を訪れますが、ニヤニヤしている理由を聞かれ、
「窓から落としたらどんな顔をするかと思って。」
と答え、大ひんしゅくを買ってしまいます。そんな彼女にアルフレドは呆れ、バルバラに睡眠薬を飲ませている間に、家を出ていってしまうのでした。夜中に目が覚め、そのことに気がついたバルバラは、失意に駆られて額で鏡を割ってしまい、ケガをしてしまいます。頭を打ったその状態で薬を飲んだ彼女は、吐き気を催し、窓から下へとおう吐。実はこの時真下にいたのが、今まさにガラスを割ろうとしていたルイスだったのでした。


 ルイスはすぐに立ち去ろうとしますが、見かねたバルバラは彼を呼び止め、家でシャワーを浴びてもらうことにします。その後、2人はすぐにイイ雰囲気になり、ついつい一夜を共にしてしまいます。すると翌朝、バルバラが目覚めると既にルイスの姿はなく、やがて彼女の下に、
「昨夜のことをバラされたくなかったら、7千ユーロを用意しろ。」
と、ルイスから脅迫電話がかかってくるのでした・・・。


 一言でいうと、「とってもシュールなサスペンス」といった印象です。難病の娘のために恐喝を始めてしまった父と、金を用意しようとする一心で、次第にたがが外れていってしまう1人の女性。2人を取り巻く人間模様がシュールに交錯していく様子が、なんとも言えない不思議な世界観を作り出していきます。


 そして、最後に迎える衝撃的な結末も、本作を語る上で欠かせません。理不尽な中にもウィットに富んでいるそのラストは、秀逸と呼べると思います(笑)。


 一見すると無意味なように思えたシーンや、無関係なように感じたシーン同士が、次第にそれぞれ繋がっていく様子も見事です。


 好き嫌いは分かれそうですが、気になった方は是非。



【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>



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