殿、利息でござる! | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

無私の戦いを通して気づく、本当に大切なものの存在とは。


2016年5月14日公開
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ・瑛太・妻夫木聡 他


【賛否両論チェック】
賛:町や子孫のために、全てをなげうって資金を集めようと奔走する主人公達の行動が、痛快かつ感動的。一連の騒動を通して改めて気づかされる、疎遠だった家族の本当の想いにも泣かされる。
否:コミカルなシーンは思いのほか少なく、笑える映画を想像して観ると、期待外れ感が否めない。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・なし



 生活に苦しむ宿場町の庶民が、大金を集めてお上に貸し出し、その利息を負担の軽減に充てたという、江戸時代の実話を描いた作品です。主演は阿部サダヲさん。


 物語の舞台は江戸時代、仙台藩の小さな宿場町・吉岡宿。田畑は少なく、人々は農業の他、商いでも生計を立てていましたが、景気はすこぶる悪く、生活は貧しいものでした。それに加え、お上が宿場を移動する歳の馬や人足を用意する“伝馬役”も、吉岡宿が負担することになっており、その経済的な負担は、宿場の景気に追い討ちをかけているのでした。物語は、宿場で茶を作っていて、知恵者としても知られる菅原屋篤平治(瑛太)が、京で公家に茶名をつけてもらい、なつ(山本舞香)という嫁までもらって、吉岡宿へと帰ってきたところから始まります。


 帰ってくるなり、なつを乗せてきた馬を伝馬役にとられてしまい、呆れる篤平治。しかしそれ以上にこの窮状を嘆いている造り酒屋の穀田屋十三郎(阿部サダヲ)の姿がありました。十三郎は打ち首になるのを覚悟で、やって来ていた代官に直訴しようとしていましたが、篤平治はすぐにそれを察し、慌てて止めに入ります。代官には気づかれそうになりますが、篤平治の機転でなんとか事なきを得ます。しかし、十三郎の気持ちを知りつつも、「頑張る」としか言うことが出来ない篤平治。その後は、十三郎の弟でもある金貸しの浅野屋甚内(妻夫木聡)の下を訪れ、茶作りのために借りた資金の、利息分を支払うのでした。


 その後、女将のとき(竹内結子)が切り盛りする飯屋を訪れた篤平治。そこでは十三郎も、1人で酒を飲んでいるところでした。話は自然と甚内の話になりますが、その時篤平治はふと、前々から考えていたアイディアを思い出します。それは、
「お上に金を貸し、毎年その利息を払ってもらう。その利息を伝馬役に充てることで、宿場の負担を減らそう。」
というもの。十三郎はすぐに興味を惹かれますが、そのためには元手として少なくとも千両(3億円)が必要という話になり、篤平治は
「酒の席のことです。忘れて下さい。」
と煙に巻くのでした。


 ところがそれからしばらくして、十三郎は叔父の十兵衛(きたろう)と共に、篤平治の下を訪れます。なんでも2人とも、先日の“お上に金を貸す”計画に、俄然乗り気だとのこと。そこで篤平治は、肝煎(庄屋)の遠藤幾右衛門(寺脇康文)に計画を打ち明けることにします。お上と庶民の間に立ち、時にお上の仕事も代わりに行う肝煎に計画を話すのは、ともすれば危ういことでもありましたが、十三郎と篤平治は意を決して幾右衛門の下を訪ねるのでした。すると幾右衛門は、
「伝馬役は・・・理不尽どころの話ではない。」
と、計画に大賛成。さらには、いくつもの村を束ねる大肝煎の千坂仲内(千葉雄大)までもがこの計画に賛同し、この無謀とも言える計画は進んでいきます。こうして十三郎達は、自分達の家財や土地を売り払ったり質に入れたりして、地道に軍資金を集めるのでしたが・・・。


 「お上に金を貸す」という奇想天外な発想で、宿場町の危機を救った実話という触れ込みですが、そこにあるのは自身の苦楽よりも町や子孫のことを1番に考え、命がけの挑戦に打って出た男達の覚悟だったことが伺えます。最初は名誉欲なんかが邪魔して、決して一枚岩ではなかった彼らが、「宿場を守りたい」という想いだけで突き進んでいく姿に、何とも言えない痛快さがあります。そしてそんな主人公達に感化され、自ら行動を起こし始める町の人々の姿もまた、印象に残ります。


 それからもう1つ、このお話は“家族の絆の再生”のストーリーでもあります。幼い頃、長男なのに養子に出され、以来父や弟と疎遠になっていた主人公。そんな彼が今回の騒動を通して、弟や亡き父の本当の想いを知っていく様子には、感涙すら覚えるほどです。


 あまりコメディといった感じではありませんが、実在した無私の人々のお話を、是非ご覧になってみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※山本舞香さん・・・本作では、瑛太さん演じるの妻・なつ役。今まさに売り出し中の女優さんで、最近の映画では、「映画 暗殺教室 卒業編」でのカエデ役が有名なところです。他にも「桜ノ雨」での主演や、「Zアイランド」での主人公の娘役等でも出演されています。


オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>



<「映画の通信簿2015」発売中!!>