64 ーロクヨンー 前編 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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家族を失う辛さ。次第に明かされる、切なくも許しがたい真相。


2016年5月7日公開
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市・綾野剛・榮倉奈々 他


【賛否両論チェック】
賛:自らも傷を抱える主人公が、かつて家族を失った遺族の事件の真相を知るべく、孤軍奮闘する姿が印象深い。次第に暴かれていく警察側の隠ぺいや覇権争いにも、改めて考えさせられる。
否:登場人物が複雑に入り組むので、気をつけないと人物関係がついていけなくなりそう。後編に謎も残る。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも



 人気小説の映画化です。昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件、その14年後の時効直前の刑事達を描いたミステリーです。主演は佐藤浩市さん。


 始まりは、わずか7日間で幕を閉じた、昭和64年の群馬県でした。その日、漬け物屋「雨宮漬物」の小学生になる1人娘・雨宮翔子が誘拐され、身代金を要求する電話がかかってきます。当時県警の捜査一課特殊犯捜査係だった主人公・三上義信(佐藤浩市)も、雨宮宅に急行、そこでは既に自宅班が待機しており、父親の雨宮芳男(永瀬正敏)は、憔悴しきっていました。翌日、漬け物屋の事務所の方に、身代金の受け渡し方法を指示する電話が入ります。要求通りに、いくつもの喫茶店や居酒屋を転々とする雨宮を、三上達追尾班は執念深く追跡します。最終的に犯人は、現金が入ったスーツケースを、山奥の橋から投げ落とすよう指示。翌朝、流れ着いたスーツケースを拾おうとした男を捜査員達が確保しますが、スーツケースの中は既に空。どうやら犯人は、途中で通過したであろう鍾乳洞の中で現金を回収したようで、捜査員達は落胆します。その後の必死の捜査にも関わらず、年号が平成に変わった直後、翔子は変わり果てた姿で、河川敷に停められた車のトランクから発見されるのでした。


 それから14年後の、12月4日。三上は警務部へと異動になり、広報官として飛び回る日々を送っていました。高校生の娘・あゆみ(芳根京子)が失踪している三上は、その前日も同年代の少女の遺体発見の知らせを受け、妻の美那子(夏川結衣)と共に確認へ行ったばかりでした。その日の朝、県警に来た三上を、記者クラブの面々が取り囲みます。記者クラブは直前に起きた交通事故で、老人をはねた車の運転手である妊婦の氏名が非公開であることを不服とし、抗議をしに来たのでした。幹事の秋川(瑛太)を始め、記者達は三上に詰め寄りますが、三上は
「妊婦の精神的ショックを鑑みた結果だ。」
として、これをはねつけます。しかし実のところ、被疑者の氏名非公表は、上司である赤間警務部長(滝藤賢一)からも命じられている事柄でもありました。そんな三上は赤間から、
「12日に警察庁長官が、雨宮翔子誘拐殺人事件の専従班激励にいらっしゃる。雨宮宅も慰問されるので、遺族の承諾を取りつけて来い。」
と指示されるのでした。


 早速雨宮宅を訪れる三上でしたが、漬け物屋は既に閉鎖されており、雨宮芳男は放心状態。妻も既に他界していました。そんな雨宮への慰問の申し入れは、にべもなく断られてしまうのでした。やむなく署へ戻った三上を、今度は記者クラブの秋川達が待ち構えると、
「県警本部長宛てに抗議文を出します!!」
と宣言。そのまま本部長室へと押しかけようとし、三上達広報室の面々と押し問答になってしまいます。そんな様子を見ていた赤間は飽きれ、三上を焚きつけます。その後も三上は記者クラブへの対応に追われながら、14年前の事件の関係者を回りますが、そこで浮かび上がってきたのは、「幸田メモ」と呼ばれる隠滅された文書と、当時の自宅班によって行われたミスの隠ぺいという、衝撃の事実でした・・・。


 自身も“家族の失踪”という苦悩に耐えながら、かつて少女を救えなかった事件の傷跡を埋めるべく、広報官という立場から奔走する主人公の姿が、非常に痛々しく映ります。クライマックスでの、記者クラブで啖呵を切るシーンなんかは、観ていて圧倒させられます。


 そしてそんな彼が、無情にもその事件を利用しようとする警察上層部の覇権争いに巻き込まれていく様も、また切ないです。次第に明らかになっていく事件の裏側の真実にも、改めて考えさせられるものがあります。


 それから本作では、何といってもキャストがとっても豪華です。ちょっとした役でも
「えー、この人!?」
ってなります(笑)。それくらい豪華な布陣にも注目です。


 後半に向けて謎は残りますが、気になるグロシーンもありませんので、ミステリー好きな方には是非オススメです。


【ワンチャン・ポイント】
※芳根杏子さん・・・本作では、主人公・三上の失踪する娘・あゆみ役。登場シーンはかなり髪がボサボサなので、よーく観ないと気がつかないと思います(笑)。今まさに飛躍し始めている女優さんで、「向日葵の丘 1983年・夏」での常盤貴子さんの高校時代役や、「先輩と彼女」でのヒロイン役が有名なところです。


※黒川芽以さん・・・本作では、吉岡秀隆さん演じる幸田の妻役。前編ではほとんど登場されませんでしたので、後編に期待大ですね。最近の映画では、「横道世之介」や「ぼくたちの家族」、「劇場版 東京伝説 歪んだ異形都市」や「忍者狩り」、「福福荘の福ちゃん」や「きみはいい子」、「愛を語れば変態ですか」等々多数出演していらっしゃいます。6月公開の「走れ、絶望に追いつかれない速さで」と「ふきげんな過去」にも出ていらっしゃいるそうなので、そちらにも注目です。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>



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