アイ アム ア ヒーロー | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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生き残れるか。極限状態で覚醒していく、1人の男の成長物語。


2016年4月23日公開
監督:佐藤信介
出演:大泉洋・有村架純・長澤まさみ 他


【賛否両論チェック】
賛:小心者で甲斐性なしだった主人公が、崩壊した世界の中で、少しずつたくましく成長していく姿に、胸がスカッとする。先の読めないハラハラ感や、ZQNを次々になぎ倒していくスリリングな展開にも、目が離せない。
否:主人公達だけが上手いこと生き残るのは、ご愛嬌か。グロシーンもメチャメチャあるので、苦手な人には絶対向かない。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・メッチャあり
アクションシーン・・・あり
怖シーン・・・急に驚かせるシーンがあり



 「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビが跋扈する世界で、生き残りを賭けて戦う主人公を描きます。主演は大泉洋さん。


 物語の主人公は、漫画家アシスタント・鈴木英雄(大泉洋)。35歳にしてうだつが上がらない彼は、かつて新人賞の同期だった漫画家・中田コロリ(片桐仁)にも、大きく溝を開けられていました。その日も英雄は、編集社に持ち込んだ漫画をボツにされ、落胆した面持ちで家へと帰ってきます。しかし家では、同棲中の恋人・徹子(片瀬那奈)が終始不機嫌な様子。取り繕おうとする英雄に対し、徹子は一向に芽が出ない彼自身や、変わらない現状への不満をぶちまけます。結局英雄は、趣味だった射撃用の猟銃と共に、家の外へと放り出されてしまうのでした。


 その夜は公園で一晩を明かした英雄は、翌日も職場で仕事をこなします。その傍らでは同僚の三谷(塚地武雅)が、ついている漫画家の松尾(マキタスポーツ)と、アシスタントの女子とが不倫関係になっていることに、憤っていました。当の2人はというと、昨晩から風邪のような症状が出始めているのでした。その日の夜、残業をしていた英雄の下に、徹子から謝罪の電話がかかってきます。通話をしようとベランダに出た英雄は、頭上を飛び交う無数のヘリコプターに違和感を覚えるのでした。翌朝1番に帰宅した英雄でしたが、部屋の中からは何の応答もありません。不審に思い、郵便受けから中を覗いた英雄の目に飛び込んできたのは、ベッドから崩れ落ち、その後も人間とは思えない関節の曲がり方をして立ち上がった徹子が、ドアもろとも自分に飛びかかってくる姿でした。その顔には徹子の面影はなく、さながらゾンビのようで、英雄はがく然としてしまいます、そんな英雄を部屋に引きずり込んだ徹子は、その手に噛みつきますが、幸いその直前にドアに噛みついて歯が全て折れていたため、大事には至りません。とっさに英雄が徹子を突き飛ばすと、徹子は床に落ちていた新人賞のトロフィーに胸を貫かれ、ようやくその動きを止めるのでした。


 ショックを隠せないまま部屋を飛び出し、職場へと駆けつける英雄でしたが、そこでは松尾も変貌しており、三谷がそれを金属バットで殴り殺しているところでした。しかし、噛まれていた三谷もすぐに変貌を始めてしまい、彼は自ら命を絶ってしまいます。慌ててその場を逃げ出す英雄。街の中は一件平和そうに見えていましたが、すぐにその静寂は破られます。徹子達と同じように変貌した者達が、道行く人々に次々と襲いかかると、その肉を喰らい始めたのでした。街が大混乱となる中、英雄は偶然居合わせた女子高生・比呂美(有村架純)と官僚・千倉(風間トオル)と共に、タクシーに乗り込むことに成功します。ところが千倉も噛まれていたため、すぐに変貌し、運転手が噛まれてしまいます。壮絶な格闘の末、なんとか千倉を引きずりおろした英雄でしたが、変貌した運転手によってタクシーは暴走し、クラッシュしてしまうのでした。


 大破したタクシーから、かろうじて逃げ延びた英雄と比呂美は、電池残量の残り少ない携帯電話で、なんとか情報収集を試みます。インターネットの情報によると、人格が崩壊した者達は「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれており、噛まれるとウイルス感染することのこと。他にも、「標高の高いところでは感染しないらしい」という情報もあったため、2人は近くに見える富士山に登ることを試みるのでした。廃寺の境内でお互いの話をするうちに、次第に打ち解けた英雄と比呂美。ところが一夜明け、目が覚めた英雄は、比呂美の首筋に噛まれた跡があることを発見してしまいます。
「数日前に、親戚の赤ちゃんに噛まれた。」
という比呂美。
「殺していいよ。あんまり未練もないし。」
と話す彼女を、英雄は殺すことが出来ず、
「ZQNになったら考えよう。」
と、歩みを進めることにします。しかしそんな2人の逃避行も長くは続かず、比呂美は変貌を始めてしまい、英雄は言われるがままに、彼女の下から走り去ります。その後、見かけた土木作業員に声をかけた英雄。ところがその作業員もZQNだったため、英雄は襲われてしまいます。絶体絶命かと思われたその時、英雄を助けてくれたのは、ZQNになったはずの比呂美だったのでした・・・。


 優柔不断で、いつも大事なところで踏み出せない小心者だった主人公が、突如〝ZQNパニック”の世界に放り出され、どう生き残っていくのかが、この作品の最大の見どころです。職場から逃げ出した英雄が大通りに出るまでの長回しのシーンが、日常が崩壊していく様子をまざまざと表現しているようで、圧巻でもあり不気味でもあります。


 そんな世界にあって、最初はただただ逃げ惑うだけで、周りに助けられてばかりだった英雄。しかし、半ZQNとなっても生き続ける比呂美や、大切なものを守れなかった藪(長澤まさみ)、そして冷酷なリーダー格・伊浦(吉沢悠)達と出逢う中で、少しずつ
「自分がみんなを守る!!」
という自覚に目覚めていく姿に、胸がスカッとします。ラストのシーンなんかは、メチャメチャグロいので好みは分かれそうですが、主人公達の悲壮なまでに一途な戦いに圧倒されます。


 基本的にはシリアスですが、思わずクスッと笑ってしまうようなシーンもあったりして、イイアクセントになっています。個人的には、ロレックスの腕時計のくだりや、喫茶店のZQNに襲われ、
「アイスコーヒーください!!」
と口走るシーンなんかが、ステキでした(笑)。


 スプラッターやゾンビ映画好きにはたまらない、そんな作品といえそうです。



【ワンチャン・ポイント】
※岡田義徳さん・・・本作では、アウトレットモールのナンバー2・サンゴ役。最近の映画では、「セーラー服と機関銃 -卒業-」での怪しげなモデル事務所の社長役や、「復讐したい」での官僚役等が有名なところ。他にも「愛を積むひと」や「女子ーズ」、「薔薇色のブー子」や「ばしゃ馬さんとビッグマウス」等々、多数出演されています。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>



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