リップヴァンウィンクルの花嫁 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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辿り着いた“幸せの限界”。1人の女性の不思議な運命。


2016年3月26日公開
監督:岩井俊二
出演:黒木華・綾野剛・Cocco 他


【賛否両論チェック】
賛:幸せな生活が一転し、全てを失った主人公。そんな彼女が数々の出逢いに助けられ、少しずつ居場所を見つけていく様子に、心温まる。彼女を取り巻く不思議な人間模様や、その人間達が織り成すドラマにも、観ていて感慨深いものがある。
否:如何せん上映時間が長いので、途中で飽きてしまいかねない。


ラブシーン・・・少しだけあり
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・雰囲気が少しだけ怖いシーンがあり



 幸せな結婚生活を送っていたはずの女性が没落し、再生していくまでを描きます。主演は黒木華さん。


 中学校の臨時教員だった主人公・皆川七海(黒木華)は、お見合いサイトで知り合った教師・鶴岡鉄也(地曵豪)と結婚。離婚していた七海の両親も、それを隠して結納の式に出席してくれ、順風満帆な人生を送っているはずでした。ところがある時、生徒達に
「先生、声が小さいから、これ使って下さい!!」
と、ふざけてマイクを渡された七海は、これを真に受け、マイクを使って授業をしてしまいます。当然学校側はすぐに問題視し、七海は臨時教員としての契約を打ち切られてしまうのでした。鉄也には
「結婚するから、教師を辞める。」
と嘘をついてしまった七海。その後、学校を去っていく七海に、生徒達は
「先生、おめでとう!!」
と、花束を渡します。ところがその中にもマイクが入っており、七海は最後まで生徒達に小馬鹿にされていたことに、肩を落とすのでした。


 七海と鉄也は、2人で結婚式の親族選びを進めていましたが、鉄也は七海が呼べる親族の少なさに閉口。困ってしまった七海は、ネット上で知り合った何でも屋・安室(綾野剛)に、親族役のサクラを集めてもらうことにします。迎えた当日、式はつつがなく進み、七海はホッと胸を撫で下ろすのでした。しかしそれからしばらくして、七海は日々の鉄也の様子が、妙によそよそしいことを気にかけるようになります。そんなある日、七海はリビングのタンスの下から、見たことのない女性モノのピアスを発見。思わず鉄也の浮気を疑ってしまった七海は、安室に鉄也の素行調査を依頼するのでした。


 ところがある日、鉄也の留守中に、1人の見知らぬ男が七海の下を訪れます。男いわく、
「あなたの旦那が、私の恋人と浮気をしている。」
とのこと。しかもその相手というのが、鉄也のかつての教え子だと聞かされた七海は、ショックで取り乱してしまいます。平静さを失った七海はその後、男に呼び出されるがままに、五反田の高級ホテルへとやって来てしまうのでした。しかし男は、
「慰謝料も請求しないし、これでチャラにしましょう。」
と、七海に関係を迫ります。必死でトイレに逃げ込んだ七海は、とっさに安室に助けを求めます。安室はすぐに駆けつけ、七海は事なきを得るのでした。


 ・・・が、実は男の正体は“別れさせ屋”。男が隠し撮りしていた密会の様子は、鉄也の母親・カヤ子(原日出子)の下へと送りつけられ、おまけに七海の両親が離婚していることや、結婚式の親族がサクラだったことも、カヤ子に知られてしまうことに。こうして七海は、鉄也と離婚せざるを得なくなってしまい、家からも追い出されてしまいます。実はこの“別れさせ屋”の一件、引き受けていたのは安室だったのですが、彼女は知るよしもありません。行く当てもなくなり、パニックになってしまった彼女が助けを求めたのは、他ならぬ安室なのでした・・・。


 幸せの絶頂から突然全てを失い、途方に暮れる小心者の七海が、数奇な出逢いに導かれるように、少しずつ自分の居場所を見つけていく姿に、観ている側も少しずつ心が洗われていくようです。


 そして、そんな彼女に寄り添う登場人物達にも、秘められた過去や感情があるのが、また印象深いです。
「男と女は、どこまでも厄介なもの。」
と話す安室の言葉や、
「コンビニの店員さんが、自分の買った物を袋詰めしてくれるのを見ていると、『私なんかに・・・』って胸が締めつけられる。」
と語る真白の苦悩が、心に響きます。


 難点としては、上映時間が3時間とかなり長いので、興味がないと退屈を通り越して、苦痛かも知れません(笑)。


 それでも、七海や安室そして真白と、彼女達が織り成す人間模様が、果たしてどのような終着点を迎えるのか、その辺りを是非ご覧になってみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※黒木華さんと綾野剛さん・・・本作では、運命に翻弄される主人公・七海役と、彼女の面倒を親身に見る何でも屋・安室役のお2人。このお2人の組み合わせは、人間の胸に咲く花を描いた作品「シャニダールの花」でも観ることが出来ます。


※桜井美南さん・・・本作では、七海と鉄也の式中の演出で、七海の高校時代の役を演じていらっしゃった方。新進気鋭の女優さんで、最近では「合葬」にも出演されています。


※劇中の新郎新婦役・・・本作では、七海と真白が結婚披露宴のサクラとして出逢いますが、その時の新郎新婦がまた豪華です。新婦役は女優の中村ゆりさんで、新郎役はなんと映画監督の紀里谷和明さんです(笑)。


※バーのピアニスト・・・本作の劇中、意気投合した七海と真白が、バーでカラオケを楽しむシーンが登場しますが、その時ピアノを弾いていた店員さんは、なんとあのRADWIMPSの野田洋次郎さんです。最近の映画では、「トイレのピエタ」で主演もなさっていますね。


※イモガイ・・・本作では、「猛毒を持つ危険な貝」として登場します。実際に猛毒を持つ貝ですが、人が死ぬほどかどうかは、イモガイの種類にもよるそうです。他の映画では、リリー・フランキーさん主演の「シェル・コレクター」でも、この貝が出てきますので、気になった方はチェックしてみて下さい。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>



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