ロブスター | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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独特すぎる“愛”の世界。シュールな設定のラブストーリー。


2016年3月5日公開
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル
レイチェル・ワイズ 他


【賛否両論チェック】
賛:独特な世界観の中で、不覚にも真実の愛に目覚めてしまった主人公の末路が、皮肉で切ない。終わり方も割と衝撃的。
否:そもそもの設定が荒唐無稽で、世界観に違和感は禁じえない。ストーリーも淡々としていて、ラブシーンもかなりある。


ラブシーン・・・かなりあり
グロシーン・・・結構あり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・基本的にはなし



 「独身が罪」とされる近未来を描いた作品です。主演はコリン・ファレル。


 妻から、
「もう愛していない。」
と告げられた主人公・デヴィッド(コリン・ファレル)は、やって来たホテルの従業員達に連れられ、愛犬と共に山奥の湖畔にあるホテルへと到着します。実は近未来、「独身は罪」とされており、伴侶のいない人間はこうしたホテルへと収容され、45日以内に新しいパートナーを見つけられないと、動物へと変えられてしまうのでした。デヴィッドがホテルへと連れてきた犬も、実は彼の兄で、最近このホテルでパートナーが出来ずに、動物へと変えられてしまったばかり。そんな彼は、ホテルの女性支配人から、
「もし失敗したら、どんな動物になりたいか?」
と聞かれ、長寿や海が好きという理由から、
「ロブスター。」
と答えるのでした。


 その日から、デヴィッドの奇妙なホテル生活がスタートします。収容された人々は、ホテルで自由にパートナーを探しますが、決められた時間になると、山へ狩りに出かけることになっていました。獲物は山奥で逃亡生活をしている“独身者”。麻酔銃で1人捕獲するごとに、滞在期日が1日延びるため、皆必死で狩りをしますが、デヴィッドは思うように成果を挙げられません。そして、パーティーでダンス等を共にしても、なかなかデヴィッドと気の合う女性は見つからないのでした。一方、彼と同じ日にホテルに来た青年・ジョン(ベン・ウィショー)は、水泳の好きな女性に一目惚れ。鼻血が出やすいその女性の共感を得ようと、自分の鼻をあちこちにぶつけ、わざと鼻血を出すことで、彼女の気を引くことに成功していきます。かくしてジョンは、その女性とダブルルームへ行くことになるのでした。


 一方、残り期間が7日と迫ったデヴィッドは、周りから“情のない女”と言われる無慈悲な女を心に決め、まずはジャグジーで接触を図ります。すると彼女は突然、具合が悪くなったように苦しみ出します。しかし実は、これは彼女がデヴィッドの冷酷さを見極めるためにやった演技。見事に平静さを装い、彼女のお眼鏡に叶ったデヴィッドは、2人でダブルルームへ行くことに。ところが、そんなデヴィッドのささやかな嘘は、とっくに彼女に見抜かれていました。ある朝デヴィッドが目覚めると、血塗れの彼女が立っており、
「あなたの“兄”を、蹴り続けて殺したわ。」
と、衝撃の一言を告げます。洗面所では、“兄”だった犬が息絶えているのでした。ついつい涙を流してしまったデヴィッドは、彼女から平手打ちを食らってしまいます。彼女は支配人に言いつけようとしますが、デヴィッドは隙を見て逃走。探し回る彼女を麻酔銃で打って眠らせ、動物に変えるための処置室へと放り込むのでした。かくしてデヴィッドはホテルを抜け出し、森で身を潜めて暮らす独身者達のグループに加わることになるのでしたが・・・


 一言でいうと、とってもシュールな映画です(笑)。「独身は罪」という世界観の中で、無理やりに誰かを愛そうとしていたデヴィッドが、急に「誰かを愛してはいけない」という独身者のグループに転がり込んで、その中で逆に本当の愛に目覚めていく様子が、なんとも皮肉です。そして許されない恋路の果てに、デヴィッド達が選ぶ生き方も、また何とも言いがたい後味が残ります。


 ただ、そもそもよく分からない設定なので、見方によってはただただ単調に難解なストーリーが進むだけに見えてしまいそうなのも、また事実です。ラブシーンもかなりあります。


 ありかちな“愛”を語る映画に飽きてしまった方には、是非是非オススメです。



【ワンチャン・ポイント】
※ベン・ウィショー・・・本作では、主人公同様にパートナーを探す青年・ジョン役。「007」での“Q”役が有名な方ですが、他にも「白鯨との闘い」や「リリーのすべて」等にも出演されています。


※レア・セドゥ・・・本作では、森で暮らす独身者達のリーダー役。最近では「アデル、ブルーは熱い色」や「美女と野獣」での主演や、「007 スペクター」での謎めいた美女役が有名なところです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


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