ザ・ブリザード | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

絶望的な状況下で光る希望。勇気をくれる救出劇。


2016年2月27日公開
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:クリス・パイン
ケイシー・アフレック
エリック・バナ 他


【賛否両論チェック】
賛:どんな状況下でも、希望を持つことの大切さを教えてくれる。緊迫感溢れるブリザードの描写にも圧倒される。
否:冒頭から前半にかけての展開は、やや蛇足感があるか。


ラブシーン・・・ほんの少しだけあり
グロシーン・・・事故死のシーンだけあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも



 定員12人の小型救助艇で、遭難したタンカーの乗員32人を救出した、アメリカの沿岸警備隊の実話を描いた作品です。主演はクリス・パイン。


 物語の始まりは、1951年のマサチューセッツ州。まだ電話でしか話したことのない女性・ミリアム(ホリデイ・グレインジャー)と会うために、地元のバーへと車でやって来たバーニー・ウィバー(クリス・パイン)。慎重派のミリアムに配慮して、ダブルデートとなったため、ウィーバーは沿岸警備隊の同僚でもあるガスローを連れ、ドキドキしながら店内へと入っていきます。しかし実際に会ってみると、2人はすぐに意気投合。海は苦手だというミリアムでしたが、ガスロー達の誘いもあって、ウィーバーは地元の漁師から舟を借りると、4人で夜の海へと繰り出すのでした。


 年が明け、ウィーバーとミリアムは交際するようになっていましたが、ある日のダンスパーティーの際に、意を決したミリアムのプロポーズを、ウィーバーは何故か保留してしまいます。その理由は、
「支局長の許可がいるから。」
とのこと。実際支局長による結婚の許可は、形式的なものになってはいましたが、堅物のウィーバーは、
「許可をもらえるか、明日話してみる。」
と言うと、ミリアムを送っていくのでした。折しもその時、マサチューセッツ州の沖合には最大級のブリザードが到来しており、海上は大しけになっていました。その嵐の中を、巨大タンカー「ペンドルトン号」が進んでいました。一等機関士のシーバート(ケイシー・アフレック)は、
「先月熔接した部分がもたない。」
と、電話で船長に船の減速を求めますが、聞き入れられません。するとしばらくして、シーバートの悪い予感が的中し、船は熔接部分から浸水してしまいます。さらに荒波の直撃を受けた船は、真っ二つに裂けてしまい、前方の船長達の乗った側は、なす術もなく沈んでいってしまうのでした。


 明け方になり、担当のチャタム支局へと出勤したウィーバーは、早速支局長のクラフ(エリック・バナ)に結婚の許可を請おうとしますが、局には「マーキー号」というタンカーが遭難したという連絡が入っており、クラフはそれどころではありません。結局、ウィーバーは許可を得ることは出来ず、チャタム支局からは別の班が、マーキー号へと出勤することになるのでした。一方その頃、ペンドルトン号に残されたシーバート達は、今後の方針を話し合います。血気盛んなブラウン達は、
「救命ボートを出すべきだ。」
と主張しますが、シーバートは
「救命ボートでは10秒ともたない。船体を浅瀬に座礁させて、沈むまでの時間を稼ぎ、その間に救助を待とう。」
と提案。彼らは早速、木材を使って手製の舵取りを作ります。無線は一切使えないため、甲板にいるブラウンからの指示をリレー形式で伝達し、機関室のシーバートが操縦を担います。刻一刻と沈没の危機が迫る中、彼らは浅瀬を目指して航行を続けるのでした。


 ところが、沿岸警備隊はマーキー号の救助に追われており、救難信号を出せなかったペンドルトン号の存在には、誰も気づいていませんでした。それでも事ここに至って、ようやく地元の漁師の1人が、沖で警笛を鳴らし続けながらさ迷うペンドルトン号の姿を目撃し、チャタム支局にその情報がもたらされます。しかし船は砂州にさしかかっており、本来であれば危険すぎるため、救助には行けないはずでした。しかし経験の浅いクラフは、ウィーバーに
「人選をして出動せよ。」
との命令を出してしまいます。一方、命令を受けたウィーバーにも、かつて同じような状況下で救助に行けず、同僚のリッチーの家族を死なせてしなったという苦い経験があったため、彼はこの命令を快諾。かくしてウィーバーは、荒海への出動を決意するのでしたが・・・。


 誰もが二の足を踏むような過酷な状況下で、救助のために迷うことなく出動したウィーバーと、沈みゆくタンカーの中で、驚くほど冷静に指示を出し続けたシーバート、この2人の人間性が光ります。どんな絶望的な局面でも、決して希望だけは捨ててはいけない。そんな大切なことを教えてくれるようなストーリーです。


 一方で、そんな勇敢だったウィーバーの中にも、〝命を救う”という使命に対する葛藤があったことがうかがえ、その人間らしさにも、また考えさせられます。最初は規則を重んじる堅物だった彼が、救助挺に乗せられる定員の話になった時に、
「それってただの規則だろ?」
と言い放つまでに変わっていく様子が、印象に残ります。


 ブリザードの様子を克明に描き出す描写も圧巻です。是非劇場で体感してみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※エリック・バナ・・・本作では、チャタム支局の頑固な支局長・クラフ役。最近では「NY心霊捜査官」で、主人公のニューヨーク市警の刑事役で出演されていましたが、他にも「トロイ」や「ハンナ」、「ローン・サバイバー」等にも出演されていますので、気になった方はそちらもチェックしてみて下さい。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>